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医療情報交換の標準規約

医療情報交換のために用いられる標準規約としては，以下に示したようなものがある．

そしてこれらの規約とのインターフェースをうまく準備することができれば，効率的に臨床試験データを入手できる可能性がある．

(1) HL7 (Health Level 7)

1987年以来，アメリカで広く病院内および病院間で業務全般の情報を交換するための規約として導入されている規格である．

このHL7で対象とする情報の範囲は本当に広く，患者情報に留まらず，血液検査依頼や結果報告，給食管理，会計管理などの病院業務全般を対象としている．
HL7の｢7｣は，国際標準化機構により定義されているオープンシステム・インターコネクション(OSI ； Open Systems Interconnection)参照モデルの第7層であるアプリケーション層に属する規格であることに由来している．

HL7は既に米国規格協会(ANSI)での規格となっており，ハードウェアやネットワークから完全に独立した情報交換のためのフォーマットとプロトコルとなっている．

最近ではXMLフォーマットでのHL7の利用も可能になってきている．

日本でも1998年７月にHL7日本支部として日本HL7協会が発足している.

2002年には厚生労働省が電子カルテの必須条件としてHL7の採用を指示している．

(2) DICOM (Digital Imaging and Communications in Medicine)

｢医用デジタル画像と通信｣に関する標準規格である．

米国放射線学会(ACR；American College of Radiology)と北米電子機器工業会(NEMA； National Electrical Manufacturers Association)が開発したもので，日本では日本画像医療システム工業会(JIRA ； Japan Industries Association of Radiological Systems)で標準規格として定められている．

(3) MML (Medical Markup Language)

診療施設間で電子カルテのデータを交換するために医療情報学会「電子カルテ研究会」を中心に厚生省（現：厚生労働省）委託事業：電子カルテ開発事業の成果として考えられた日本生まれの規約である．

当初はSGMLでの開発が行われたが，最新バージョンのMMLではXML技術を用いて開発されており，現在はMedXMLコンソーシアムにより管理されている．

(4)CLAIM(CLinical Accounting InforMation)

医事会計システムと電子カルテとの間で診療報酬に関する情報を共有化するために開発されたデータ交換規約である.

CLAIMはMMLを上位規約としている．

(5) MERIT-9 (MEdical Record, Image, Text, Information exchange)

厚生労働省情報技術開発研究事業の成果として生み出されたもので，どのようにHL7, DICOM, MMLを組み合わせて運用するかという医療情報交換のための運用指針である．

そして, MERIT-9もXML技術を用いている．

（6）国立大学病院治験実施管理システム

1998年４月より国立大学病院においては，共通の治験実施管理システム（CTMS；Clinical Trial Management System)が新GCPに則り稼動している．

このシステムは既に国立大学病院において稼動している診療情報システム（HIS : Hospital Information System)と連携を取るようになっているが，診療情報システムは各国立大学病院で異なったものを使用しているため，治験実施管理システムとの間での情報交換はHL7により実施されている．

治験実施管理システムでは, SGMLでの情報交換を規定しており日本製薬工業協会の医薬品評価委員会医薬電子標準研究会で作成された電子標準書式Ver 2.0がDTDとして公表されている．

医療情報交換の標準規約には、HL7、DICOM、MML、CLAIM、MERIT-9、国立大学病院治験実施管理システムなどがあり、これらは医療現場や臨床試験における情報の効率的な管理・交換を目的として設計されています。まず、HL7（Health Level 7）は、1987年にアメリカで開発され、病院内および病院間での情報交換を目的とした規格で、患者情報、血液検査依頼や結果、給食管理、会計管理など、病院業務全般を対象としています。この規格は、OSI（Open Systems Interconnection）参照モデルの第7層であるアプリケーション層に基づいており、ハードウェアやネットワークから独立した情報交換フォーマットとプロトコルを提供しています。さらに、最近ではXMLフォーマットを活用したHL7も利用可能となっており、情報交換の柔軟性と拡張性が向上しています。日本においては、1998年に日本HL7協会が発足し、2002年には厚生労働省が電子カルテの必須条件としてHL7を採用するよう指示するなど、標準化の推進が進んでいます。次に、DICOM（Digital Imaging and Communications in Medicine）は、医用デジタル画像と通信に関する国際規格であり、主に放射線学や画像診断分野で活用されています。この規格は、米国放射線学会（ACR）と北米電子機器工業会（NEMA）が共同で開発したもので、日本では日本画像医療システム工業会（JIRA）によって標準規格として定められています。DICOMは、画像データの形式や通信プロトコルの標準化を通じて、異なる医療機器間での互換性を確保し、診断や治療の効率化を実現しています。続いて、MML（Medical Markup Language）は、日本生まれの規約で、診療施設間での電子カルテデータの交換を目的としています。この規約は、医療情報学会「電子カルテ研究会」を中心とした厚生省（現・厚生労働省）の委託事業である電子カルテ開発事業の成果として考案され、最新バージョンではXML技術を活用しており、現在はMedXMLコンソーシアムによって管理されています。MMLの活用により、診療情報の正確で迅速な共有が可能となり、患者中心の医療の実現に寄与しています。さらに、CLAIM（CLinical Accounting InforMation）は、医事会計システムと電子カルテ間での診療報酬情報の共有を目的としたデータ交換規約で、MMLを基盤として開発されました。CLAIMは、医療機関内外での情報の一貫性を保ちながら、診療報酬の管理や請求業務の効率化を可能にしています。また、MERIT-9（MEdical Record, Image, Text, Information exchange）は、厚生労働省の情報技術開発研究事業の成果として生まれた運用指針であり、HL7、DICOM、MMLをどのように組み合わせて運用するかを定めています。この指針は、医療情報の統合的な運用を促進し、異なるシステム間での円滑な情報交換を支援しています。最後に、国立大学病院治験実施管理システムは、1998年に導入され、新GCP（Good Clinical Practice）に準拠して稼働しています。このシステムは、国立大学病院内で使用される診療情報システム（HIS）との連携を図るため、HL7を活用して情報交換を行っています。また、治験実施管理システムではSGML形式での情報交換が規定されており、日本製薬工業協会の医薬品評価委員会医薬電子標準研究会によって作成された電子標準書式Ver 2.0がDTD（Document Type Definition）として公表されています。これらの規約やシステムを適切に利用することで、医療機関内外での情報共有が促進され、臨床試験データの効率的な取得や管理が期待されています。標準規約の導入は、医療現場での業務の効率化や患者安全性の向上に大きく寄与し、今後もその重要性が高まると考えられます。