プラセボ反応【統計解析講義応用】

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プラセボ反応|【統計学・統計解析講義応用】

プラセボ反応【統計解析講義応用】


目次  プラセボ反応【統計解析講義応用】

 

 

プラセボ反応

 

プラセボとは,ラテン語で“l will please” を意味し,効果のないと思われる介入に対して用いられる用語である.

 

プラセボ反応は,効果のない介入がしばしば引き出す好ましい反応である.

 

科学者と哲学者はこの概念の生成に取り組んできた.

 

臨床試験デザインの目的に対して,プラセボ群をどのように構成し,プラセボ群の反応をどのように解釈するかを検討することは,特に興味深く重要である.

 

背景

 

プラセボが症状の主観的な評価に影響し,患者と試験実施者の両方に機能し得るのは明らかである.

 

この現象についての論争はほとんどなく,その原因は大抵の場合,患者が有効な治療群の中で個々にランダム化されることに関する信念や期待に帰するとされてきた.

 

臨床研究においては,そのような反応はバイアスであり,肯定的な生理学的な便益の兆しというよりも,主として症状報告の変化が原因であるとみなされてきた.
けれども,プラセボは,血圧,気道抵抗,神経機能,胃腸運動を含む様々な生理学的な測定値に影響することも示されてきた.

 

様々な試験が,パーキンソン病患者,アルツハイマー病患者およびうつ病と総合失調症患者の中で,自然発生的な来院毎の変動または疾患の自然経過が原因で期待以上に大きい「プラセボ反応」の水準を示してきた一方で,これらの様々な患者群で典型的なプラセボ反応以上に高くなるメカニズムを調査した試験もある.

 

単純な答えはない.

 

外科的治療後のプラセボの鎮痛反応が減ってエンドルフィンの分泌に帰着し得ることを最初に示唆した報告は,ナロキソンを前治療として大最投与された患者ではプラセボの鎮痛の度合いは減らないという知見によって異議が唱えられた.

 

プラセボ反応は,言語,感覚,気分.運助,未来への期待に対する脳の中枢−すなわち,脳の大部分とその管理下にある身体の各器官.に関与していることは疑いない。

 

これは,豊かで複雑な文学作品をもたらした。

 

最近の精神薬理学の文献は,特にプラセボ反応が高い患者集団における大きなプラセボ効果がここ数年間に著名な抗うつ薬と抗不安薬の多くの試験を失敗に導く原因となったために,プラセボ反応について示唆に富む論争を引き起こした.

 

専門家の中には.プラセボ反応は便益を期待することだけではなく,患者×試験実施者の交互作用も原因となるという考えで,それらの効果を弱めるために,試験実施者に対して精神療法的な介入を避けること,および,患者の薬剤服用順守を確保するために患者と友好的な関係を維持するのは必要最小限にすること,を警告する者がいる.

 

肯定的な報告をして試験実施者を喜ばせたいという患者の望みを弱めるためには,試験治療の価値は未知であることを強調することが役立つ.

 

プラセボ反応はすべての活性治療法の一部となり得ることから.臨床研究者がプラセボ反応を迷惑なものが含まれているとして片づけれぱ,治療の科学的な構想を貧しくしているという逆説が成り立つ.

 

別な見方をすれば,プラセボ反応をよりよく理解することは,認知,期待,環境要因,および活性薬理学的治療法に影響を与え相互に作用する患者×試験実施者の関係を含む治療交互作用という「特有のメカニズム」を明らかにするだろう.

 

臨床研究者の1つの重要な目標は,試験変動に対する治療法固有の効果の比を最大にすることである.

 

大きなプラセボ反応は2つの側面でこの目標に反して働く.1つ目は,「治療法固有の効果」が,治療法の患者とプラセボの患者が示す改善の差になると推察される.

 

患者または試験実施者の期待が治療に影響する程度まで.治療反応の一部分はプラセボ反応とみなし得る。

 

すなわち,「有効な」治療法というよりも期待によって反応する.

 

プラセボ効果が大きい場合には,「天井効果」が固有の治療法で見られ得る差の増分の量を制限するかも知れない.

 

2つ目は,プラセボ反応,およびプラセボと固有の治療法の反応の間の交互作用の性質が,異なる背氛評価方法,期待,試験実施者と関係を持つ個体間で大きく変動するかも知れない.

 

それゆえ.プラセボ反応の平均的な大きさが増加するに従って,試験分散が増加するかも知れず,それは検出力の損失に相当する.

 

 

プラセボ反応者の識別

 

一部の臨床研究者は,プラセボ反応を,実薬治療の効果をプラセボ効果と区別するのが困難になるために,迷惑な変動要因と見ている.

 

1つの回答は,ランダム化の前にプラセボ反応の高い人を識別し,臨床試験から除くことであった.

 

これは入り混じった結論をもたらした.

 

1950年の初めに実施された鎮痛剤の試験において,多くの先導的な調査研究チームは,そのような部分群を選別することが不可能であると結論づけた。

 

オピオイドの投与にプラセボの単回投与を繰り返し混ぜて投与したところ,外科的なあるいはがんの痛みを持つ患者の80%以上が少なくとも1回のプラセボ投与で無痛と報告したのである.

 

けれども,他の疾患領域においては,プラセボ反応者識別の探求は,ランダム化に先立つ単盲検のプラセボ導入(run-in)期の形で存続している.

 

大うつ病性障害(major depressive disorder)の患者は典型的なプラセボ反応よりも高い反応を示す傾向にある.

 

たくさんの臨床試験のうつ状態の患者のコホートの解析で三環系抗うつ薬とプラセボの両方の患者に類似の反応が特定された.

 

最初の気分の改善が変動して開始前の状態に逆戻りするのが,薬剤治療を受けた患者とプラセボ治療を受けた患者の両方とも共通していれば,プラセボ反応であると推察される.

 

逆に,2週間後の治療開始時に安定した改善を示している患者は,事実上,薬剤群に制限される.

 

これらの研究者は,短期のプラセボ導入期を用いることの正当性を主張し,著しいプラセボ反応患者を除外し,導入期間に改善の程度が弱い患者のアウトカムを層別して統計学的に補正することにした.

 

精神医学の研究者でプラセボ導入を役に立たないと考えている人たちもいる.

 

彼らは,この方法は時間を浪費し,意図的にごまかしていて,正しく機能しないと異議を唱えている.

 

彼らは.臨床家がプラセボ導入は現実の治療を提供しているのではないという合図を無意識に発していて.それが患者の反応を弱めている一方で,本当のランダム化の時点ではずっと大きいプラセボ効果が発生していると確信している.

 

Montgomery およびSchweizer, Rickels は,もっと長期のベースライン観察期に代えて,穏やかなまたは急速に周期変化する気分障害の患者を除外することを提案している.

 

過敏性腸症候群における方法の報告の中でHawkey は自然発生的に変動する障害におけるプラセボ導入期に関する別の不利な点を指摘している.

 

導入期間に偶然に症状が弱まった患者を除外することにより,偶然に症状が悪化したかも知れない患者が残されている傾向にある.

 

他に,プラセボ反応は固有の治療反応よりも長持ちしないため,試験期間を長くすることで,治療法−プラセボの差を増加させることを提案した研究者もいる.

 

けれども,試験を長くすれば費用が増し,脱落者も増える可能性がある.

 

さらに,プラセボ反応が長持ちするものもある.

 

後に無用と証明された様々な主要な外科的手術には,十二指腸潰瘍に対する胃冷凍法.狭心症に対する本当のまたは偽の内胸動脈結紮を含むが,最初の頃は,大多数の患者において外科的手術後の一年問は痛みを改善または除去すると報告されていた.

 

プラセボ反応を作り出すものの全部ではないが,患者と臨床医の期待が両方とも間違いなくプラセボ効果による.多くの試験が,錠剤を飲んだ後に副作用に気が付く被験者は.副作用を感じない人たちよりも大きな改善を報告することを示した.

 

そのようなバイアスを最小にするための方法が2つある.

 

1つ目に,試験介入の推定有効性を除くできるだけ多くの変動要因について,プラセボは有効な治療法と同じにすべきである.

 

2つ目に.研究者は盲検化の手段の効果を最大にし,患者と試験実施者が.アウトカム,外見,昧.あるいは治療法の副作用によって,試験での割付を言い当てることができるかどうかを評価するべきである.

 

非薬理学的介入に対してプラセボ対照群を割り当てることは,薬物試験に対してよりも困難かつやりがいのある仕事であろう.

 

 

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