因子分析の統計学【統計解析講義基礎】

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因子分析の統計学|【統計学・統計解析講義基礎】

因子分析の統計学【統計解析講義基礎】


目次  因子分析の統計学【統計解析講義基礎】

 

 

因子分析(factor analysis)の統計学

 

「パソコン技能」と「年収」の問には、「パソコン技能が高い人ほど年収が少ない」という負の相関関係が推測される。

 

それは、「年齢」という第3の変数が両変数と相関していて、「年齢が高いほどパソコン技能が低い」という負の関係と、「年齢が高いほど年収が多い」という正の関係があることによって説明できた。

 

このことを模式的に描いたのが左下の図である。

 

同様に「層ごとの相関」の項で例示した関係は、右下の図のように表すことができる。

 

因子分析の統計学【統計解析講義基礎】

 

いずれについても、点線の矢印は、第3の変数の影響によって生じた(または強まった)相関関係を表している。

 

これらの図は、ある2つの変数の間に相関関係があるとき、その相関関係を第3の変数によって説明しようとするものの見方を例示している。

 

下の図を見よう。

 

因子分析の統計学【統計解析講義基礎】

 

そこには「勤勉」、「几帳面」、「計画的」、「無頓着」、「軽率」という5つの性格特徴が並んでいる。

 

私たちの周りの人びとのことを思い出してみればわかるように、勤勉な人は同時に几帳面で計画的である傾向があり、無頓着な人は同時に軽率である傾向がある。

 

つまり、最初の3つの性格特徴の間には正の相関があり、後の2つの性格特徴の間にも正の相関がある。

 

さらに、勤勉で几帳面で計画的な人は、無頓着でなく軽率でない傾向があるから、最初の3つの性格特徴と後の2つの性格特徴の間には負の相関がある。

 

結局、これら5つの性格特徴は、正か負かは別にして、すべて互いに相関しあっているということである。

 

ここに、上記の「相関関係を第3の変数によって説明しようとするものの見方」をもってくると、これら5つの性格特徴のすべてに影響を与えるような第3の変数について、次のような説明が可能になる。

 

すなわち、その第3の変数の値が大きい人は、勤勉で几帳面で計画的で、無頓着でなく軽率でない、そしてその変数の値が小さい人は、逆に勤勉でなく几帳面でなく計画的でなく、無頓着で軽率である、ということである。

 

このとき、これら5つの性格特徴のすべてに影響を与えるような第3の変数というものが「何であるか」はこの時点では特定されておらず、もちろん測定もされていない。
その意味で「潜在的な変数」である。

 

統計学ではこのような潜在的な(隠れた)変数のことを「因子」とよんでいる。

 

図には、この因子と5つの性格特徴の間の関係が模式的に示されている。

 

この「因子」による分析が因子分析である。

 

 

では、この場合の因子とは、具体的にどのような変数であろうか。

 

この問題は、言い換えれば、勤勉から軽率までの5つの性格特徴との間に図示したような関係をもつ一般的な性格特徴は何か、という問題である。

 

これに対してただ1つの正解というものは存在しないが、たとえば「誠実性」というのが1つの答になるだろう。

 

一般に誠実な人というのは、勤勉で几帳面で計画的で、かつ無頓着でなく軽率でない人と考えられるからである。

 

このように、実際の変数(ここでは5つの性格特徴)に反映される因子の性質を具体的に検討することを因子の解釈という。

 

因子分析という統計的方法は、たくさんの(場合によっては100を越える)変数の間の複雑な相関関係をデータとして、その関係を説明するのにいくつの因子が必要か、そして、それらの因子は具体的にどのような内容の変数かを分析・検討していく方法である。

 

性格は5因子で説明できるとする説

 

因子分析は、心理学において知能や性格の研究の中で発展してきた方法である。

 

そこでは、知能というものは単一の因子で説明できるのか、それともたとえば言語的因子と数量的因子のように複数の因子を導入する必要があるのか、さまざまな性格特徴というものは、いったいいくつの因子をもってくれば説明がつくのか、といった問題が検討されてきた。

 

このうち、性格の因子については、先ほどあげた「誠実性」のほかに、「外向性」、「情緒不安定性」、「開放性」、「調和性」という、合わせて5つの因子によってさまざまな性格特徴の間の複雑な相関関係がほぼ説明できるという主張が、かなり広く受け入れられている。

 

これを「性格の5因子説」または「ビッグ・ファイブ」とよんでいる。

 

 

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