量的・質的研究を徹底比較!データの見方とアプローチ【ChatGPT統計解析】
量的研究は、実験研究と非実験研究に分かれます。実験研究では研究者が介入し、因果関係を明確にすることを目指します。非実験研究はデータ収集に介入せず、既存の属性を観察することで因果関係を探索しますが、決定力に欠けることが多いです。質的研究は社会学や心理学の伝統に基づき、現象学やグラウンデッド・セオリー、民族誌学などがあります。現象学は生きられた経験を理解し、グラウンデッド・セオリーは社会的プロセスを探求し、民族誌学は文化集団を研究します。
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量的研究と質的研究における主要な分類
量的研究における実験研究と非実験研究
量的研究には,堪本的には実験研究と非実験研究とがある.
実験研究では研究者が介入や処理を積極的に行う.
非実験研究では.研究者はなんら変化をもたらしたり処理を加えることなくデータを収集する.
たとえば,研究者・が一万の集団にプランフレークを与え,他方の集団にはプルーンジュースを与え,どららの方法がより効果的に排泄を促すかを評価しようとしたとする.
この研究は,研究者がものごとの日常な経過に介人したために,実験的である.
この例では,研究者は食生活に介人する「能動変数」をつくりだした.
一方.研究者が,通常の摂食パターンが賢なる・2つの集団,たとえば,腸の蠕動を刺激する食物を習慣としてとる集団ととらない集団の排便パターンを比較するならば,その研究に介人はない.こうした研究は集団に既作の属性を問題としているので,非実験的である.
実験研究は因果関係の検証を目的として明確にデザインされる.
非実験研究も囚果関係を解明もしくは発見しようとすることもあるが,厄介な問題があり概して決定力に欠ける.
実験研究では非実験研究よりも外生変数をより人きくコントロールする可能性がある.
実験研究の例
ジョンソン〔Johnson, 2001〕は.真性ストレス性尿失禁(腹圧性尿失禁)の女性患者を対象に,自制コントロールおぷび筋収縮強度に対する最大下運動のプロトコルの効果を,亜最大随意収縮(NMVC)のプロトコルの効果と比較して検証した.
この例で研究者は,ある女性には最大運動のプロトコルを受けるよう指示し,別の女性には受けないよう指示するという介人を行った.
いいかえれば,研究者は,独立変数,つまりこの場合はプロトコルの種類をコントロールしたのである.
非実験研究の例
ワンら[Wong et al., 2002〕は,香港の病院で,再入院にいたる因子を調査した.
人口統計学的特質と入院時の健康状態という観点から,再入院になった患者集団と再入院にならなかった患者集団とを比較した.
この非実験研究では,研究者はまったく介入せず,対象の属性を観察し測定しただけである.
再入院を減少させる因子の発見を目的として,2つの患者集団の特質や状態に相違があるかを探索した.
質的研究における伝統領域
質的研究は,人類学,社会学,および心理学という学問領域に由来する研究の伝統に根ざしていることが多い.
この3つの伝統は,質的看護研究にとくに強い影響を与えており,ここで簡潔に説明する.
グラウンデッド・セオリー(grounded theory)の伝統は,社会学に根ざしており,社会環境で生じる主要な社会心理学的,そして構造的プロセスを記述し理解しようとする.
グラウンデッド・セオリーは2人の社会学者,グレイザーとストラウス〔Glaser &: Strauss, 1967〕によって1960年代に展開された.
ほとんどのグラウンデッド・セオリー研究は,社会的経験,つまり,ある特定のできごと(事象)やエピソード(逸話)を特徴づける社会的心理学的局面や様相の展開に焦点をあてる.
グラウンデッド・セオリーの主要な構成要因は,その社会的状態(情勢,光景,場面)で何か起きているかを主に説明する核となる変数の発見である.
グラウンデッド・セオリーの研究者は,現実に基づく現象を包括的に説明しようとする.
グラウンデッド・セオリー研究の例
ホークとイルリータ〔Hauck & I〔urita, 2002〕は,母親が母乳育児の最終段階に対処し離乳するプロセスを説明する,グラウンデッド・セオリー研究を行った.
現象学(phenomenology)は,哲学と心理学に学問的ルーツがあり,フッサール(Husserl)とハイデッガー(Heidegger)が展開した哲学的伝統に根ざしている.
現象学は,生きられた経験(lived experience)に関心をもつ.
現象学は人々の生活経験がどのようなものか,それは何を意味しているかを考える方法である.
現象学の研究者は,「これらの人々によって経験されているものとしての,この現象の本質は何か」,または「これを経験している人にとってこの現象の意味は何か」といった問いを投げかける.
現象学的研究の例
サンディン,ノーバーグ,ヤンソン〔Sundin, Norberg,& Jansson, 2001〕は,現象学的研究を行い,脳卒中と失語症患者とのコミュニケーション能力が高いケア提供者の生きられた経験を明らかにした.
民族誌学(ethnography ; エスノグラフィー)は,人類学における主要な研究の伝統であり,ある限定された文化的集団にとっての意味,パターン,経験を,全体論的な方法で研究する枠組みを提供する.
典型的には民族誌学者は広範なフィールドワークを行い,研究対象の文化の生活に可能なかぎり参加することが多い.
民族誌的研究は広範な文化(例:ハイチ難民コミュニティ)にかかわることもあるが,狭く限定された文化(例:救急部門)に焦点をあてる場合もある.
民族誌学者の目的は,文化集団の成員(を研究するというよりも)から学び,彼らが認識しそこに生きている世界観を理解することである.
民族誌的研究の例
パワーズ〔Powers, 2001〕は.養護施設に住む認知症患者に影響する日常生活上の倫理的問題に焦点をあてて,施設居住者の民族誌的研究を行った.
量的研究における主なステップ
量的研究においては,研究者は,研究の開始(研究設問の提起)から最終点(答えの獲得)へと,研究の全体をとおして,概して似たようなかなり直線的に続くステップを踏んで進んでいく.
これらのステップは重なりあうこともあれば,あるステップが不必要になることもある.けれども,通常,量的研究には,一般的な活動の流れというものがある.
フェーズ1(第1相):概念の相
量的研究プロジェクトの初期のステップでの活動は,概して,かなり概念的または知的な要素をもつものである.
これらの活動には読むこと,概念化すること,理論づけること,再概念化すること,そして,同僚や助言者とアイデアを検討することが含まれる.
この相では,研究者は,創造力,演繹的推理,洞察力,そして関心あるトピックについて既存の研究の知識基盤を得ることなどの技術を必要とする.
ステップ1:問題状況の明確化とその範囲の限定
研究者がまずしなくてはならないことの1つは,研究の問題状況と研究設問(research question ; リサーチ・クエスチョン)を明らかにすることである.
よい研究はよい問いによるところが大きい.有意義で興味深い問題が提示されていなければ,このうえなく注意をはらって巧みにデザインした研究プロジェクトでも価値のないものとなるだろう.
量的研究者はふつうおおまかな問題状況の領域を選択したら,次に,経験的探究にふさわしい特定の問いを明らかにする.
研究すべき研究設問を明らかにするには,看護研究者は以下について考慮しなくてはならない.
・実質的な論点(既存の知識基盤を考慮した場合,この研究設問には意義があるのだろうか)
・臨床的な論点にの研究の結果は臨床実践に有用か)
・方法論的な論点(質の高いエビデンスを生みだすには,この研究設問を研究する最適な方法は何か)
研究設問を決める際には,実践的かつ倫理的な問題点も考慮しなくてはならない.
助言
優れた研究設問を展開する際には,個人的な関心が重要である,研究プロジェクトの施行を計画している人には,「あなたが魅力を感じているトピック,または強い関心や興味を抱いているトピックから始めなさい」と助言したい.
ステップ2:関連文献のレビュー
量的研究は,既存の知識に則って行われるのが特徴である.
量的研究者は,既存の研究や理論のうえに自らの研究を積み重ねていくために,ある研究の問題状況についてすでに何か知られているかを理解することに力を注ぐ.
文献レビュー(literature review)は,新しい知識を積み上げる基盤となり,量的研究では,通常,データ収集の前に十分な文献レビューを行う.
臨床的な問題状況については,そのトピックに関して,現在行われている手順の「現状(status quo)」をできるかぎり学び,既存の実践指針やプロトコルを検討する必要もあるだろう.
既存の研究に精通することは,研究のトピックを提示するにも,またはさらに研究を必要とする問題状況の側面を特定するのにも有益である.したがって,文献レビューは,ときに研究の問題状況の輪郭をたどるのに先立って行う.
ステップ3:臨床のフィールドワークの着手
臨床看護研究に着手する研究者は,文献から新たな臨床知識を身につけ,さらに臨床の場に身をおき,臨床家やヘルスケア管理者とトピックについて議論し,現在行われている実践を観察することが有益である.
スターリング〔Sterling, 2001〕は,臨床のフィールドワークによって,最近の臨床傾向,現行の診断手順,適切なヘルスケア提供モデルなどを概観できる,と記している.
これによって,病気にかかったクライエントやケア提供の環境についての研究者の理解が進む.
フィールドワークは研究者の臨床知識や概念的知識を広げ,さらに研究を強化する方法論的用具を発展させる.
たとえば,研究者は臨床のフィールドワークを通じて,コントロールすべき外生変数や,スペイン語を話す研究助手が必要だ,ということがわかることがある.
文献レビューと同様,臨床のフィールドワークは研究設問を展開する刺激となり,研究者の研究プロセスの第一歩となる.
ステップ4:枠組みの明確化と概念的定義
理論は,特定の時間・空間・集団の特殊性を超えて,変数間の関係における規則性を明確にすることをめざすという点で,科学の究極の目的である.
量的研究を理論的枠組みに則って行うならば,すなわち,既存の理論を基盤として,経験的研究によって検証できるような予測を生みだすならば,その研究結果は大きな意義と有用性をもつ.
研究設問が理論に組み込まれていない場合でも,研究者は研究する概念について明瞭な考えをもたなくてはならない.したがって,プロジェクトを始めた段階で重要なのは,概念的定義である.
ステップ5:仮説の明確化
仮説(hypothesis)とは,調査研究下にある変数間の関係について研究者が予測を述べたものである.
いいかえれば,仮説は,期待される結果の予測であり,研究者が研究の結果として明らかになると予想する関係を述べたものである.
研究設問が調査研究下にある概念を明確化し,その概念がどのように関係しているかを問うのに対し,仮説は予測される答えである.
たとえば,最初の研究設問を次のように記述するとしよう.
「妊婦の子癇前症は妊娠中のストレス因子と関連があるだろうか」.これは次のような仮説にいいかえることができよう.
「妊娠中にストレスの多いできごとを多く経験してきた妊婦は,それらの頻度が低い妊婦よりもより多く,子癇前症になりやすい」.
多くの量的研究は,統計学的分析によってこのような仮説を検証するためにデザインされる.
量的研究は主に実験研究と非実験研究に分類され、それぞれのアプローチに異なる特徴があります。まず、実験研究では、研究者が介入や処理を積極的に行うことで、特定の変数間の因果関係を明確にすることを目的とします。たとえば、ある集団にプランフレークを与え、他方の集団にはプルーンジュースを与えて、どちらの方法がより効果的に排泄を促すかを評価する場合、この研究は実験的です。研究者が食生活に介入し、特定の「能動変数」を設定したことが特徴です。対照的に、非実験研究では、研究者は介入せずにデータを収集し、既存の属性を観察します。たとえば、特定の食事パターンを持つ集団と持たない集団の排便パターンを比較する研究では、研究者は介入を行わず、既存の属性を元にデータを収集します。このため、非実験研究は実験的介入がない分、因果関係を探る力が実験研究よりも劣ることが多いとされています。さらに、実験研究は因果関係の検証を目的としてデザインされ、外生変数をコントロールする力が大きい点が特徴です。これに対し、非実験研究は因果関係を明らかにしようとするものの、統制が難しく、決定力に欠けることがあるため、より慎重な解釈が求められます。実験研究の例として、ジョンソン(Johnson, 2001)は、真性ストレス性尿失禁の女性患者を対象に、自制コントロールおよび筋収縮強度に対する最大下運動のプロトコルの効果を、亜最大随意収縮のプロトコルと比較する実験を行いました。ここでは、研究者が独立変数であるプロトコルの種類をコントロールし、特定の群に最大運動プロトコルを指示した点が実験研究の典型例となります。非実験研究の例としては、ワン(Wong et al., 2002)による香港の病院での再入院に至る因子を調査した研究があります。この研究では、再入院になった患者と再入院しなかった患者の人口統計学的特性や入院時の健康状態を比較し、研究者が介入せずにデータを観察・収集するという非実験的なアプローチがとられています。このような非実験研究では、再入院を減少させる因子の発見が目的であり、患者集団の特質や状態に相違があるかを探索します。質的研究においては、人類学、社会学、心理学といった学問領域の伝統に基づくものが多く、特に看護研究においてはこれらの学問の影響が強く表れています。質的研究にはグラウンデッド・セオリー、現象学、民族誌学という主要なアプローチがあり、それぞれが異なる方法でデータを収集し、解釈を行います。グラウンデッド・セオリーは社会学に根ざしており、社会環境で生じる主要な社会心理学的プロセスや構造的プロセスを理解しようとするものです。1960年代にグレイザーとストラウスによって展開されたこの理論は、社会的経験の中で生じる現象を理論的に説明することを目指しており、具体的な例としては、ホークとイルリータ(Hauck & Iurita, 2002)による母乳育児の最終段階における母親の対応プロセスを説明する研究があります。この研究では、現実に基づいた現象を包括的に説明しようとする点が特徴的です。次に、現象学は哲学と心理学に学問的ルーツがあり、特にフッサール(Husserl)やハイデッガー(Heidegger)の哲学的伝統に根ざしています。現象学は人々の「生きられた経験」に関心を持ち、その経験が何を意味するのか、どのように感じられているのかを探求します。現象学的な研究では、例えば「この現象を経験している人にとって、その本質や意味は何か」といった問いが投げかけられます。現象学的研究の例として、サンディン(Sundin)、ノーバーグ(Norberg)、ヤンソン(Jansson)が行った脳卒中と失語症患者とのコミュニケーションにおけるケア提供者の生きられた経験を明らかにする研究が挙げられます。最後に、民族誌学(ethnography)は人類学に由来する研究の伝統で、特定の文化的集団における意味やパターン、経験を包括的に理解することを目指します。民族誌学者は、研究対象の文化にできる限り参加し、フィールドワークを通じてその文化的集団がどのように生活し、世界を理解しているのかを探求します。民族誌的研究の例として、パワーズ(Powers, 2001)が行った、養護施設に住む認知症患者に関連する日常生活上の倫理的問題に焦点を当てた研究があります。このように、質的研究は人々の経験や文化に焦点を当て、その意味を深く理解しようとする点が量的研究と大きく異なります。量的研究のステップについて考えると、研究者は研究設問の提起からデータ収集、分析、結果の解釈まで、直線的に進むことが一般的です。しかし、各ステップが重なり合うこともあり、時には一部のステップが不要になることもあります。量的研究の第一フェーズは概念の相であり、これは読書やアイデアの検討、理論化などの知的作業を含みます。この段階では、研究者は問題状況を明確にし、その範囲を限定することが重要です。例えば、「妊婦の子癇前症は妊娠中のストレス因子と関連があるか」という研究設問が設定された場合、次に進むステップは関連する文献のレビューです。文献レビューは、既存の知識に基づいて新たな研究を進めるための基盤となり、量的研究では特にデータ収集の前に行われることが一般的です。また、臨床フィールドワークも重要であり、研究者が実際の臨床現場での実践を観察し、現行の診断手順やヘルスケア提供モデルを理解することで、研究の質を高めるための貴重な洞察を得ることができます。さらに、研究者は理論的枠組みを明確にし、仮説を設定することで、調査する変数間の関係を予測します。仮説は、研究者が期待する結果を予測するものであり、統計的分析を通じて検証されます。たとえば、「妊娠中にストレスの多い出来事を経験した妊婦は、そうでない妊婦よりも子癇前症にかかりやすい」という仮説が設定されることがあります。このように、量的研究では一連のステップを通じて、データ収集と分析が行われ、仮説の検証が進められます。質的研究と量的研究の違いは、主にアプローチや目的にありますが、どちらも看護学や医学などの分野で重要な役割を果たしています。量的研究は、数値データや統計的手法を用いて、因果関係を明確にすることを目指し、実験的なアプローチが主流です。一方、質的研究は、個人の経験や文化的背景に焦点を当て、人々の感じ方や意味づけを探ることを目的としています。
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