多変量分散分析(MANOVA)|分散分析(ANOVA)との違い【統計学・統計解析講義基礎】
多変量分散分析(MANOVA)は、高い検出力により従属変数間の関係を調べ全体過誤率を管理しやすいため、反復の分散分析(ANOVA)に比べメリットがある
目次 多変量分散分析(MANOVA)|分散分析(ANOVA)との違い【統計学・統計解析講義基礎】
MANOVA:複数の独立変数と従属変数の関係を分析
多変量分散分析(MANOVA)は1つ以上のカテゴリカルな独立変数と、2つ以上の連続した従属変数を含むデザインのときに使われます。
MANOVAは、複数の従属変数と、共通な一連の独立変数との間の関係を同時に分析する手法です。
分散分析(ANOVA)のように、それぞれの独立変数の個別の効果を検証できますし、独立変数どうしの組み合わせによる効果、すなわち交互作用も要因のデザインとして使うことができます。
このデザインのとき、ANOVAを反復せずにMANOVAが好まれるのはなぜでしょうか。
MANOVAでは、複数の分散分析を実行して従属変数を1つずつ調べていくのに比べ、重要な利点がいくつかあります。
まず、一変量のF検定を各従属変数に対して用いることはタイプTエラー(帰無仮説が真であるのに棄却する)の確率(α水準)を増やしてしまうことがあげられます。
これに対しMANOVAでは、従属変数間でのデータの共分散構造を使用して、平均の同等性を同時に検定できるので、高い検出力を確保できます。
従属変数同士が相関していれば、この情報が、個々の分散分析(ANOVA)では小さ過ぎて特定できない違いを見つけるのに役立ちます。
次に、個別のANOVAではどの従属変数に対しても群の差が得られないにもかかわらず、有意な多変量効果を得ることができる可能性が残っています。
こうした問題は、MANOVAを使えば回避することができます。
MANOVA:複数の従属変数を同時分析
さらにMANOVAではすべての従属変数を交えて同時に分析します。
つまり、MANOVAでは、群間の区別を最大化するような、従属変数の線形結合を見つけるのです。
MANOVAはまた、作られた線形結合に対するp値を伴う検定統計量を算出することができます。
MANOVAを使ったときに通常算出されるさまざまな統計量とともに、MANOVAを使うことでわかる多変量効果の解釈の仕方について理解しましょう。
もし多変量効果が見出されたら、通常の方法ではMANOVAのあと、一連の一変量F検定をすることになります。
しかしこのアプローチでは2つ以上の従属変数による線形結合について、異なる集団の効果があるかどうかは明らかにされません。
群を最大限分割する従属変数の結合を特定するためには、判別分析がよく使われます。
MANOVA:多変量応答パターンを検出
因子は、単一の応答に影響を与えるのではなく応答間の関係に影響を与える可能性があります。
分散分析(ANOVA)ではこうした多変量パターンは検出されません。
分散分析(ANOVA)では、繰り返すごとに帰無仮説を誤って棄却するタイプTエラーの確率が高くなります。
多変量分散分析(MANOVA)ですべての従属変数を同時に検定すれば、全体過誤率はα水準と同等になります。
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