米国における臨床試験に影響する制度【統計解析講義応用】

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米国における臨床試験に影響する制度|【統計学・統計解析講義応用】

米国における臨床試験に影響する制度【統計解析講義応用】


目次  米国における臨床試験に影響する制度【統計解析講義応用】

 

 

米国における臨床試験に影響する制度

 

米国において臨床試験の報告に彫響を及ぼしている制度として. ICMJEによるものと連邦法(FDAAA)によるものとがある.

 

さらに. FDAAAでは. FDAによる承認・認可・許可された医薬品,生物学的製剤および医療機器の臨床試験として登録された試験のうち,一定の要件を満たすものについて, ClinicalTrials.govの結果データベースに試験結果を報告することが定められている.

 

国際的な取り組みの状況

 

WHOでは, 2004年以降,試験登録を促進すべく国際的な支援を行っており,登録に必要とされる最低限の項目を定めるために臨床試験登録データセット(Trial Registration Data Set)を設け,さらに国際臨床試験登録プラットフォームポータル(International Clinical Trials Registry Platform Search Portal)を開設・運営している.

 

ICMJEでは, ClinicalTrials.govの他,WHOポータルにある13の一次登録(primary registry, 2011年5月8日現在)に対する登録を認めている.

 

しかし,登録臨床試験数が増加している背景には,未解決の問題が関与している.

 

例えば,臨床試験が複数回登録(あるいは二重登録[duplicate registration])されるという事態が,世界中の登録制度で問題となっており,異なる2種類の制度に登録された試験が同じものであるのか,それとも異なる試験であるのかを判別することが困難になっている.

 

2004年に,EUの欧州医薬品庁(European Medicines Agency, EMA)は,法令に基づいて,欧州臨床試験データベース(European Union Drug Regulating Authorities Clinical Trials database. EudraCT)を立ち上げたが.これは,EUの規制対象となる医薬品や生物学的製剤の臨床試験に関するデータベースである.

 

当初EudraCTは,EU内の行政機関に対してのみ公開されていた.

 

その後の法整備により, EudraCTに登録された一部の試験のプロトコールおよび結果に関しては,認可の状況にかかわらず,一般公開しなければならないとされた.

 

2011年前半に. EMAはEU臨床試験登録制度(https://www.clinicaltrialsregister.eu /ctr・search/)を創設した.

 

この制度の本格運用が開始されると. EudraCTに報告された試験のプロトコールおよび結果を誰でも見ることができるようになる.

 

 

ClinicalTrials.govに臨床試験を登録する手順

 

登録とは,臨床試験のプロトコール概要を公開する目的で提供することを言う.

 

ClinicalTrials.govでは,以下に示す2つの基準に適合する限り,いかなる生物医学研究や健康関連試験でも登録することができる

 

1.被験者保護および倫理審査に関する要件(またはそれに準じるもの)に適合していること(例えば,IRBにより承認を受けていること)および,

 

2.国または地域における保健当局(またはそれに準じる機関)が定める規制に適合していること.

 

ClinicalTrials.govは長期にわたって情報を公開する制度であることから,一旦掲載された情報は,臨床試験が終了した後も継続して公表される.

 

登録データの提出は,ウェブサイトのプロトコール登録システム(Protocol Registration System, PRS)から,インタラクティブ・データ入力またはXML形式ファイルのアップロードにより行う.

 

入力またはアップロードされたデータはデータプロバイダが確認し,承認した後,データ(record)は, ClinicalTrials.govの審査スタッフに送られる.

 

各データについて,妥当であるか,意義のあるものかデータ内部に矛盾や齟齬はないか,形式が正しいか等のチェックが行われる.

 

大きな問題が発見された場合には,データにコメントを付して返送される.

 

問題がない場合は,2〜5営業日のうちにClinicalTrials.govのサイトに掲載される.

 

初回掲載時点で,各試験に対して,「米国臨床試験登録番号(NCT number)」と呼ばれるClinicalTrials.govに固有の番号が割り振られる.

 

このNCT番号は,これ以降,医学雑誌への投稿, FDAやNIHへの申請, PubMedの検索インデックス等様々な場面で用いられることになる.

 

掲載されたデータは,一般に公開され,データ提供者はPRSを介してデータの維持管理を行う.

 

更新が必要なデータ(募集状況など)については. PRSにより適宜改訂し,再掲示される.

 

データ更新は,最新かつ正確な情報提供が維持されるように,迅速に行わなければならない.

 

変更履歴とその変更日は,一般に公開されたアーカイブから見ることができる.

 

標準的データと最小データセット

 

ClinicalTrials.govに登録するデータは,次の4カテゴリーに区分することができる.
1.記述データ(試験の種類,相,試験デザイン,結果など)
2.患者募集に関する情報(適格基準,募集状況など)
3.所在地および連絡先(試験依頼者名.施設名,連絡先など)
4.管理データ(試験番号,その他機関を特定できる番号など)

 

以上のデータ項目は,試験の特徴を説明する上で必要とされる基本的情報である.

 

ClinicalTrials.govやその他の登録制度において,これらすべてのデータが必要とされるわけではないものの,データ提供者には,できる限りのデータを提供することが求められる.

 

ClinicalTrials.govが定めるデータ項目には. ICMJE/WHOが定める20項目の試験登録データセットが含まれていることに注意.

 

 

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