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機能と健康関連ＱＯＬの測定を行う根拠

1948年. WHO (World Health Organization.世界保健機関）は，重要な新機軸を打ち出した．

それまでは主に疾患により方向づけられていた方針を変更し．健康の概念を定義し，結果を評価することを促した．

ＷＨＯは「健康とは，単に疾患がないとか，病弱ではないということではなく，身体的にも，精神的にも．そして社会的にも，すべてが満たされた状態(well-being)にあることをいう.」と定義し，生物心理社会的アプローチを取り入れた.

この健康の定義は，健康アウトカム(health outcome)を測定するために必要とされる領域と尺度を設定した.

このことによって，機能，能力の測定値とともに，身体的，精神的，社会的健康の領域の測定値を包含するアウトカム指標を用いることの重要性が周知された．

これらの領域あるいは尺度間の関係は，多くの研究のきっかけとなる．

領域は，社会や経済などの複雑な関係の中で，必ずしも疾患に依存しなくとも因果的な結びつきや関連性があるかもしれない．

機能障害(impairment)は，障害(disability)を進行させ，障害はQOLを低下させるということは一般に認められてきたが，これらの関係は直線的でも一方向的でもない．

例えば，筋萎縮は，神経学的障害からだけではなく廃用(disuse)に起因しているかもしれない．

廃用性筋萎縮であれば，萎縮が回復(reversibility)する可能性はより高い．

障害を軽減することを目的とする治療は，機能障害を回復させ，筋肉の量と強度を増強する可能性がある．

また．それは，患者自身の健康についての患者の視点(perspective)を理解することは妥当であることを実証した．

当初．これらの測定値は，観察者が測定した客観的な評価よりも，信頼性が低く，有効性に欠けるという点から「脆弱(soft)」と考えられていた．

しかし現在では，一般的に，個人の健康と機能について有益かつ信頼できる情報を提供し，死亡率についての予測値を有することが合意されている.

患者自身の報告書は，患者が自身の健康と自分たちの生活に対してどのように感じ．実行し，満足度(satisfaction)はどれくらいであるかという情報を得るためにデザインされており，臨床研究の要件となっている．

現在「患者報告アウトカム(patient reported outcome, PRO)」と呼ばれているこれらの測定値もまた改善されてきた．

また，その心理測定特性は検証され，その多くは内部的な整合性と妥当性が実証されている．

さらにそれらは，試験群に応じて，重要な臨床的差異を最小限に実証するのに十分な感度(sensitive)がある．

有益な患者報告アウトカムのための要件は，多くの場合，年齢，性別，そして中立的な診断．広い汎用性があること，が求められる．

これらは，患者に対して有益である症状の応答についての有益な情報を提供するので，多くの研究者はある程度この種の評価を容認した.

医療制度(health care system)は，疾患による患者の負担の軽減に取り組んでいるだけではなく，患者優先度(patient priority)をますます認識するようになった．

それは，疾病管理，死亡率などの枠を超えた患者のＱＯＬに貢献するその他の要因に目を向け始めている．

患者優先度には，要件として，独立していること，評価された活助が維持されること，日常生活におけるすべての側面で良好な状態(well-being)を達成することが求められる．

実際，米国食品医薬品局（Food and Drug Administration ＦＤＡ）は有効性を証明するために，機能測定値(functional measure)を臨床試験に含めることを要求している．

1948年、世界保健機関（WHO）は、健康に関する革新的な定義を提唱しました。それまでの医療や保健の方針は主に疾患そのものに焦点を当て、疾患を治療・予防することが中心でしたが、WHOは「健康」の概念を新たに定義し、より広範な視点で健康を捉えるべきであると強調しました。WHOの健康の定義は、「健康とは、単に疾患がない、あるいは病弱ではないというだけでなく、身体的、精神的、社会的にすべてが満たされた状態（well-being）にあることを指す」というものです。この定義によって、単なる疾患の有無だけでなく、健康を評価する際には人間の多様な側面を包括的に捉える必要があることが認識されました。WHOのこの定義が登場したことで、従来の医療や保健分野は単なる疾患の治療だけでなく、身体的、精神的、社会的な健康のバランスを重視した「生物心理社会的アプローチ」を取り入れるようになり、健康の定義や評価基準が大きく変化しました。この「生物心理社会的アプローチ」により、健康アウトカム（health outcome）を評価するための領域や尺度が整備されました。これにより、健康評価は単なる病状や体調の評価だけではなく、機能や能力に加え、身体的、精神的、社会的健康の測定を含む多次元的な指標に基づくものとなりました。この新しいアウトカム指標の導入によって、患者の健康状態をより包括的かつ具体的に理解するための道が開かれたのです。また、これらの領域や尺度の関係性の解明は、多くの研究の出発点となり、様々な分野での研究活動を活性化させるきっかけにもなりました。健康には社会的および経済的な背景が強く影響しているため、疾患の有無にかかわらず、これらの背景要因が健康状態やQOLに因果的な結びつきを持つ可能性があることも注目されています。例えば、機能障害（impairment）は、日常生活におけるさまざまな制約や不便さを引き起こし、それが長期的に見ると障害（disability）に発展し、結果的にQOL（生活の質）を低下させることが一般に認識されています。しかし、この関係は必ずしも直線的で一方向的ではありません。たとえば、筋萎縮は神経学的な障害だけでなく、長期間の廃用（disuse）によっても引き起こされる場合があります。このような廃用性筋萎縮であれば、適切なリハビリテーションや運動療法によって萎縮が改善される可能性が高いとされています。これにより、単なる機能回復を目指す治療にとどまらず、患者が健康であると感じられるよう、QOLの改善に焦点を当てたアプローチが重要であることが認識されています。さらに、患者自身が健康についてどのように感じているか、またどの程度の満足度を持っているかを把握することの意義が高まってきました。かつて、患者自身が記入する健康評価の質問票は「脆弱（soft）」と見なされ、観察者による客観的評価に比べて信頼性や有効性に欠けるとされていました。しかし、現在では「患者報告アウトカム（Patient Reported Outcome, PRO）」として一般に認知され、個人の健康や機能に関する有益かつ信頼できる情報源として広く受け入れられています。これらのPROの質問票は、患者が自分の健康についてどのように感じ、生活の中でどのように実行し、どれほどの満足感を得ているかに関する情報を得るために設計されています。臨床研究においては、こうした患者の視点を取り入れることが要件とされており、特に患者が報告するアウトカムは、患者が自らの健康や生活に関して感じる充実感や満足度の指標として、広く使用されるようになっています。これらのPROはその心理測定特性が検証されており、内部的な整合性や妥当性も実証されています。また、試験対象者の特性に応じて臨床的に重要な差異を検出できる感度を備えているため、医療や介護の分野で幅広く活用されています。PROを用いた評価は、年齢や性別、特定の診断に依存しない汎用性があり、多くのケースで有効とされており、症状の変化や治療の効果を患者の視点から直接的に把握するための情報を提供します。これにより、患者の生活の質（QOL）を向上させるための医療的介入の有効性を検証することが可能になっています。医療制度も、単に疾患の負担を軽減するだけでなく、患者が自分自身の生活や健康についてどのように感じているかという「患者優先度（Patient Priority）」の概念をますます重視するようになりました。これは、疾病管理や死亡率の削減を目指すだけでなく、患者のQOL向上に寄与する要因に注目し、健康に対する包括的な理解を目指す動きといえます。患者優先度を考慮するためには、患者が日常生活のすべての側面において良好な状態（well-being）を達成できるよう、独立性や活動の維持といった要素が重視されるべきであるとされています。実際、米国食品医薬品局（FDA）は、治療の有効性を証明するために臨床試験に機能測定指標（functional measure）を含めることを義務づけており、患者の機能的な向上やQOLの改善が治療の効果として認められることが求められています。