臨床試験で利用可能なコード|【医療統計学・統計解析】
臨床試験で利用可能なコード
臨床試験で利用可能なコードとしては日本では完全に標準化されているものは少ないというのが実状であり,様々な種類のものが存在するが,いくつかの分野で代表的に使用されているものがある.
今後,電子カルテの普及などに対応していくことは急務であり,厚生労働省の委託業務として医療情報システム開発センター(MEDIS-DC;Medical Information System Development Center)で標準化されたコードの開発と普及が図られている.
医療機関や医師
日本アルトマーク社より提供されている医師・医療施設コンピュータファイル(Doctor Computer File)で使用されているDCFコードが有名である.
単に名称だけでなく,医療機関であれば略名や住所,医師であれば性別や卒業年度というような,いくっかの基本情報が同時に提供されるが,英語での表記は含まれていない.
疾患名
ICD(国際疾病分類 International Classification of Disease and Related Health Problems)というものが知られている.
ICDとは世界保健機関(WHO)が疾病に関する統計の国際比較や年次比較を可能にするために策定したもので約10年ごとに改定されている.
現在は1990年に採択された第10版(ICD10)が使用されており日本でも1995年より死因などの統計分類に用いられている.また,国内では医療情報システム開発センターから提供されているICD10対応電子カルテ用標準病名マスター(標準病名マスター)や,厚生労働省から提供されている医療保険請求にかかわるマスターである傷病名マスター,財団法人医療保険業務研究協会から発行されている診療科別標準傷病病名集(レセプト電算処理システム病名集)などが知られている.
病理学的診断
米国臨床病理医協会(CAP; College of American Pathologists)が管理するSNOMED(Systematized Nomenclature of Human and Veterinary Medicine)が知られている.
また,ヘルスケア全般の用語を取り扱うように拡張されたSNOMED CTが2002年1月より公開されている.
医薬品
世界的には世界保健機関が管理するWHO Drug Dictionary というものがある.
一方,国内では医薬品の市販後調査や副作用報告に用いられる厚生労働省監修の再審査コード,流通のために用いられる日本製薬工業協会統一商品コード,医薬品の市場価格調査などに用いられる厚生労働省で定義された薬価収載医薬品コード,レセプト処理に用いられる厚生労働省監修のレセプト電算処理システム医薬品コードなどというような,目的ごとに10種類を越えるコード体系が利用されてきた.
そこで,これらを標準化するために医療情報システム開発センターにおいてMEDIS標準医薬品マスターとしてHOT(基準)コードが開発されている.
しかし,臨床試験に用いるためには一般用医薬品(OTC;Over The Counter Drug)が含まれていないなどの課題が残されている.
また,英語での表記は定義されていないことも課題である.
診療行為
ICD 9-CM Procedure が世界的に知られている.
ICD 9-CM Procedure はアメリカの疾患別関連群包括支払方式(DRG/PPS; Diagnosis Related Group/ Prospective Payment System)で入院患者の支払いに適用されている.
医療情報システム開発センターからは標準手術・処置マスターの提供が行われ, ICD9も含まれている.
厚生労働省から提供されている医療保険請求にかかわるマスターである診療行為マスターも知られている.
臨床検査
社会保険診療報酬基金がレセプト電算処理システムのために作成した診療行為マスターに含まれる検査コード,日本臨床検査医学会が制定した臨床検査項目分類コード第10回改訂(JLAC10)などがあるが,完全に標準として定着しているものはない.
有害事象
世界保健機関の国際医薬品モニター制度で使用されているART (Adverse Reaction Terminology)であるWHO-ARTおよびこれに準拠した医薬品副作用用語集(J-ART) ,COSTART(アメリカ食品医薬品局副作用用語コード; Coding Symbols foraThesaurus of Adverse Reactions Terms)などが知られている.
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