メディアとの関わり−その過程|【統計学・統計解析講義応用】
メディアとの関わり−その過程
研究所の広報室を介さずに,リポーターから直接取材申し込みがくる場合がある。
こういった取材に対応するための具体的な手順について説明する.
リポーターが友好的,前向きな話の内容であったとしても手順を守らなかった場合には,思いもよらない窮地に立たされる場合があるため注意が必要である.
まず,インタビューに応じるまでに,必ず広報室の許可を得る必要がある.
Washington post. New York Times, Wall Street Journal などの機関誌であればなおさら重要であるものの.ラジオやネット上のインタビューも例外ではない.
また.所属する研究室や機関が独自のルールを設けている場合もあり.メディアに対応する前には,事前にルールを知っておく必要がある.
eメール,インターネット,ニューメディアについて(の一言)
これまでは.人手系列放送局(major media outlet)が最も影響力をもっていた.
しかしながら,今では口コミ、 e-mailなどのインターネットを介したソーシャルメディアの影響力が大きくなってきている.
たいていの場合は,ニュースの信憑性について一般読者が判断をすることは難しい.
そのために,あまり知られていないウェブ上のニュースサイトから受けたインタビューであったとしても,数百万を超える読者の目に触れる可能性について考慮しておく必要がある.
加えて,メールで記した内容は,業界や擁護団体の会報(newsletter)からあらゆる種類のメディアに繰り返し拡散される可能性があるため,注意が必要である.
また, AP (Associated Press)通信やロイター通信などの広報通信サービス(newswire service story)に寄稿した場合,ニュースが話題になるたびに, Googleを含めた検索サービスで,あなたの名前が挙がってくることになる.
ニュースレターにコメントを求められたときには,どんなメディア媒体であっても,こういった事態を想定し,慎重に対応すべきである.
また,新開の発行部数が急速に減少し, Facebook,Twitter, YouTube.ブログなどが台頭する中,メディアとの関係性にも変化が生じてきている.
若い世代では,テレビや新聞.ラジオといった伝統的な情報媒体よりも,ソーシャルメディアから情報を得ていることが多い.
2010年には, Pew Internet and American Life Projectによる調べでは,米国成人の10人に8人がオンラインにあることを発表した.
今や,多くの人にとってWikipediaが最初にアクセスする情報源である.
こういったメディア環境の地殻変動が起きているなか,臨床研究者にとっても専門家としての見解を発表する際には,心構えが必要である.
例えば,スライドを使用して発表した場合には,プレゼンテーションの内容がTwitterやブログ上に掲載される可能性がある.
また,写真や動画でネット上にアップロードされる場合もある.
すなわち,数秒のうちに.あなたの発表が世界中に拡散されるということである.
研究について,ブログで公表しようとしている場合には,ソーシャルメディアに関するNIHのポリシーと矛盾しないかについて,事前に広報室に確認を取っておく必要がある.
ブログの与える影響力を過小評価している場合があるからである.
2010年11月の時点で, NIHは一般ユーザーが利用できるソーシャルメディアサイトを150以上も所有している.
一部のソーシャルネットワークプラットフォームは,サイバーセキュリティの問題から,NIH内部のコンピュータからアクセスできなくなっている.
結果,ウェブ上の活動にも制限が出てきているのが現状である.
電話を受けたら
リポーターからインタビューの依頼を受けたら,すぐに依頼を引き受けず,自制心をもっていくつかの事項を確認する必要がある.
まず,下記に挙げる項目を確認し,書き留めておくことが重要である.
1.相手の名前と電話番号を確認する.
2.相手のパブリケーションネットワークステーションなどを確認する.
3.締切りを確認する(これは,自分にどれだけの持ち時間があるのかを概算できる).
4.アングルおよび筋書きを確認する.
5.他にどんな人にインタビューするつもりなのかを確認する.
6.何に関する情報を自分に期待しているかを確認する(例えば,T細胞に関する背景の説明を求めているのか,またはあなたの研究の特集記事を書きたいのか,単に,他の誰かの研究に対するコメントが欲しいのかなどである).
あるいは, NIHの公式な広報担当者にこういった情報と報道の背景を集めてもらうこともできる.
自分自身にある程度時間ができるように,「あなたと話せて光栄です.我々の広報室を通して調整していただけますか?この者に連絡をとってもらいたのですが,連絡先はこちらになります.」とリポーターに言うことができる.
常に.机の上や財布や手帳などの手の届く範囲に,広報担当者の名前,電話番号を持っているべきである.
次の手順は,研究所ノセンターの広報室に相談することである.広報担当者は,下記のような場合に対応してくれるはずである.
・自身がリポーターに話す適任者であるか.または,非常にセンシティブな問題であるために,広報担当者, NIH報道官あるいは他の相当な人によって取り扱われるべきか.
・NIH外部の専門家に対応を求めるべきか.
・NIHとしての見解を求められているか.
・あなたに役立ちそうなリポーターに関する情報があるか.
・過去にそのリポーターとやりとりした経験があるか.
・誠意をもってお断りする方法.
インタビューを受けないと決めた場合,正直に,確実に断る.
下記の3つは一般的な答えである.しかし,最初の答えはおすすめできないものである.
1.私はあなたとお話したいと思いますが,お話しするのは私ではないと言われましたので….これはかなり一般的であるが,不適切な回答である.これは,リポーターの気を引くだけであり,それ自体がニュースになる.
2.私は,これについてあなたとお話しするのにベストな人物ではありません.この人に連絡をとってみてもらえませんか.これは適切な回答である.必ず紹介する前に,指名した人に知らせるようにする.
3.まだ研究段階であるため,説明は避けたいと思います.それが事実であればこれもまた良い回答である.リポーターには,日付けと再度連絡するように伝える.
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