CDISCが変える臨床試験データの未来【ChatGPT統計解析】
CDISC(臨床試験データ交換標準化団体)は1997年に設立された非営利団体で、臨床試験データの標準化を目的とし、2003年に日本支部が設立された。主要な標準データモデルとしてODM(Operational Data Model)とSDM(Submissions Data Model)があり、ODM Ver 1.2はXML技術を利用し、試験メタデータ、管理データ、臨床データを含む階層型モデルを提供している。一方、SDMにはSMM Ver 2.0とSDDM Ver 3.0が含まれ、CRTデータの提出を可能にするドメインメタデータが定義されている。また、解析データモデル(ADaM)や臨床検査用標準モデル(LAB Base Model Ver 1.0.1)が策定され、FDA提出のガイドラインも整備されている。CDISCはHL7との統合を目指しており、製薬企業、CRO、ソフトウェア企業、FDAが積極的に関与しているほか、トレーニングや年会を通じて標準化の普及を推進している。
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CDISC (Clinical Data Interchange Standards Consortium)
臨床試験データの品質を改善し製品開発を推進する目的でCDISC (Clinical Data Interchange Standards Consortium)という非営利団体が欧米を中心に1997年に設立されており,インターネット上のURLアドレス:www.cdisc.orgにてその概要を見ることができる.
2003年には日本支部が設立されている.
メンバーには製薬企業やCROが含まれているとともにFDAも担当官を設置し積極的な関与を行っている.
CDISCでは,データ収集・交換・保存のための標準データモデルとしてODM (Operational Data Model) ,申請のための標準メタデータモデルとしてSDM (Submissions Data Model)の構築を進めている.
現在, ODMとしてはVer 1.2が2003年にリリースされており, XML技術を利用したデータモデルが提示されている.
このVer 1.2では臨床試験データのうち,次の3つに関する部分が示されている.
@臨床試験のメタデータ(項目定義およびプロトコル)
A臨床試験の管理データ(ユーザーおよびアクセス権限)
B臨床試験データ(患者情報の完全な記録と監査査証)
そして, ODM Ver 1.2には,次の4つの主要なセクションが含まれている.
@Study:一つのファイル中に一つ以上の試験表示を含むことができる
AAdmin Data:システムのユーザー,臨床試験に参加した施設に関する情報,および関連するセキュリティに関する情報を含む
BReference Data:臨床検査値正常域のような,その臨床試験に特有ではないデータの説明に関係した情報を提供する
CClinical Data:各々の臨床試験で得られた現実のデータ項目の値を含む
ODM Ver 1 .2で示されている最上位のデータモデルは,階層型の構造になっている.
また,全ての臨床試験データがメタデータの階層(StudyEvent, Form, ItemGroup, Item)に該当する,それぞれの項目(StudyEventData, FormData, ItemGroupData, ItemData)に対応して特定の論理的な階層に洽って表されることを求めている.
現実の臨床試験データはDTD(Document Type Definition)ダイアグラムに示されたItemData要素のValueアトリビュートに保存されることになる.
各々のレベルに関連する監査査証,署名,および注釈が存在することがある.
一方, SDMとしてはSubmission Metadata Model (SMM) Ver 2.0 が2001年11月26日付け, Submission Data Domain Models (SDDM) Ver 3.0が2003年6月6日付けで公開されている.
SDDM Ver 3.0は2001年11月21日付けで公開されていたVer 2.0から大幅な変更が行われており,あらゆるCase Report Tabulation (CRT) dataを提出できるようになっている.
SDDM Ver 3.0には様々なドメインが含まれている.
各々のドメインのメタデータには,次に示すようなカラムが含まれている.
・ VARIABLE NAME 変数名
・ VARIABLE LABEL 変数名のラベル
・ TYPE 変数の属性
・ DECODES/FORMATS 使用されるコード
・ ORIGIN 変数のオリジナルなデータセット
・ ROLE 特別のデータセットにおける役割
・ COMMENTS コメント
・ CDISC NOTE 変数の使用に関する追加説明
・ CDISC CORE VARIABLE CDISC での主要変数であるか否か
そして,変数はCDISCで使用されている主要変数としてSMM Ver 2.0で定義されているものである.
このほかに,解析用データモデル(ADaM ; Analysis Dataset Model)に関しては, FDAに提出する集計・解析用の臨床試験データについてのガイドラインとして「Guidelines for the Creation of Analysis Data Files and Documentation of Statistical Analyses for Submission to the FDA」が公開されており,これに基づくサンプルとして「Example of Information to be supplied foraChange from Baseline Statistical Analysis」, Example of Information to be supplied for a Categorical Data Analysis」,「Example of Information to be supplied for a Time-to-Event Data Analysis」の3つが公開されている.
また,臨床検査の標準データモデル(Laboratory Standards)についても検討されており,現時点ではLAB Base Model Version 1.0.1が公開されている.
CDISCでは将来的にHL7(Health Level 7)との融合も予定されている,
ECDISCの活動
CDISCには現在,製薬企業, CRO,コンピュータ企業,ソフトウェア会社などといった51のCorporate Sponsor, 21 のCorporate Member, 44のAssociate Memberが参加している.
さらにFDAも積極的にその活動を支援している.
CDISCでは標準となるデータモデルの検討と策定を行うだけでなく,トレーニングコースの提供,ワークショップ,年会なども開催している.
CDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium)は、臨床試験データの標準化と品質向上を目的として1997年に設立された非営利団体であり、主に欧米を中心に活動を展開しています。2003年には日本支部が設立され、国内でも積極的に活動が行われています。CDISCのメンバーには製薬企業やCRO(Contract Research Organization)が含まれ、米国食品医薬品局(FDA)も担当官を設置してその活動に深く関与しています。この団体は臨床試験におけるデータ収集、交換、保存を標準化するためのモデル構築を行い、これにより新薬開発の迅速化や規制当局への提出プロセスの効率化を目指しています。CDISCの主なデータモデルとしては、Operational Data Model(ODM)とSubmissions Data Model(SDM)が挙げられます。ODMはデータ収集と管理を標準化するモデルで、バージョン1.2が2003年にリリースされ、XML技術を用いた階層型構造を特徴としています。このモデルは臨床試験のメタデータ(項目定義やプロトコル)、管理データ(ユーザーやアクセス権限)、臨床試験データ(患者情報の記録や監査証跡)を扱い、これらがStudyEvent、Form、ItemGroup、Itemという階層構造で整理されています。各データはそれぞれStudyEventData、FormData、ItemGroupData、ItemDataに対応しており、データはDTD(Document Type Definition)ダイアグラムに従ってValue属性として保存されます。さらに、監査証跡、署名、注釈も各レベルで関連付けられることがあり、データの完全性と信頼性を保証する仕組みが備わっています。一方、SDMは提出用データの標準化を目的としており、SMM(Submission Metadata Model)Ver 2.0やSDDM(Submission Data Domain Models)Ver 3.0が公開されています。SDDM Ver 3.0は2001年に公開されたVer 2.0から大幅に改良され、すべてのCase Report Tabulation(CRT)データの提出を可能にしています。SDDMでは、変数名、変数ラベル、変数の属性、コード、データの起源、役割、コメント、CDISCの主要変数か否かなど、詳細なメタデータが定義されており、これによりデータの再現性と透明性が向上しています。また、ADaM(Analysis Dataset Model)という解析用データモデルも策定されており、FDA提出用の臨床試験データのガイドライン「Guidelines for the Creation of Analysis Data Files and Documentation of Statistical Analyses for Submission to the FDA」が公開されています。このガイドラインに基づき、ベースラインからの変化、カテゴリカルデータ、イベントまでの時間に関するデータ解析のサンプルが提供されています。さらに、臨床検査データの標準化を目的としたLAB Base Model Ver 1.0.1も公開されており、臨床試験における検査データの整合性確保を支援しています。CDISCの活動はこれだけにとどまらず、HL7(Health Level 7)との融合も視野に入れており、将来的な医療情報システムとの連携を進めています。現在、CDISCには製薬企業、CRO、コンピュータ企業、ソフトウェア会社などが参加しており、Corporate Sponsorが51、Corporate Memberが21、Associate Memberが44に及びます。また、FDAは積極的にその活動を支援しており、これによりCDISCが策定したデータモデルが新薬開発や規制当局への申請プロセスで広く利用されています。CDISCはデータモデルの策定にとどまらず、トレーニングコースやワークショップ、年次会議などを通じて標準化の普及に努めています。これらの活動は、製薬業界全体の効率化や新薬開発の迅速化に寄与し、最終的には患者に新しい治療法を迅速かつ安全に届けることを目指しています。CDISCが提供する標準化フレームワークは、データの収集、管理、解析から申請までの全てのプロセスを包括的にカバーしており、その影響力は今後ますます拡大していくと予想されます。
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