適切な臨床試験デザインの選択【統計解析講義応用】

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適切な臨床試験デザインの選択|【統計学・統計解析講義応用】

適切な臨床試験デザインの選択【統計解析講義応用】


目次  適切な臨床試験デザインの選択【統計解析講義応用】

 

 

適切な臨床試験デザインの選択

 

適切な試験デザインを選択することは,科学の発展段階が一連の調査研究上にあるその特定の疑問を支持するようなところにあることを前提として,デザインが課せられている疑問に合致しているかどうか(すなわち,答えられるかどうか),および興味のある特定のアウトカム,および課せられている疑問が最適であるかどうかに依存する.

 

一般に,絞り込んでよく特徴づけされた疑問,明確に定義されたアウトカム,および特定の疑問に明確かつ限定的に答えられるような患者特性,これらを備えた単純なデザインが最適である.

 

 

クロスオーバーデザイン

 

クロスオーバーデザイン(crossover design)では,各試験被験者は調査されているすべての治療法を,しかし異なる時問に受ける.

 

試験被験者がそれらの治療法を受ける順序はランダム化される.

 

例えば,患者Aは,ある一時期に治療法#1を受けるようにランダム化される.

 

その患者は.治療法#1を完了した後,「交差して」治療法#2を受ける.

 

通常,治療法の間にはウォッシユアウト(washout)と呼ばれる一期間があり,どの治療も行われない.

 

アウトカムは,各治療法の間またはその後に観察される.

 

あるクロスオーバーデザイン,特に3治療法以上のものの中には,患者は調査中のすべての治療法を受けるとは限らないもの(部分クロスオーバーまたは不完備ブロック)があるが,2つ以上の治療法は受ける.

 

そのようなデザインの利点は,各患者は自分自身が対照としての役割を果たすことで被験者間の変動を著しく減少させ,削減された標本サイズでより小さなエフェクトサイズを検出することができる.

 

したがって,クロスオーバーデザインは,不特定の(治療法に関係しない)要因における変動が削減されるために,正しい患者集団と治療法に対して,他のデザイン戦略と比較して著しく大きな検出力を持ち得る.

 

クロスオーバーデザインは,片頭痛や機能性疼痛障害のような再発/寛解があり発作的な性質の症状を持つような状態の患者の試験に特に好都合である.

 

クロスオーバーデザインの大きな欠点は,試験中の治療法が興味のあるアウトカムに持続的な影響を持つときに明白である.

 

上記の例では,もし治療法#1がその治療法が終わった後も効果が長く維持されると,クロスオーバーデザインにおいては,治療法#2の影響が治療法#1と明確に分離することができない.

 

そのような状況でのクロスオーバーデザインは問題である.

 

そのような持ち越し効果は,わからなかったり測定できなかったりすることがあるので問題なのである.

 

加えて,クロスオーバーデザインは非倫理的な場合もあるだろう.

 

例えば,もし一方の治療法に効果があって,状態が深刻な脅威であると,有効な治療法群にいる被験者を,もう一方の有効でない可能性のある治療法群に交差させるのは非倫理的であろう.

 

このデザインに対してもう一つ,欠点となり得ることは,通常よりも長い期問,クロスオーバー試験に参加していてもらわなければならないことである.

 

これは患者に付加的な負担を生じさせ,結果として脱落率が大きくなり得る.

 

発作的な病状に対して,もし発作的な性質がある程度予測可能であれば,クロスオーバーデザインは有用であり得る.

 

けれども,不安定あるいは進行性の病状に対しては,病気の変化による付加的な変動が試験の最中に取り込まれてしまうため問題である.

 

最後に,クロスオーバー試験では試験の長さによって患者の負担がより大きくなることに加えて,1つではなく2つあるいはそれ以上の介入への参加を伴うことから,患者にとっては受け入れ難いことが多い.

 

しかしながら.同じように有効そうだと患者に認識されるような治療法に対しては.クロスオーバーデザインは適切であり得るし,安定しているか,臨床的な特性に時間的に予測可能な病状に対しては,特にそうである.

 

クロスオーバーデザインの1つのバリエーションとして, N-of-1試験(N-of-1 study)がある.

 

 

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