動物実験における処置前後の変化の検証|有意性を証明するには十分なサンプルサイズが必要【統計学・統計解析講義基礎】
動物実験の自己対照デザインでは、10匹程度のサンプルサイズでは、とても有意を証明できないが、もし10匹すべてにおいて意味のある毛根数の増加を示していれば、他のマウスにも増加するとほぼ間違いなく言える
目次 動物実験における処置前後の変化の検証|有意性を証明するには十分なサンプルサイズが必要【統計学・統計解析講義基礎】
動物実験における処置前後の変化の検証
「エフリン」というたんぱく質の増毛効果が、マウスを使った実験で証明されました。
生まれたばかりのマウスにエフリンを皮下注射したところ、毛根の数が6日目で1.4倍、12日目で1.3倍に増えたのです。
このことからどのようなデザインと考えられるでしょうか。
マウスは何匹かわかりませんが、それら対象すべてにエフリンを投与したようですので、同時対照群はないようです。
それでは何が対照群かと言いますと、エフリンを投与する前の毛根数と考えられます。
エフリンというたんぱく質を注射する前と比べて1.4倍毛根数が増えたというのは、統計学的に有意な結果だと思いますか。
40%増加です。
有意性を証明するには十分なサンプルサイズが必要
そう言うと、素晴らしい結果だと思うかもしれません。
しかし、40%増加という数値自体は意味があるように思いますが、果たして有意かといいますと、そこはサンプルサイズが関係してきます。
たとえば、10匹程度のサンプルサイズでは、とても有意を証明できないと思います。
最低100匹は必要でしょう。
ただ、もし10匹すべてにおいて意味のある毛根数の増加を示していれば、他のマウスにも増加するとほぼ間違いなく言えるとは思います。
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