標本と標本抽出【統計解析講義応用】

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標本と標本抽出|【統計学・統計解析講義応用】

標本と標本抽出【統計解析講義応用】


目次  標本と標本抽出【統計解析講義応用】

 

 

標本と標本抽出

 

標本抽出(sampling ; サンプリング)とは,母集団全体を代表するような母集団の一部を選び出す過程である.

 

したがって,標本(sample ; サンプル)とは,母集団の要素の部分集合である.

 

要素(element)は,情報収集の対象となるもっとも基本的な単位である.

 

看護研究では,要素は通常,人間である.

 

標本と標本抽出計画は,質についてはさまざまである.

 

量的研究で;標本を評価する際にもっとも重要なのは代表性である.

 

代表的な標本(representative sample)とは,母集団の主要な特性をよく備えている標本である.

 

献血者に関する研究で,母集団が男性,女性が半々ずつである場合,代表的な標本も同じ性別の配分だろう.

 

標本が母集団を代表していない場合は,研究における外的妥当性(一般化可能性)には問題がある.

 

残念なことに,母集団から情報を得なければ,ある標本が代表的かどうか確かめることはできない.

 

ある標本抽出法を使えば,他の抽出法より標本の偏りが生じにくいということがあるかもしれないが,それが代表的な標本であるという保証はどこにもない.

 

これはちょっとがっかりする話だが,研究者というものは,誤差が起こりうる状況で研究しているのだということを銘記しておくといい.

 

量的研究者は,こういう誤差を可能なかぎり減らしたり,できれば,その影響の大きさを推定することである.

 

標本抽出デザイン(sampling design)は,確率標本抽出と非確率標本抽出に分けられる.

 

確率標本抽出(probability sampling ; 無作為抽出)は,要素を選び出すのに無作為選択をもちいる.

 

確率標本(無作為標本)の顕著な特徴は,母集団の各要素がその標本に含まれる確率を研究者が特定できることである.

 

確率標本の代表性にはより大きな信頼がおけるので,2つの標本抽出法では確率標本抽出のほうが尊重されている.

 

非確率標本抽出(nonprobability sample ; 有意抽出)では,要素を作為的方法で選ぶ.各要素が非確率標本(有意標本)に含まれる確率を推測することはできず,そもそも常に各要素が含まれているという保証もない.

 

 

 

母集団を複数の下位母集団,または層(stratum)から成り立つと考えるのも有益な場合もある.

 

層とは,1つないしそれ以上の特徴によって成立する母集団の互いに相容れない部分である.

 

たとえば,母集団が米国で現在雇用されているすべての登録ナースであるとしよう.

 

この母集団は,ナースの性別によって,2つの層に分けることができるだろう.

 

または,30歳未満,30〜45歳,46歳以上という3つの層に分けることもできよう.

 

層は,標本選択の過程で,標本の代表性を高めるためにもちいられることが多い.

 

標本抽出の偏り

 

費用効果があるので,研究者は,母集団をもちいるというよりも標本をもちいて研究する.

 

研究者には,1つの母集団のすべての成員を研究できるほどの時間も資源もないのがふつうである.

 

さらにいえば,母集団全体からデータを集める必要はない.

 

たいていは,標本からかなり正確な情報を入手できるといってよい.

 

しかし,標本から得たデータが,誤った結論をもたらすことがある.

 

研究に進んで参加する人々を100名見つけることは,さほどむずかしいことではない.

 

むしろ,母集団の偏りのない100名の下位集団を選び出すことがなかなか大変である.

 

標本抽出の偏り(sampling bias)とは,研究設問にかかわる特性について,母集団のある部分を系統的に過度に代表したり,または過小に代表することをいう.

 

意識的に偏った抽出の例として,ナースのタッチ(touch)に対する患者の反応を調べることにし,ある病院に入院し,適性基準を満たした最初の50名の患者を標本として使うと決めたとしよう.

 

ナースに敵意を示したという理由で,Z氏を標本から除外した.

 

また,X夫人も最近夫を亡くしたばかりで負担であるという理由で研究から除外した.

 

つまり,ある人々を意識的に除外したのであり,その決定は真の適性基準を反映していない.

 

患者のナースについての感情や患者の情緒的状態によって,ナースのタッチへの反応(従属変数)が影響を受けるかもしれず,これは偏りを生じることもある.

 

しかし,標本抽出の偏りは,ふつうは無意識的に生じる.

 

看護学生の研究をしていて,看護学図書館に入ってくる学生の10人目ごとに系統的に面接したとしよう.

 

その場合,たとえ学生の容姿,性別,その他の特性とはまったく無関係に,10人目ごとということを意識したとしても,図書館好きだという点で,学生の標本が偏ることもあろう.

 

標本抽出の偏りは,部分的に母集団の均質性とかかわっている.

 

母集団の要素が,重要な属性に関してすべて同じ場合,どの標本も他の標本と同様だといえる.

 

むしろ,その母集団が完全に均質ならば,つまり,まったく変動を示さなければ,ただ1つの要素があれば,その母集団について結論を導き出すのに十分な標本だということになろう.

 

多くの生理学的属性では,均質性が適度に高いと仮定して問違いないだろう.

 

たとえば,人間の静脈血は比較的均質であり,それゆえ任意に採取した血液標本が1つあれば十分である.

 

しかし,ほとんどの人問の属性では,均質性は例外的である.

 

年齢,健康状態,ストレス,態度,習慣.こういった属性はいずれも,人間の不均質性を反映している.

 

母集団に変動が生じたときは,理想的にはその同じ変動が標本にも反映されなければならない.

 

異なる病院や異なるナーシング・ホーム,コミュニティなど,複数の場所から研究参加者を選ぶことで,研究の一般化可能性を容易に高めることができる.

 

母集団を幅広く代表できるくらいに,2つの場所が十分に異なっているのが理想であろう.

 

 

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