通貨に関する統計|【社会経済統計学・統計解析】
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通貨に関する統計
通貨に関する統計
金融の統計で金利と並んで最もよく注目されるのがマネーサプライである。
マネーサプライには,その範囲によっていくつかの定義がある。
日本では以下のような定義が行われている(日本銀行調査局発行『金融経済統計月報』より)。
M1 :現金通貨+預金通貨(当座・普通預金等の要求払預金)
M2+CD : M1 +準通貨(要求払預金を除く一般・公金預金)+譲渡性預金
M3+CD : M2+CD+郵貯+農協+信用組合+金銭・貸付信託等
広義流動性:M2+CD+郵貯+農協+信用組合+金銭・貸付信託+金融債+国債+投資信託等
マネーサプライの変動は景気動向とも密接に関係しているほか,M3や広義流動性は,郵貯などへの資金シフトのようすを把握するのによく使われる。
CD(譲渡性預金:negotiable certificate of deposit)とは,第三者に譲渡可能な銀行の預金証書であって,金融市場で自由に売買できる。
以前は,期間については2週間から2年,1口当たりの金額については1979年5月のスタート当初は最低5億円, 1984年1月から3億円になり, 1985年4月からは1億円, 1988年4月からは5,000万円と,期間や最低発行単位に関する規制があったが,現在では撤廃され,自由になっている。
発行金利は現先,手形レートなどを参考に発行者(銀行)と購入者(流通業者,企業,地方自治体など)の交渉で決まる。
特に1980年代後半以降金融緩和と金融商品の多様化を反映して,M1に比べてM2十CDの仲び率が顕著に大きくなっている。
しかし,株式市場が急落した1990年を境にして,伸び率は大きく鈍化している。
なお,マネーサプライには明確な季節変動がある。
中でも現金通貨の大半を占める日本銀行券は,年末年始や5月の連休のときなどに,発行量が顕著に増える。
したがって,月次,四半期統計を見る場合には注意が必要である。
『金融経済統計月報』には季節変動調整済み系列も掲載されている。
次に,金融機関からの資金の貸出状況と預金の状況について見てみよう。
銀行の貸出先は1985年からの約10年間で大きく変化した。
1985年時点における製造業への貸出が全体の26%と大きなウェイトを占めていた。
その後,資金の豊富な企業や市場から直接資金を調達する企業が増え, 1995年には15%に低下した。
一方,建設・不動産業への貸出は,13%から19%に上昇している。
1980年代後半のいわゆるバプル期に銀行の貸出先がかなり変化したことがわかる。
すなわち,これまで日本経済を牽引する最も大きな産業であった製造業の比率が大きく低下する一方で,建設・不動産業の比率が高まっている。
また,住宅資金への貸付の割合も大きく上昇している。
バブル期には,日本人は,1人16万円も借金して消費していたことになる。
なお,バブル経済の崩壊以後,同貸出残高は減少を続け, 2003年には9兆円弱となっている。
次に,預金について見てみよう。
国内銀行の預金残高は1998年から2003年までの5年間に9.3%の増加となっている。
また,信用金庫も4.4%の増加となっているのに対して,郵便局は10.0%の減少となっており,金融機関の業態ごとに違いが見られる。
国内銀行における預金者別預金残高の推移は、2003年の残高を5年前(1998年)と比較してみるとに普通預金などの要求払預金と定期性預金の合計残高は,一般法人及び公金は減少しているが,個人は増加している。
また,要求払預金と定期性預金を分けて見ると,ペイオフ制度の影響から要求払預金は増加しているが,定期性預金は減少している。
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