横断・有病率・発生率研究で探る疾患の全貌【ChatGPT統計解析】
横断研究、有病率調査、発生率研究は、特定の集団における疾患や健康状態の有無を観察するものである。これらの研究は、対象集団を定義し標本を抽出、特徴を明らかにするという手順で行われる。NHANESのような大規模な横断研究により、米国の肥満有病率の推定値が示される。有病率はある時点での疾患保有者数をリスクのある集団で割り算出される。発生率研究は新たな患者を特定し、正確な分母を得る重要性が強調される。標本の代表性を保つため明確な抽出方法が必要で、結果は母集団に一般化可能である。疾患定義も統一され、再現性や実行可能性が求められる。
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横断研究,有病率調査,発生率研究
目的とデザイン
横断研究,有病率調査,発生率研究は,症例集積研究よりも多くの被験者からなるが,個人レベルのデータを含んでいる.
これら3つのデザインでは,ある特定の時点での,ある明確な集団における,疾患,健康状態,健康に関連した特徴の有無について観察する.
この研究の大まかなデザインは. (1)対象集団を定義する(2)その集団から標本抽出する. (3)研究対象の特徴を明らかにする,である.
米国で最も大規模な横断研究の1つに, NHANES(National Health and Nutrition Examination Survey.全米健康・栄養調査)がある.
この研究結果の事例として,米国における肥満の有病率の推定値(prevalence estimate)がある.
有病率は,ある時点における,ある疾患や健康状態を有する集団の人数または項目数を,その時点でそれらのリスクがある集団の人数で割ったものとして定義される.
有病率調査は,疾患とその発現の分布を特徴づけるのに用いられることがある.
そのような調査は,一般的に,疾患が最近発症したものでも長期にわたるものでも,その時点で存在するすべての患者を調査に入れる.
対象集団としては,「2000年に米国に在住した65歳以上の黒人」,「1995年から2004年の間にベリリウムを扱う場所で勤務していた大」.「2014年度から2015年度にMontgomery郡(アラバマ州)に住んでいた公立学校の生徒」などがあり得る.
関心のある状態は,高血圧,肺がん,または学校の欠席日数かもしれない.
臨床研究では,「高血圧治療を受けている患者で. 1989年から1996年の間にGroup Health Cooperative of Puget Sound (健康保持機関Health Maintenance Organization の1つ)に加入していたすべての人」のような患者標本が選択されるかもしれない.
もちろん,この結果の一般化可能性には限界がある.
高血圧や変形性関節症のように頻度の高い疾患では,場所と年齢層を特定し,そこから標本を抽出することができる.
有名な疫学研究として,マサチューセッツのFramingham.ミシシッピのJackson.ミシガンのTecumsehがある.
発生率研究(incidence study)は.ある一定期間中に発生した新たな患者を特定する.
研究データを評価する時は,結論を出す前に,妥当なモデルの構築に必要とされる情報のすべてが解析に含まれていることを保証することが重要である.
これら3つの横断研究すべてにとって重要なことは,誰が,もしくは,何がリスクにさらされているのかを明確にすることである.
もし,一般的な集団の調査によって,アメリカ人の成人における高血圧の評価と,婦人科疾患の評価を行うのであれば,婦人科疾患の有病率は,有病率を推定するための分母として,調査中のすべての男女の人数を用いるのではなく,女性の人数を用いる.
正確な分母を得ることは,容易ではないこともある.
例えば,発生率を算出するため,新規患者の数を正確に計算するためには,それが新たに起きた疾患ではない人をすべて除くことが重要である.
疾患が初めて診断されたのはいつなのかを,調査では尋ねていないかもしれないし.診断された人が覚えていないかもしれない.このことについては,「誤り,勘述い,誤った解釈」である可能性がある.
基本的には,ある疾患にかかる可能性をもつ集団の全員について調査することは.実行可能でないだけでなく必要もないといえる.
明確に規定した標本抽出法(sampling)を使えば,集団や集団のサブグループから,十分に代表的な標本抽出ができる.
標本を評価して導かれた結論は.標本が抽出された母集団への一般化が可能である.
最も重要なことは,何を研究しようとしているのかを定義することである.
何をもって,ある研究の被験者における,疾患や特徴の有無を定義するのか.病態によっては,それが真に存在しないことを確認するのが非常に困難なものもある.
例えば,アテローム性動脈硬化は非常に多く見られ,その発現が非常にとらえにくいことがあるため,かなり詳細な病理学的研究(検死解剖症例)やイメージング(生体)をしなければ病態が存在しないことを確認できない場合もある.
これらの調査や研究における,病態や健康上の特徴の定義は,大規模研究にも通用するような,標準化された,再現性や実行可能性のあるものにすべきである.
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