小規模,非盲検,非ランダム化,無対照の試験|【統計学・統計解析講義応用】
小規模,非盲検,非ランダム化,無対照の試験
小規模,非盲検,非ランダム化,無対照の試験はエビデンスを提供しない
ISIS4試験は,約58,000人の被験者を含んだ多施設ランダム化試験であり,数年前. National Institute of Neurological Disorders and Stroke (NINDS,国立神経疾患・脳卒中研究所)の壁内調査研究プログラムが,早期の再発寛解多発性硬化症(relapsing remitting multiple sclerosis, RRMS)において.造影病変画像を疾患活動性の尺度として評価する一連の試験を実施した.
造影物質のガドリニウムが血液脳関門の機能停止の領域を磁気共鳴映像(MRI)上に明るい点または病変として出現させる.
伝統的な疾患活動性の臨床尺度は.身体または精神障害の評価に基づくものであり,その疾患が早期段階にある間は非常に感度が低いことが知られている.
比較により,連続した毎月のMRIで測定されたそれらの病変の個数と面積は,その段階にある疾患活動性のより高感度な尺度になると考えられていた.
一連の第II相(安全性/有効性)試験が,効果に対するβインターフェロンを含む新しい化学物質をふるい分けるために. NINDSで実施された.
1つの試験では. RRMSの早期の相の間,βインターフェロンの病変活動性に及ぼす効果が調べられた.
そのβインターフェロン試験は,14人の患者を13ヵ月追跡するようにデザインされていた.
患者は,最初の7ヵ月(一連の7つのMRI測定)は無治療のままとされ,その後,6ヵ月(一連の6つのMRI測定)はβインターフェロンで治療された.
この試験の主たるアウトカムまたは反応は,治療時の病変のひと月あたりの平均個数から対応する無治療時ベースライン期の平均個数を差し引いたものだった.
試験結果は,βインターフェロンがベースラインと比較して有意に病変個数を減らしていたことを示した.
この試験は非ランダム化試験であり,患者はすべて6ヵ月後に調査治療に切り替えられた.
この種の非ランダム化デザインは,新たな治療剤を割り付けるために用いられることが多い.
NINDSの壁内調査試験プログラムは,前に言及した臨床試験も実施し,難治性部分てんかんの治療に対するフェルバメート単剤療法の有効性を試験した.
この試験の患者は,部分発作および二次性全身性発作があり,術前の監視を受けていた.
フェルバメート単剤療法の効果はプラセボ(不活性の模造錠)のそれと比較された.
40人の患者がフェルバメートまたはプラセボのいずれかにランダム化され,クリニカルセンターで2週間追跡された.
患者の発作回数と種類が2週間,毎日記録された.
この試験の主たるアウトカムは,治療法またはプラセボを受けている患者の1日あたりの発作率だった.
試験結果は,フェルバメート単剤療法がプラセボに比較して発作の回数を有意に減少させたことを示した.
この種のランダム化デザインは,有効性に対して前途有望な新治療法をテストするために用いられることが多い.
これらの例の多種多様な試験デザインは基本的な問題を例示している.
フェルバメート単剤療法試験とISIS-4試験がランダム化臨床試験である一方で,βインターフェロンの効果を評価する試験は非ランダム化試験である.
それらのデザインは,対照群と標本サイズと同様,多種多様であった.
各試験では.研究者は,与えられた治療法が特定の疾患または医学的リスクを持つ患者の治療に有用であるかどうかを決定したかった。
各試験は.試験実施者がその試験の患者だけではなく同様の特徴,疾患,および医学的リスクを持つすべての患者を治療できることを望んでいたから実施されたのである.
各試験は,一連の調査研究の異なる時点で開始されたのである.
これらおよび他の試験例を紹介することの目標は,必ずしもすべての試験が毎回正しいわけではないことを明確にすることにある.
異なる時点では異なるデザイン要素が必要とされる.
時折,情報およびエビデンスを異なる集団あるいは分野から取り入れることができることもあるが.調査研究はどこかで開始しなければならない.
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