効果の指標と関連の指標【統計解析講義応用】

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効果の指標と関連の指標|【統計学・統計解析講義応用】

効果の指標と関連の指標【統計解析講義応用】


目次  効果の指標と関連の指標【統計解析講義応用】

 

 

グループ間の比較:リスク差とリスク比

 

割合と率がわかったところで、2つのグループの割合や率を比較する方法を考えてみましょう。

 

<薬を飲んだグループ>
心筋梗塞発症10例 未発症90例 合計100例

 

<薬を飲まなかったグループ>
心筋梗塞発症20例 未発症80例 合計100例

 

このデータは、ある薬を飲んだグループ100人と飲まなかったグループ100人を何年か追跡調査した結果、何人の人に心筋梗塞が起こったかを集計したものです。

 

心筋梗塞が起きたかどうか、だけに注目しているので、割合を考えます。

 

薬を飲んだグループの心筋梗塞発症割合は、10/100=0.1

 

薬を飲まなかったグループの心筋梗塞発症割合は、20/100=0.2

 

ただ単にこの2つの割合を見比べてもよいと言えばよいのですが、それよりも、2つの割合を比較する計算をして1つの指標を導き出した方が、2つのグループの比較がより容易になります。

 

それがリスク差であり、リスク比であるのです。

 

ここでいきなり「リスク」という言葉を出しましたが、リスクとは、健康に関連するイベントの発生割合のことを指します。

 

では、リスク差やリスク比の計算をどのようにするかと言うと、

 

リスク差=薬を飲んだグループのリスク−コントロールグループのリスク

 

リスク比=薬を飲んだグループのリスク/コントロールグループのリスク

 

です。今の場合、薬を飲まなかったグループがコントロールグループになります。

 

薬を飲むか飲まないか以外だと、例えば、タバコを吸うか吸わないかだったら、コントロールグループがタバコを吸わないグループで、「薬を飲むグループ」の代わりに「タバコを吸うグループ」になります。

 

注意してほしいことは、常にコントロールグループを基準にするので、リスク差だったら、コントロールグループが引き算の後、リスク比だったら、コントロールグループのリスクが分母にきます。

 

この心筋梗塞の例で計算してみると、

 

リスク差=0.1−0.2=−0.1

 

リスク比=0.1/0/2=0.5

 

となります。

 

リスク差がマイナスの値をとっているので、薬を飲んだグループのリスクが2倍少ない(0.5倍多い)ことがすぐにわかります。

 

同じようにして、2つのグループの率の差である率差や2つのグループの率の比である率比も、率を計算すれば計算することができます。

 

 

効果の指標と関連の指標

 

もう少し深く考えてみましょう。

 

今、計算したリスク差の値から、薬を飲んだグループのリスクが0.1小さいことがわかりました。

 

これはいったい何を意味するのでしょうか?

 

もしかすると、

 

この薬を飲むと、飲まない場合に比べて、心筋梗塞を発症する人が100人中10人減る

 

と思うかもしれません。はたしてそうでしょうか。

 

これは、薬を飲むか飲まないかという「原因」と心筋梗塞が発症するかどうかという「結果」の間の関係性について述べています。

 

つまり、因果関係が調べられる状況の下でだけ成り立つリスク差の値の解釈なのです。

 

因果関係が調べられない状況では、

 

例えば、薬を飲むグループが若い人ばかりで、薬を飲まないグループに年配の人が多かったら、

 

このようにリスク差の値を解釈することはできませんよね。

 

薬を飲んだから心筋梗塞を発症する人が減ったのか、若いから(年配の人に比べて)発症する人が少なかったのかがわかりません。

 

このような場合には、

 

薬を飲んだグループでは、薬を飲まなかったグループに比べて、心筋梗塞を発症する人が100人あたり10人少なかった。

 

と事実関係を述べることしかできないのです。

 

リスク比についても同様で、因果関係が調べられる状況では、

 

この薬を飲むと、薬を飲まない場合に比べて、心筋梗塞を発症する危険性が2倍減る。

 

と解釈できるけれども、因果関係が調べられない状況では、

 

この薬を飲んだグループでは、薬を飲まなかったグループに比べて、心筋梗塞の発症が2倍少なかった。

 

と事実関係を述べることしかできないのです。

 

因果関係が調べられる状況でのリスク差やリスク比といった指標を、総称して効果の指標と呼ぶことがあります。

 

それに対して、因果関係が調べられない状況でのリスク差やリスク比といった指標を、総称して関連の指標と呼ぶことがあります。

 

同じ計算結果でも、解釈が全然違ってくるので注意が必要です。

 

 

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