横断と縦断で探る!データで見る変化と予測【ChatGPT統計解析】
横断的研究では特定の時点における異なる集団を比較し、ミンデルとヤコブソン(2000年)は妊娠期間中の睡眠パターンと睡眠障害の頻度を4つの妊娠期間において比較し、特に妊娠後期に睡眠障害が多いことを発見した。縦断的研究は同一集団の複数の時点でデータを収集し、時間経過による変化を追跡する。例えば、傾向研究やパネル研究、コホート研究などがある。傾向研究では、特定母集団の継時的変化を調査し、将来予測も可能とする。パネル研究は同じ人々を複数回追跡し、行動や特性の変化を調べるものであるが、参加者の減少が結果の偏りをもたらす可能性があり注意が必要だ。追跡研究は特定の介入後の影響を検証し、長期的効果を確認する。研究デザインの決定には教授や同僚の助言を仰ぎ、その根拠を記録し改善点を確認することが推奨される。
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横断的研究の例
ミンデルとヤコブソン〔Mindell & Jacobson, 2000】は,妊娠中の睡眠パターンと睡眠障害の罹患率を査定した.
横断的デザインをもちい,妊娠期間の次の4時点にある女性たちを比較した.
つまり,8〜12週,18〜22週,25〜28週,35〜38週である.睡眠障害は,とくに妊娠後期によくみられる,という結論を得た,
縦断的デザイン
長期にわたって,複数の時点でデータを収集する研究は,縦断的デザイン(longitudinal design)をもちいる(手術後の患者から2日間にわたりバイタルサインについてのデータを収集する研究は,縦断的とはいわない).
縦断的デザインには,いくつかの種類がある.
傾向研究(trend study)は,母集団から抽出した標本を,ある特定の現象に関して継時的に研究するものである.
異なる標本を,間隔をおいて繰り返し選ぶが,それらの標本は常に同じ母集団から抽出する.
傾向研究は,継時的な変化のパターンと割合を検証し,将来の動向を予測できるようにする.一般に,傾向研究は調査(survey)に基づいている.
傾向研究の例
グリーンフィールド,マイダニク,ロジャーズ〔Greenfield, Midanik, & Rogers, 2000〕は. 1984年. 1990年. 1995年の全国アルコール調査を利用して,米国における10年間のアルコール消費の傾向を研究した,
1984〜1990年のあいだに,重度飲酒の割合は下降したが. 1990〜1995年のあいだには変化はなかった.
コホート研究(cohort study)は,傾向研究の特殊なもので,特定の集団を継時的に検討するものである.
ふつうは,ある年齢に関連している特定の集団から標本を抽出する.
たとえば, 1946年から1950年までの期間に生まれた女性のコホート(出生コホート)を一定の間隔で調査して,そのヘルスケアの利用率を調べることができる.
横断継続的デザイン(cross-sequential design)というデザインでは,2つ以上の年齢コホートを縦断的に調査し,これによって,継時的変化と世代(コホート)差とを明らかにできる.
パネル研究(panel study)は,同じ人々をもちいて,2回以上の時点でデータを収集する.
パネル(panel)という用語は,データを与えてくれる対象の標本を指す.
同じ人々が継時的に調査されるので,変化した対象と変化しなかった対象との識別ができ,2つの集団を区別する特性を検証できる.
一例として,のちに喫煙をやめることのできた人々の先行特性を,継時的に探索するパネル研究をデザインできよう.
パネル研究では,研究者は,第1時点での状態や特性が,第2時点でのそれらにどのように影響したかを検証することもできる.
たとえば,第1時点で異なる健康関連行動をもつ個人において,第2時点での健康上の結果を調べることができるだろう.
パネル研究は,変化を調べる方法として魅力的だが,運営に費用がかかり,窮地に陥ることもある.
もっとも深刻な問題は,参加者が時とともに減っていくことである.
これを自然減(attrition)という.
なぜ自然減が問題かというと,途中で研究から脱落する人々と,最後まで残る人々とが,重要な側面で異なっていることが多く,結果的に偏り,一般化可能性に欠けるおそれがあるからである.
パネル研究の例
ウィルソン,ホワイト,コップ,ガリー,グリーン,ポポヴィッチ〔Wilson, White, Cobb, Curry, Greene, &Popovich, 2000〕は,父親と胎児,および母親と胎児のアタッチメントと,乳児の気質との関係性について探索した.
まず,妊娠第3期の妊婦とそのパートナーからデータを集めた.
これらの親のデータを,それから1年後,生後8〜9か月時の乳児の気質と関連づけた.
追跡研究(follow-up study)は,パネル研究とよく似たデザインである.
通常,特定の状況下に置かれた人や,特定の介入を受けた人の,その後の動向を判断するために行う.
さらに一般的な母集団から標本を抽出するパネル研究とは違う.
たとえば,特定の看護介入や臨床治療を受けた患者について,治療の長期的効果を調べることもあろう.
別の例として,未熟児から標本を抽出して,その後の認知能力や運動能力の発達を追跡することもできよう.
追跡研究の例
マクファーレン,ソーケン,ヴィースト〔McFarlane,Soeken, & Wiist, 2000〕は,親しいパートナーによる妊婦への暴力を減らすためにデザインされた3種の介入を検証した.
身体的虐待を受けた300人以上の妊婦の標本が,出産後2. 6. 12. 18か月後に面接による追跡を受けた.
要するに,縦断的デザインは,ある現象が時間の経過とともにどのように力動的に変化するかを研究するのに適している.
研究者は,研究の性質と利用できるリソースに基づいて,データ収集の回数とそれらの間隔を決定する必要がある.
変化や発達が速い場合は,回数を増やし,間隔を短くして記録する必要があろう.
最初のデータ収集から何年ものちに生じる結果に関心のある研究者は,長期にわたる追跡調査を行う.
しかし,間隔が長いほど自然減のリスクが増し,通常,研究にかかる費用も高くなる.
単独でデザインを決定しようとしてはならない,教授や同僚,研究コンサルタントなどの助言を求めよう.
ひとたびデザインを決定したならば,その選択の根拠を書きとめておくと役立つかもしれない.
その根拠をみせて,相談した人たちに,あなたの推論に不備があるかどうかを見つけてもらったり,さらなる改善のために助言できそうか,みてもらおう.
量的研究デザインは,実験研究と非実験研究に基本的に区別される.
実験(experiment)では,研究者は,受動的な観察者ではなく,能動的な執行者である.
現象について純粋に観察することは価値があるが,自然な状態で生起する事象の複雑さによって,重要な関係を理解するのがしばしばむずかしいことを,自然科学者は昔から知っていた.
この問題は,実験室で現象を孤立させ,それが生じる条件をコントロールすることによって処理されてきた.
自然科学者によって生みだされたこの方法は,19世紀になると生物学者に効果的に利用され,生理学や医学において多くの成果をもたらした.
20世紀には,人間の行動に関心ある研究者も,この実験的方法をもちいるようになった.
横断的研究と縦断的研究は、いずれも時間経過や特定の集団の状態の変化を追跡する研究方法として広く利用されており、それぞれに特徴と適用分野が異なります。まず、横断的研究は特定の時点において異なる集団を比較し、現時点での傾向や分布を把握するために用いられます。例えば、ミンデルとヤコブソン(2000年)は妊娠期間中の睡眠パターンと睡眠障害の罹患率について、妊娠8〜12週、18〜22週、25〜28週、35〜38週の4つの時点で異なる妊婦集団を比較しました。この横断的デザインを用いることで、彼らは妊娠後期になるにつれ睡眠障害の割合が増加することを発見しました。横断的研究は、データ収集が短期間で行える点、比較的低コストで実施可能な点で利点がありますが、一方で各時点でのデータを基にして時系列の変化を直接追跡することはできません。したがって、原因と結果の関係性を確定することが難しく、時間的な因果関係があいまいになりやすいという課題もあります。一方、縦断的研究は長期的にデータを収集し、特定の集団の時間経過における変化を追跡するものであり、同一の集団から複数回データを収集することで時間経過に伴う変化を捉えやすいという特徴があります。このため、縦断的研究は発達や進展、行動の変化などを観察するために適しており、医療や心理学、社会学など多様な分野で利用されています。例えば、縦断的研究の一種である傾向研究(trend study)は、母集団から標本を選び、同じ母集団から異なる時点で標本を抽出して比較することで、継時的変化のパターンや割合を検証し、将来の傾向を予測することができます。グリーンフィールドら(2000年)はこの傾向研究を利用し、1984年、1990年、1995年に行われた全国アルコール調査のデータを基に、アメリカにおける10年間のアルコール消費の変化を調査しました。調査の結果、1984〜1990年の間には重度飲酒の割合が低下したものの、1990〜1995年の間ではほとんど変化がないことがわかりました。このように、傾向研究は大規模な母集団に対する調査に基づき、特定の現象の進展や変化を把握し、政策立案や予測に役立てられますが、毎回異なる標本を選ぶため、同一の個人や細かい行動変化を追跡することは難しい面もあります。縦断的デザインには他にもコホート研究(cohort study)という方法があります。これは特定の年齢や出生年などに基づく集団を長期にわたり調査し、継時的変化を捉えるもので、特定の時期に生まれた人々の行動や健康の変遷を調べる際に有効です。例えば、1946年から1950年までに生まれた女性のコホートに焦点を当て、数年おきにヘルスケア利用の頻度や健康状態の変化を追跡することで、その年代の人々の特徴や時代の影響を検証できます。コホート研究は、集団全体の傾向だけでなく、特定の年齢層や年代特有の要因が健康や行動にどのように影響するかを明らかにできるため、社会的、経済的、医療的な政策を考える上でも重要です。また、縦断的デザインの中でも、横断継続的デザイン(cross-sequential design)というものがあります。このデザインは、異なる年齢のコホートを複数時点で縦断的に調査し、各コホートにおける時間的な変化と世代間の違いを比較するために用いられます。横断継続的デザインは、発達研究や心理学などで、世代や年代の違いが発達に及ぼす影響を詳しく分析する際に役立ち、発達の普遍的なパターンと世代ごとの違いの両方を把握できます。さらにパネル研究(panel study)も縦断的デザインの一種であり、特定の同一集団を複数の時点で追跡調査し、時間経過による変化を詳細に捉えることができます。例えば、喫煙者を対象としたパネル研究では、禁煙成功者の先行要因や、禁煙後に変化した健康状態を比較することで、喫煙習慣が健康に与える影響や禁煙に至る要因を分析できます。パネル研究は同じ対象を長期にわたり追跡することで、集団全体の傾向だけでなく、各個人の変化も詳しく観察できるというメリットがありますが、参加者が途中で離脱するリスク(自然減)も伴い、その結果が偏ってしまう可能性もあります。自然減は特に長期的な研究で問題となり、離脱した参加者と継続した参加者の間に何らかの特性の違いがある場合、調査結果に偏りが生じ、研究の一般化可能性が低下する恐れがあります。したがって、パネル研究では参加者の継続的な協力を確保するための努力が必要となります。追跡研究(follow-up study)は特定の介入や治療を受けた集団を一定期間後に追跡する研究であり、医療分野や介護分野で多く用いられます。例えば、手術や特定の治療法の長期的な効果を検証するために、患者を数年にわたり追跡することがあり、また、未熟児の発達や介入による発達効果を確認するための追跡も行われます。追跡研究はパネル研究に似ていますが、特定の状況や治療を受けた人々に焦点を当てている点が特徴です。マクファーレンら(2000年)は妊婦に対する親密なパートナーからの暴力を減らすための介入を追跡研究で検証し、出産後の数か月にわたって追跡し介入の効果を評価しました。このように、縦断的デザインは時間の経過による現象の変化や動態的なプロセスを追跡するのに適しており、横断的研究と比較して、因果関係や発達過程をより詳細に明らかにできる点がメリットです。しかし、縦断的デザインにはデータ収集が長期間にわたるため高コストである点や、参加者の自然減が発生する可能性などの課題があり、研究者はデザイン選択の際にこれらのリスクや予算も考慮する必要があります。また、横断的・縦断的デザインのどちらを採用するかは研究の目的や仮説、利用できるリソースによって決まりますが、単独でデザインを決定するのではなく、教授や同僚、研究コンサルタントなどの専門家の助言を仰ぐことが重要です。デザインが決定した場合、その選択の根拠を記録しておくことが、後の研究プロセスを円滑に進めるうえで役立つことがあります。また、助言を受けた人々に根拠を示し、推論に不備がないか確認してもらうことで、より確実で有効なデザインの構築が可能となります。量的研究のデザインは、基本的に実験研究と非実験研究に分けられます。
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