NNTで見る治療の有効性とリスク【ChatGPT統計解析】

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NNTで見る治療の有効性とリスク【ChatGPT統計解析】

NNTで見る治療の有効性とリスク【ChatGPT統計解析】
NNT(治療必要数)は、治療の有効性を示す指標で、1人に効果を得るために治療が必要な人数を表します。例えば、IgA腎症に対するステロイド療法のNNTは約8.6であり、8人以上の患者を治療して1人に効果が見られるとしています。しかし、ステロイドには副作用があり、腎生検などのリスクも伴います。糖尿病に対する薬剤療法では、NNTは196であり、196人を治療して1人の合併症を防ぐ結果です。治療の有効性は統計的な差で示されることが多いですが、患者には副作用や費用とのバランスが重要です。

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目次  NNTで見る治療の有効性とリスク【ChatGPT統計解析】

 

 

NNT指標(number needed to treat)

 

統計的な有効と個人への有効

 

今、治療のためにある新薬を投与しようかどうかを判断するとき、この新薬を投与した集団と、プラセボ(臭いや形がよく似た偽薬)を投与した集団を比べ、新薬を投与した集団の方が病気の改善率がよいとか、より早く治れば、新薬が有効であるということにする。

 

このとき、どの人に新薬でどのひとにプラセボを投与するかがポイントだが、くじ引きなどの方法でランダムに割付ける(割あてる)のを「無作為化比較試験」(RCT)、その割付を本人にも効果を判定する医者にも隠して客観性を保つことを「二重盲検法」という。

 

そして投与群(治療群、実験群)と比較群(対照群)との改善率などの差は、統計的な検定で有意でなければならない。

 

しかし、これで新薬の方が有意に有効率が高ければ、新薬は有用といえるのであろうか。

 

集団を統計的に見た場合に治療群の方が多く治り、それは偶然の差ではないといっても、治療を受ける個人のレベルでは、治療にかかわらず治らない人もいれば、治療しなくても自然に治ってしまう場合もある。

 

統計学が取り扱う集団での議論はしばしば%で表現されるが、個人にとっては効いたか効かなかったかの100%か0%である。

 

それに統計的に有意とは、多くの場合5%の有意水準が選ばれるので、もし治療群と比較群をそれぞれ数千人にすれば、新薬のおかげで病気が治った人数がほんの数人でも多ければ、有意になってしまう。

 

しかし「この薬は検定の結果有効であった」という言葉を聞くと、それを服用しさえすれば、皆に効くかのような印象を受ける。

 

しかし、実際はそうでない。

 

 

NNT:何人治療すれば、ひとりは有効か

 

薬が投与されたうちの何人に有効かは患者にとって重大な関心事項である。

 

そこでできるだけ統計的な有効性を個人の感党に近づける表現として、NNT(number needed to treat)という指標が考案された。

 

これは、「ひとりに有効な効果を得るためには何人治療しなければいけないか」を示す指標で、比較群との絶対的差も加味した値である。

 

その計算は、

 

NNT=1/寄与度

 

寄与度=治療群での有効率−比較群での有効率

 

のように求められる。

 

実際の2つの例でこの考え方を示そう。

 

図1はIgA腎症に対するステロイドの効果を無作為化比較試験で検討した結果である。

 

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じつは今なお腎炎に対して、厳密な意味で有効性が確認された治療法はない。

 

しかし、この研究はIgA腎症についてはステロイドが有効であることを示した、もっとも有力な研究である。

 

たしかにステロイド治療群の方が5年間での腎機能低下者が有意に少なく、ステロイドはIgA腎症における腎機能維持に有効である。

 

しかし、このNNTを計算すると、

 

寄与度=5/43

 

NNT=43/5=8.6

 

すなわち、8人以上を5年間治療してそのうちの1人に治療効果が得られるだけである。

 

しかし、ステロイド療法にはさまざまな副作用があり、そもそも尿蛋白陽性の人の中から、非常に少人数の治療対象となるIgA腎症を選び出すには、危険性を伴う腎生検(腎臓に針を刺して組織を採取し、顕微鏡で調べる検査)を行わなければならない。

 

このように検査と治療で利益が得られる可能性がかなり低いのに、それに伴う副作用や危険が多いとするならば、この治療が有効であっても有用とはいえない可能性がある。

 

糖尿病の場合

 

さらに次のような例もある。

 

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図2は糖尿病に対する薬剤療法の効果を無作為化比較試験の手法で10年間追跡したものである。

 

インスリンや経口糖尿病薬などを用いて厳格に血糖を守らせる治療を行った方が、食事療法だけの治療より、網膜出血や腎障害などの糖尿病に伴う深刻な合併症の発生率が低かった。

 

すなわち薬剤治療群は年間千人あたり約41人に合併症が発生したのに対し、比較群は同46人という。

 

この差は危険率約3%で有意であるが、寄与度は約5 /1000、NNTは196である。

 

すなわち薬物を用いた厳しい血糖管理で糖尿病合併症の発生を年間1人減らすためには、196人治療することが必要で、そのうち195人は治療にもかかわらず合併症が発生するか、もとから発生しないということである。

 

しばしば医師は治療の有効性を統計的な差で説明するが、実際に治療を受ける患者としては、そのNNTが副作用の発生率や治療に伴う危険・費用などに見合うかまで、考えざるを得ない。

 

 

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