知能指数の真実:偏差IQで見る本当の知能評価【ChatGPT統計解析】
IQ(知能指数)は、もともと精神年齢を基に算出され、精神年齢を実際の年齢で割って100をかけた値として表されていました。たとえば、8歳児が10歳の精神年齢を持つ場合、IQは125となります。しかし、この方法では同じIQを持つ8歳児と12歳児が異なる知能レベルであることが無視される問題がありました。現在では、年齢ごとの集団内での相対的位置を示す「偏差知能指数」が一般的に使用され、IQは平均100、標準偏差15の正規分布を前提としています。また、知能指数は変動するものであり、環境やテスト内容により結果が異なることがあります。知能を多面的に評価する試みも進められています。
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知能指数(intelligence quotient:IQ)の統計学
もともとは精神年齢が基準
「知能指数」(IQ)は「知能テスト」の成績を表示する方法の代表的なものであり、もともとは精神年齢(mental age)を用いて算出されるものであった。
「精神年齢」とは、その人の知能レベルが何歳ぐらいの人の平均に相当するかを表すものである。
日常用語で「精神年齢」というと、気持ちの若さや幼さのようなものを指したりするが、これは知能テストの領域での本来の意味とは異なる。
精神年齢を用いて定義される知能指数は、その人の精神年齢が、実際の年齢よりもどれぐらい高いか低いかという相対的な関係を示す。
具体的には、
知能指数=精神年齢/実際の年齢×100
という式で求められる。
精神年齢が実際の年齢と等しい人は知能指数が100となり、精神年齢が実際の年齢より高い人は知能指数が100以上となる。
たとえば、8歳の子どもが平均的な10歳児レベルの知能テスト成績を示したとしたら、その子どもの知能指数は10/ 8 ×100 = 125ということになる。
知能指数125の正い意味
精神年齢に基づく知能指数は便利なものではあるが、さまざまな誤解を生むものでもあった。
たとえば、8歳の子どもが10歳レベルの成績を示した場合と、12歳の子どもが15歳レベルの成績を示した場合は、知能指数はいずれも125と等しくなる。
しかし、その8歳児と12歳児は当然のことながら同じ知能レベルをもっているのではない(前者は10歳レベル、後者は15歳レベルである)。
精神年齢と実際の年齢の比が同じであるというだけであって、それ以上の同等性は何もない。
それにもかかわらず、知能指数は実際の年齢とは関係なしに絶対的な意味をもつもの、さらには年を経ても固定して不変のものと誤解される傾向があり、そこからさらに飛躍して、知能は生まれながらに決定されているという主張までされるようになってきた。
偏差知能指数
精神年齢に基づく知能指数のもつこうした問題点をふまえ、知能テストの成績をより一般的な相対評価の形で表現しようとしたものに偏差知能指数がある。
偏差知能指数は、それぞれの年齢集団における知能テストの成績分布が、平均100、標準偏差15(テストの種類によっては16)の正規分布となるように得点換算した(読み替えた)ものである。
これは偏差値と同じ発想に基づくものであり、偏差値の場合は平均を50、標準偏差を10としている点が異なるだけである。
偏差知能指数であれば、成人あるいは老人に対しても、ある範囲の年齢集団での相対的位置を示すことが可能になる。
現在では、知能指数といえば偏差知能指数を指すのが一般的である。
図は、偏差知能指数とパーセンタイル順位(年齢集団の分布の中で成績の低いほうから数えて何%に当たるかを示す指標)との関係を示したものである。
この図から、偏差知能指数が90から110の範囲に全体の約半分が含まれること、80以下や120以上の人の割合は、それぞれ全体の10%に満たないことなどが読み取れる。
知能指数に対する固定的信念からの脱却
知能指数が個人の一生を通して不変のものであるという信念や、遺伝的、先天的に決まるという信念は根強いものがある。
偏差知能指数の利用によってもそうした信念はほとんど変わっていないように思われる。
しかし、実際に知能テストを繰り返し実施してみればわかるように、同じ個人でもテストの結果は実施するごとに変動するものであり、またテストの実施者が違うだけで結果が違ってくることもある。
こうした変動は測定の誤差ともいえるが、かりに測定の誤差がなくても、子どもには早熟型も大器晩成型もいて発達曲線に個人差があるから、知能指数はその個人の中で一定しない。
もちろん、学習環境や生活環境の変化によっても知能指数は変化する。
また、知能指数はいうまでもなく、何らかの知能テストを実施することによって算出されるものであるから、実施するテストにどのような内容の項目が含まれているかによっても結果が大きく異なることがある。
実際、この事実をふまえて、知能を多面的にとらえることも一般的となってきており、たとえばアメリカのウェクスラー(Wechsler)によって開発された知能テストでは、言語的な問題を主とするテストで言語性知能指数を求め、図形問題からなるテストで動作性知能指数を求める方式をとっている。
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