ゴールトンの遺伝から統計への道: 相関・回帰の奇跡【ChatGPT統計解析】
F.ゴールトンは優生学の創始者であり、遺伝理論に基づく人種改良を目指す中で相関・回帰の方法を開発した。彼は、優れた能力を持つ家系を保護し、劣った能力を持つ家系を排除することで、科学的に人種改良を正当化しようとした。また、遺伝研究を通じて、動植物が交雑し続けると種固有の特徴へ回帰する現象を発見し、これを「回帰」と名付けた。しかし、メンデル遺伝学の再発見や集団遺伝学の登場により、ゴールトンの遺伝法則は否定され、相関・回帰は統計学の範疇に留まることとなった。この進展は、統計学とその応用科学との関係を考える上で興味深い事例を提供している。
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ゴールトンと相関・回帰
相関・回帰の方法を開発したF.ゴールトン(1822-1911)は、むしろ優生学の創始者として科学史上その名をとどめています。
「生まれながらに優れたる者」というギリシャ語から命名された優生学は、遺伝理論に基づいて人種改良を試みる学問で、良かれ悪しかれ社会改革論としての性格も持っていました。
人間は、氏より育ちなのではなく、育ちより氏であるという固い信念の持ち主であったゴールトンは、優れた能力を有する家系を積極的に保存し、劣った能力を有する家系を排除することで人種の改良が達成されることを科学的に正当化しようと優生学という学問を提唱したわけです。
今日ではさまざまな分野で広く利用されている相関・回帰の方法も、この過程でもたらされたものです。
人間の気質や能力も含めた遺伝現象を説明する法則
数字(計測)の熱心な信奉者でもあったゴールトンは、遺伝研究の過程で動植物を何世代も交雑し続けていくと次第に種固有の形質(平均的な形質)に回帰していくことを、人間の身長やスイートピーの実験データから発見しました。
この現象を、当初ゴールトンは退行(reversion)と呼び、データから得られた結果を数学的に要約して退行の度合を示す尺度を求めましたが、後にこれを回帰の比(ratio of regression)と改め「回帰分析」の語源になりました。
注意すべきことは、ゴールトンは決して数学者ではなく、また数学の論理から回帰の理論を演繹したわではないということです。
ゴールトンにとって回帰とは、人間の気質や能力も含めた遺伝現象を説明する法則そのものを指していました。
数学的に回帰が相関の特殊な問題であることを彼が理解していなかったという事実は、このことを裏付けています。
しかし、この遺伝法則も、やがてメンデル遺伝学の再発見や集団遺伝学の登場とともに完全に否定され、相関・回帰は統計学の中にのみその名を残すことになりました。
このことは、統計学とそれを応用する諸科学との関連を考えるうえで、興味深い事例を示してくれます。
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