QOLを数値化する医療の新たな挑戦【ChatGPT統計解析】
QOL(Quality of Life、生活の質)は医療において重要な指標であり、長寿だけでなく患者の生活の質を向上させることが重視されるようになってきた。QOLは元々数値化が難しいと考えられていたが、近年ではアンケートを用いてその数値化が試みられている。具体的には、複数の質問に対して患者が答え、それに基づいて点数を算出する方法や、VAS(Visual Analog Scale)を使って自分の状態を評価する方法がある。これらの方法により、患者のQOLが数値として評価されるが、同じ人でも状況によって変動するため、再現性や感受性の確認が重要である。
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QOL(quality of life)の統計学
QOL (クォリティー・オブ・ライフ)というのは「生活の質」と訳されることが多いが、もう日本語として定着している。
医療の評価指標のなかで、最近になって注目を集めはじめた指標の1つである。
医療で最も重要と考えられてきたのは死亡であった。
つまり、長生きさせてあげるというのが医療の目標であった。
しかし、がんの末期患者のように苦しみながら長生きするよりは、命は多少短くなっても生きがいのある生活を送りたいと考えるようになった。
緩和医療などと呼ばれるのがそれである。
そこで、現在の医療では延命効果もさることながら、QOLというものも大変重視するようになってきた。
QOLは生活の質と訳すことからもわかるように、これは質を見ている指標である。
質というものは元来数値に表せないものである。
たとえば、総務の仕事をしている人を評価するのは難しいが、営業の仕事をしている人の評価は比較的やさしいかもしれない。
それはなぜかというと、営業のほうは販売件数や契約件数で成績を数値化しやすいからである。
仕事の質まで評価するのはなかなか難しいものである。
このQOLは質なので、そんなもの評価できるわけはないと考えられてきた。
もちろん、QOL自体を高めるような医療を心がけることが大切なことは皆わかっていた。
しかし、近年になって(多分1980年くらいからと思われる)このQOLを数値化しようという試みが始まった。
「あなたのQOLは80点です」というように点数で出てくるのである。
それでは、このような生活の質の程度をどのようにして点数化しているのだろうか。
これに対する答えはアンケートである。
疾患ごとに、症状や悩み事などについて質問を多数設けている。
それに患者が答えることにより、点数が得られるのである。
もちろん、それらの質問を作るときには妥当なものかどうか、注意して作成されている。
それに比べて、点数化は単純であるものが大多数である。
QOLを点数化するには
たとえば、QOLを測るための質問が10問あったとしよう。
それぞれは5段階(よく当てはまる、多少当てはまる、なんともいえない、あまり当てはまらない、全く当てはまらない)とする。
回答枝に1〜5点を付して、10問の点数を求める。
「よく当てはまる」を5点、「全く当てはまらない」を1点としておこう。
すぐわかるように、最高点は50点(すべて5点なので)、最低点は10点(すべて1点なので)ということになる。
あなたの素点がもし40点だとすると、
(40−10)÷(50−10)=30÷40 = 0.75、つまり75点というように計算される。
この際、否定的質問の場合には逆のスコア(得点)を付しておくことが大切である。
つまり.「よく当てはまる」を1点、「全く当てはまらない」を5点と変換してから足し合わせる。
いずれにしても、このような多数個の妥当に選択された質問に答えることで、あなたのQOLが点数で知らされるのである。
このような方法以外にも、もっと単純な方法もある。
図のように10cmの物差しを用意して、両極端に「最高の状態」あるいは「最悪の状態」とラベルしておく。
そして、その物差し上にあなたの現在の状態をマークしてもらうのである。
この方法はVAS (Visual Analog Scale)と呼ばれている。
斜線で書き入れたのがあなたの状態である。
得点化は簡単であり、最悪の状態から斜線までの長さを計測するだけである。
この場合8cmなので、80点と算出される。
QOLの評価はこのように単純なものではあるが、これは「質」というだけあって、同じ人でも状況により変動しやすい。
「女心と秋の空」と言われるのと同じである。
そこで、同じ人では変動しないかどうか、日にちを変えて再現性を保たれているかなどを確認してから使うようにしている。
さらに、明らかにQOLのよさそうな人と悪そうな人に何人か選び、このアンケートに答えてもらう。
そこで、QOLのよさそうな人は悪そうな人よりも有意に点数がよいかなども確認するのが常識的になってきた。
このことを感受性の確認という。
ただし、そこまで性能を確認していないアンケートも多いので、使うときにはその点に留意しよう。
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