系統抽出法|【統計学・統計解析講義応用】
系統抽出法
ここで最後に述べる標本抽出デザインは,正確な手順をもちいることによって,確率標本抽出にも非確率標本抽出にもなる.
系統抽出法(systematic sampling ; 等間隔抽出法)では,リストや集団から一定の間隔で事例を抽出する.
たとえば,患者リストの10人目ごとに患者を選んだり, ANA会員名簿で100人目ごとに会員を選ぶ.
系統抽出法では,本屋に入る人,道路を歩いている人,病院を出る人などを,何人目かごとに標本にもちいることもある.
そういう場合,母集団を,本屋に入るすべての人々,歩いているすべての人々,病院を出るすべての人々,というように狭く限定しないかぎりは,標本抽出は,本質的に非確率標本抽出である.
系統抽出法を適用できれば,本質的に,無作為標本が抽出される.
リストもしくは標本抽出枠があれば,次のような手順をもちいることができる.
望ましい標本の大きさを一定の数(n)で決める.
母集団の大きさ(V)がわかっているか,推定しなければならないVを71で割ると,標本抽出の間隔が求められる.
標本抽出間隔(sampling interval)とは,標本として選ぶ要素間の標準的間隔をいう.
つまり,そのリストの200番目ごとの要素が,標本として抽出されることになる.
最初の要素は,乱数表をもちいて無作為に抽出すべきである.
乱数表から73を無作為に抽出したとしよう.73をはじめに, 273番の人, 473番の人, 673番の人というように,標本が抽出される.
別の方法としては,1ページにリストされた要素の1番からある番号までの数から,1つの番号を無作為に選び,次に,全ページ上からん番目ごとの単位(例:各ページの38番)を無作為に選ぶこともできよう.
このような手法で実施した系統抽出法は,本質的には単純無作為抽出法と同じ結果を生むが,はるかに労力が少ない.
ある種の要素が,標本抽出間隔と一致した間隔で配列されているようなリストでは,問題が生じるだろう.
たとえば,10人目ごとに主任ナースが配列されているようなナース名簿をもちいて,10人間隔で標本抽出を行った場合,主任ナースがいつも抽出されるか,またはまったく抽出されないことになる.
幸い,この種の問題はまれである.
たいていの場合,系統抽出法は,単純無作為抽出法と比べ,効率的な手法で同じ結果を得られるので望ましい.
系統抽出法は,層化されたリストにも適用できる.
系統抽出法の例
トール,ティルデン,ローゼンフェルト,ピックマンは,亡くなった人の家族を調査して,死にゆく人の最適ケアの障害となるものを探索した.
標本枠は,オレゴン州における2万4074名の死亡証明書であった.
そこから系統抽出法によって1458の証明書を抽出した.次に,できるかぎり多くの家族を見つけだし,電話面接を行った.
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