有効性と有用性:医療検査の本当の価値を見極める【ChatGPT統計解析】

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有効性と有用性:医療検査の本当の価値を見極める【ChatGPT統計解析】

有効性と有用性:医療検査の本当の価値を見極める【ChatGPT統計解析】
医療検査の「有効性」と「有用性」について、両者は異なる概念です。「有効性」は検査が病気を発見できる能力を指し、「有用性」はその検査が患者の健康改善に寄与するかどうかを意味します。カイザー財団の研究では、健診の受診回数が多くても死亡率や病気休業率には差がないことが示されています。健診が有用であるためには、検査対象となる疾患が高有病率で介入可能であり、検査が簡便で高感度・高特異度であることが必要です。

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目次  有効性と有用性:医療検査の本当の価値を見極める【ChatGPT統計解析】

 

 

検査が有用になる条件(requirement foratest to be effective)

 

「手術は成功したが、患者は死んだ」という言い方がある。

 

専門技術者としての医療行為の評価と、患者の側から見た医療の評価との間には、しばしばずれがある。

 

健康診断で行われる検査について、「有効」というときと「有用」という時にも、実は似たようなずれがある。

 

有効」の方は検査が目的の病気や異常を十分見つけられるかという検査の性能を表すが、その結果として病気が治るか、患者が幸せになったかは含まれない。

 

これに対し「有用」は有効であるだけでなく、その検査が結果として患者の健康に寄与したかどうかまでが含まれる。

 

有用性の判断はそれを行う対象や状況によって変化するので、特別の自覚症状や異常のない人びとに対して行う健康診断の場合を考えてみよう。

 

わが国は法律で、すべての労働者に年1回以上職場で健康診断を受けることが義務づけられ、それ以外にも地域の健診やドックなど健康診断が盛んに行われている。

 

しかし実はそれが有用であるという証拠はない。

 

それを検討した研究は世界でも極めて少なく、その結果はいずれも健康診断の有用性に疑問を呈するものであった。

 

代表的なアメリカのカイザー財団での調査を見てみよう。

 

 

カイザー財団での調査:有病率減少に役立たず

 

健診の究極の目的は病気による死亡の減少であり、そしてその前提に病気の減少がある。

 

そこでカイザー財団は会員1万人以上を健診積極勧奨群と放置群に無作為に分け、それぞれを16年間追跡した。

 

勧奨群は16年間に中央値で6回の健診を受け、放置群の健診受診回数は同じ期間に中央値が1回にすぎなかった。

 

しかし両群の16年後までの死亡率、病気休業率には差がなかった。

 

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6倍の健診受診が死亡率減少にも有病率減少にも役立っていなかったのである。

 

イギリスで行われた研究も同じような結果であった。

 

この米英の研究ほど厳密かつ大きな集団で行われた研究は他になく、健診が有用とする証拠はないということができる。

 

なぜ健診が有用とならないか、どこに問題があるかは、健診が病気や死亡を防ぐ機序を考えてみると明らかになる。

 

WHO(世界保健機関)は1968年に健診評価の基準10項目を発表しているが、その後の議論を加え、健診が有用となるための条件を機序から考えると、以下のようにまとめられよう。

 

目的疾患

 

まずその集団に、健診の目的の疾患がまったくなかったら健診は意味がない

 

たとえば男性従業員しかいない事業所での乳がん検診は意味が乏しい。

 

健診の対象となる病気は「高有病率」でなければならない

 

これに加え「慢性疾患」、「予後不良」、「介入可能」であることが必要である。

 

したがってすぐ治ってしまう普通の風邪は健診の対象疾患にはならない。

 

 

検査(受診しやすさと感度・特異度)

 

次に健診で行う検査は苦痛、侵襲(体への害)、危険性などが少なく、簡便な検査であることが要求される。

 

直接、間接の費用も安くなければ健診の利益が小さくなる。

 

「感度」と「特異度」が高い有効な検査であるべきことはいうまでもない。

 

この感度、特異度に加えて、実際の場では「陽性検査適中度」(predictive value positive: PVP)および「陰性検査適中度」(predictive value negative: PVN)も高いことが必要である。

 

精密検査

 

健診で異常所見を指摘されながら精密検査を受診しない例がよくみられる。

 

これはある意味で健診を受けない者より問題は大きい。

 

精密検査とはいえ、健診の検査と同様、苦痛、侵襲、危険性などが低いこと、受けやすい簡便な検査であることが望ましいし、費用や検査の時間も妥当なものでなければならない。

 

さらに感度・特異度も同じく問題になる。

 

介入(治療・指導等)

 

健診受診者にとって健診を受ける究極の目的は、診断そのものより、治療などの介入を受け、病気にならない、または死亡を遅延することである。

 

介入は必ずしも臨床的治療に限らず、健康教育による行動変容でリスクを軽減することも含まれるが、従来の健診の目的疾患のすべてに介入策があるわけではなく、あってもそれが有効という証明が不十分なものがある。

 

健診はこれらの条件をすべて満たしたとき、初めて受診者にとって有用となる。

 

米国カイザー財団での研究で行われた健診が有用でなかったのは、これらの条件が満たされていなかったためであり、法的に義務づけられているわが国の職域定期健診項目も、そうした条件が十分考慮されているとはいえない。

 

 

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