量的研究の例【統計解析講義応用】

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量的研究の例|【統計学・統計解析講義応用】

量的研究の例【統計解析講義応用】


目次  量的研究の例【統計解析講義応用】

 

 

量的研究の例

 

地域社会に暮らす女性についてのいくつかの研究では,尿失禁(UI)のためのヘルスケア方略があつかわれ検証されてきた.

 

しかし,ドウガーティら〔Dougherty et al., 2002〕は,都市環境で成人用にデザインされた方略は,田舎の環境にうまく適用できるとはかぎらない,と述べた.

 

彼女らは,フロリダの田舎の7郡で,尿失禁の高齢女性のために,尿失禁のための行動療法(behavioral management for continence: BMC)を実行し,その効果を検証する研究をデザインした.

 

介入は,女性たちの家庭での,バイオフィードバックを活用した自己測定,排尿訓練,骨盤底筋体操などであった.

 

習慣的かつ無意識の尿もれがある55歳以上の218人の女性が,2年以上にわたって,研究の対象となった.

 

対象の半分が無作為に選ばれ,介入を受けた.

 

この手順によって,2つの集団の結果を厳密に比較できた.

 

対象は無作為に2つの集団に振り分けられたので,この2集団は介入の有無以外,他のすべての特質は類似であると推定された.

 

集団属性(つまり,ある女性がBMC集団かどうか)は独立変数である.

 

両集団ともに追跡調査の訪問を受け,6か月おきに2年間にわたって成果データを収集した.

 

第1の従属変数は尿もれである.

 

この従属変数は,失禁パッドの重量の変化を測定し,24時間中にもれた尿のグラム量として,操作的に定義した.

 

尿のアウトカムに関する第2の従属変数は,対象がつけている3日間の排尿記録(例:頻尿の程度や尿もれの出現)から得られる測定値などである.さらに,研究者は,対象の生活の質(QOL)に介入が与える影響も検証した.

 

この概念は,尿失禁影響質問紙(incontinence impact questionnaire: HQ)として知られる自記式測定尺度をもちいて操作的に定義した.

 

HQには26の質問項目があり,生活のさまざまな側面(例:日常生活,社会的相互作用,自己認識)の機能に,尿失禁がどの程度の影響を与えるかを尋ねる.

 

HQがQOLの指標として信頼性,妥当性があることは,すでに確認されていた.

 

研究結果は心強いものだった.

 

追跡調査された2年間,BMC集団では尿失禁が改善され続け,もう一方の集団は尿もれが悪化した.

 

尿もれの出現とQOLについての追跡調査でも,2集団には相違があった.

 

この研究は方法論的に堅固である.

 

無作為に選ばれた半数の女性が特別な介入を受け,残りの半数は受けなかった.

 

これは外生変数をコントロールするにはとくに強力な方法である.

 

対象数はかなり少ないし,したがって反復研究は明らかに必要であるが,標本が地方の7郡から出されていることは注目に値する.

 

 

質的研究の例

 

ワイズ〔Wise, 2002〕は,肝臓移植を受けた子どもの体験を,移植前,手術,移植後の期間にわたって詳しく調べた.

 

標本は7歳から15歳までの9人の子どもであった.

 

子どもの家庭または外来で,ワイズ自身がすべての子どもを面接した.

 

会話は20分から40分の幅があり,面接を録音し逐語録に書き起こした.

 

面接の前に,子どもたちは,2枚の自画像を描くよう頼まれた.

 

1枚は移植前の自分,もう1枚は現在の自分の状態を表現する.

 

このお絵かきは子どもたちをリラックスさせ,かつ面接を始める入り囗となった.

 

絵画療法士がこの質的研究のコンサルタントを務め,子どもたちの絵を解釈した.

 

したがって,絵画療法がトライアンギュレーションの機会ともなった.面接から得た質的データを分析,解釈して,子どもの体験の根底にあるテーマが見いだされた.

 

ワイズは研究結果を報告するために,詳細な記述をした.小児肝移植という現象の本質をあらわす以下の4つのテーマが現れた.

 

@移植前と移植後に同年齢の仲間とのつながりを求める,ドナーとのつながりも求める,

 

A入院にともなってよくある体験とめったにない体験,

 

B疼痛反応と制御不能感,

 

C両親の疾病への反応

 

以下は,4番目のテーマを例示するワイズの詳細な記述の例である.

 

どんなことについても,どう感じているかは, 母さんには絶対に言わないよ.母さんをどぎまぎさせたくないから本当のことは言わないと思う.母さんの顔を見るだけで何が言いたいかわかる…母さんはずっといっしょにわたしと同じことを味わってきた.自分のことより母さんがだいじょうぶか,それが気になる.

 

ワイズは研究を厳密なものとする多くの作業をした.

 

たとえば,信憑性を高めるために,自分の観察,分析決定などを日誌に綿密に記録した.

 

信用性を確かにするために,年かさの青年にテーマの妥当性を確認してもらい,アドバイザー1人と同僚3人に研究結果を再検討してもらった.

 

研究(または調査研究または研究プロジェクト)は,1人または複数の研究者(または調査研究者または科学者)によって着手される.

 

研究者に情報を提供する人々を,(量的研究においては)対象,研究参加者または回答者,質的研究では研究参加者や情報提供者という.

 

彼らは集団となって標本を構成する.

 

・臨床ナースと方法論に精通するナースの両方からなるチームによる共同研究が,臨床に関連する問題に取り組むことが増えている.

 

・場とは,研究のための全般的な場所を指す.研究者は多点研究を行うことがある.環境は,データを収集する,さらに特定した場所である.看護研究の環境は完全に自然な環境から秩序だった実験室まで,広い範囲にわたる.

 

・研究者は,概念と現象(または構成概念)を調査研究する.それらは,行動やできごとから推論された抽象または心象である.

 

・概念は理論を構成する要素である.理論は,現実世界のある側面について体系的に説明するものである.

 

・量的研究では,概念は変数を意味する.変数とは,さまざまな値をとる特性または属性である(つまり変数は,個別の人間や対象によって変化する).

 

・研究者が観察または測定する1人の人間に固有の特性である変数を,属性変数という.特定の介入を導入するときのように,研究者が能動的に変数をつくるとき,変数を能動変数という.

 

・特定の連続体上の無限な範囲の値をとりうる変数を,連続変数(たとえば身長と体重)という.

 

これに対して,離散変数は,2点のあいだの有限な数値をとる変数である(たとえば,子どもの人数).

 

量をあらわすのではない,別個のカテゴリーを有する変数はカテゴリー変数である(たとえば性別や血液型).

 

・従属変数とは,研究者が理解したり,説明したり,予測したり,影響を及ぼすことに関心があるような行動,特性,または結果である.独立変数は,従属変数に先行したり影響を与えると仮定された原因である.

 

・属性について,変動の大きい集団を不均質といい,変動の少ない集団を均質という.

 

・概念的定義は,研究する概念についての抽象的な意味もしくは理論的意味を示す.操作的定義は,変数を測定するために必要な手順や用具を詳細に述べたものである.

 

・データは,研究の過程で収集される情報で,ナラティブの情報(質的データ)または数値(量的データ)のかたちをとる.

 

・研究者は,2つ以上の概念の関係に焦点をあてることが多い.関係とは,2つの現象間の結びつきやつながり(または関連するパターン)である.量的研究者は,独立変数と従属変数との関係に焦点をあてる.

 

・独立変数が従属変数の原因となる,もしくは影響を与える場合,その関係は因果関係である.機能的関係または連合的関係では,変数の関係は因果関係ではない.
・研究者は,概念上,実践上,倫理上,方法論上の多くの課題に直面する.主たる方法論上の課題は,(量的研究においては)信頼性,妥当性をそなえた研究,(質的研究においては)信憑性をそなえた研究をデザインすることである.

 

・信頼性は,研究で得られる情報の精度と一貫性を指す.妥当性は,より複雑な概念で,研究のエビデンスの確実さ,つまり研究結果が説得力をそなえ納得できるものであり,確かな根拠に基づいているということと広くかかわっている.

 

・質的研究では,信憑性にはさまざまな側面がある.明解性は,信じるに足る,一貫した,時間を超えて安定しているエビデンスを指す.確認可能性は,研究者の客観性というエビデンスを指す.信用性の度合いは,その研究方法が生むデータの正しさとデータの解釈への信頼度によって左右される.

 

・トライアンギュレーションは,信用性を確立する方法の1つで,真実を構成するものについての結論を導くために,複数の情報源や参考資料をもちいる.

 

・偏りは,研究結果に歪みを生む作用である.系統的偏りは,研究参加者や状況全体をとおして,偏りの現れ方に一貫性があり同じかたちをしている場合をいう.

 

・量的研究では,リサーチ・コントロールは,従属変数に影響する他のものを一定に保つためにもちいられ,独立変数と従属変数の関係をよりよく理解できるようにする.

 

・研究者がコントロールしようとする外部の影響は,外生変数である.これは,研究の目的外のものである.こうした影響をコントロールするには多くの方法があるが,外生変数は一定に保たれなくてはならない,ということが一般原則である.

 

・量的研究者が偏りを排除するためにもちいる強力な用具は,無作為性に関連している.つまり,計画的でもなく個人的好みからでもなく,偶然性をもちいた研究という特徴がある.

 

・一般化可能性とは,量的研究でもちいる基準であり,研究結果を得た当初の集団以外のグループや環境に,その結果をどの程度適用できるかを査定する.質的研究における類似の概念は転用可能性である.これは,質的研究の結果が他の環境にどの程度あてはまるかという度合いである.詳細な記述は,転用可能性を高める重要な手段である.研究環境やコンテクストについて,豊かに,そして詳細に記述することで,他の人が研究の文脈の類似点を推測できるようになる.

 

・反復は,独自の探究のなかの,ある研究から導かれた研究結果について,その妥当性を確かなものとしようとする企てである.これは,トライアンギュレーションに不可欠なものである.反復研究は,看護研究およびエビデンスに基づく実践の発展に欠かせない.

 

 

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