リスク因子:疾患発症確率を高める要因【ChatGPT統計解析】
リスク因子とは、疾患の発症確率を高める要因を指します。これには遺伝的、環境的、行動的、社会的な因子が含まれます。喫煙が肺がんのリスク因子であることが具体例として挙げられています。日本の調査では、非喫煙男性と喫煙男性の間で肺がんの発症リスクに大きな差があり、喫煙者のリスクは非喫煙者の約4倍とされています。リスク因子を特定することで、禁煙キャンペーンなどの予防対策が効果的に行われる可能性があります。
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リスク因子(risk factors)の統計学
一般に「リスク」は「危険」という意味で使われることが多いが、保健や医療の分野において、リスクとは「ある個人がある期間内に疾患を発症する確率」を指す。
したがって、リスク因子とは「疾患を発症する確率を高める因子」を意味する。
たとえば、喫煙は肺がんのリスク因子、高血圧は脳卒中のリスク因子、高コレステロールは心臓疾患のリスク因子などとよく言われる。
一口に「疾患を発症する確率を高める因子」といってもさまざまなものが含まれ、遺伝子などの遺伝的な因子、毒物、化学物質、薬物などの環境的な因子、喫煙、過剰なアルコール摂取、シートベルト未装着での運転などの行動的な因子、さらには配偶者との死別、日常生活の変化などの社会的な因子が含まれる。
一度に大量の薬物を摂取したときのように有害な作用がすぐに現れるような場合には、その犯人であるリスク因子は推理しやすい。
しかし、徐々に病気が進行していくがんや心臓疾患などの犯人を推理することは容易ではない。
なぜならば、そのような疾患の発症には、遺伝的な因子、環境的な因子など数多くの因子が複雑に関与しており、その関与の仕方も時間によって変化しているからである。
それでは、ある因子がリスク因子かどうかを実際にはどのように評価するのか。
喫煙と肺がんの例を用いて解説しよう。
喫煙は肺がんのリスク因子か?
喫煙と肺がんの関係を調べるために行われた調査の結果を表に示す。
これは、日本のある複数の地域に住む40-69歳の男性約45,000人、女性約48,000人の集団に対して1990〜1994年に喫煙状況などの調査を行い、1999年まで追跡してがんの発症の調査を行った結果である。
平均約8年の追跡調査の間に422人(男性324人、女性98人)が肺がんを発症した。表には、男女別および喫煙状況別に調査人数と肺がんを発症した人数が示されている。
この調査では、男性の非喫煙10,839人のうち、26人が追跡期間中に肺がんを発症した。
したがって、男性非喫煙者という集団の肺がん発症リスクは、発症人数を調査人数で割って、
26/10,839 = 0.0024 ( 1万分の24)
と計算できる。
一方、男性の喫煙者23,267人のうち、231人が肺がんを発症したので、男性喫煙者の集団の肺がん発症リスクは、
231/23,267 = 0.0099 ( 1万分の99)
となる。
これは、40-69歳の男性非喫煙者では約8年間に1万人のうち24人が肺がんになり、同じ年齢層の男性喫煙者では1万人のうち99人が肺がんになることを意味している。
その差は1万人のうち75( = 99−24)人である。
この差を大きな差と感じるであろうか、小さな差と感じるであろうか。
この差、すなわち1万分の75はリスク差と呼ばれる。
喫煙者の非喫煙者に対するリスクの相対的な大きさは0.0099/0.0024 = 4.1となり、これはリスク比と呼ばれる(表では、リスク比は4.5となっているが、これは複雑な統計モデルを用いてより正確に計算した値である)。
この表から、過去に喫煙していた以前喫煙者のリスクは非喫煙者よりも高いこと、喫煙と肺がんの関係は男性と女性でそれほど違わないことなどがわかる。
したがって、「喫煙は肺がんのリスク因子である。喫煙すると喫煙しない人に比べて肺がんを発症するリスクが約4倍になる」という結論が導かれる。
喫煙と肺がんについては、1950年代から世界中で同様の研究が多数行われ、ここに示した結果とほぼ一致した結果が得られている。
リスク因子は予防対策につながる
このような大規模な集団に対する調査に加えて、たとえばタバコのどの成分が有害なのかを調べるための動物実験など、さまざまな研究を積み重ねることにより、疾患に関するリスク因子が少しずつ明らかになっていく。
このように、リスク因子を明らかにすることによって、たとえば禁煙キャンペーンなどのがんの予防対策を効果的に行うことができる。
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