研究成果を活かす!量的研究の計画と実践の秘訣【ChatGPT統計解析】
研究者はプロジェクトの第1段階で提示した問いに対する答えを提供し、結果を広く伝えることが責任である。研究結果は、他の人々に伝えなければ有用なエビデンスとはならず、研究報告の作成が必要である。報告は論文や学会発表、専門誌に掲載されることが多く、インターネットの利用も進んでいる。理想的には、研究の最終ステップとしてその結果を実践環境で利用する計画を立てるべきであり、研究者はその計画に関与し、結果を広める努力が必要である。量的研究プロジェクトは、通常の計画通りに進むことは少なく、進行中に修正が必要となる場合があるが、事前の計画は極めて重要である。研究には時間的制約があり、助成金や学期末などの制約が存在するが、事前に予定表を立てて作業の目標を設定することで研究を進めることができる。
▼▼▼▼▼▼▼▼
チャンネル登録はこちら
フェーズ5(第5相):普及の相
分析の相で,研究者は一巡する.
つまり,プロジェクトの第1の相で提示した問いに対する答えを提供する.
しかし,研究結果を広く知らしめるまで,研究者の責任が果たされたとはいえない.
ステップ17 : 結果の伝達
研究の結果をほかの人々に伝えないかぎり,看護実践への有用なエビデンスにはならない.
もっとも心ひく仮説,もっとも厳密な研究,もっともドラマチックな結果も,人々に知られなければ,看護界では何の価値もない.
したがって,研究プロジェクトのもう1つの,たいてい最後の課題は,ほかの人々と共有しうる研究報告(research report)を準備することである.
研究報告の方式には,レポート,博士論文,雑誌論文,学会発表のための論文などいろいろなものがある.
雑誌論文(Journal article),つまり『Nursing Research』誌のような専門誌に掲載される短い論文は,通常,幅広い,国際的な読者が利用できる点でもっとも有用である.
またインターネットによって,研究が広く伝わるようになってきている.
ステップ18 : 実践における研究結果の利用
多くの興味深い研究がナースたちによって行われていながら,看護実践や看護教育に対してなんら影響を与えていない.
理想としては,質の高い研究の最終ステップは,その研究を実践環境で利用する計画を立てることであろう.
看護研究者は,自らが研究結果を利用するための計画を実施する立場にはないかもしれないが,研究からのエビデンスをいかに看護実践に取り入れるかについての提案を研究報告に記載することによって,また,実践ナースたちに研究結果を広める機会を精力的につくることによって,そのプロセスの一端を担うことができる.
量的研究プロジェクトの組織化
以上に紹介した研究ステップは,1つの理想的な考え方を示したものである.
実際には,あらかじめ計画したとおりの整然としたパターンで研究が進むことはまれである.
たとえば,1つのステップを展開すると,その前のステップの活動に修正を加える必要があるだろう.
といっても,量的研究者にとって注意深い計画を立案することはきわめて重要である.
ほとんどすべての研究プロジェクトは,なんらかの時間的制約のもとで行われる.
研究課程の学生には学期末という制約があろう.
政府の研究助成金は特定の期限つきで与えられる.
このような正式の時間の制約がない場合,たとえば学位論文や博士論文を書いている大学院生などの場合でも,ふつうは自らのプロジェクト完成の目標を立てて研究を行う.
あらかじめ予定表を設定することは,そのような目標を達成するうえで重要な手段である.
仮のものであるにせよ,期限を定めれば,問題状況の選択や文献レビューのような終わりのない作業に限界を設けやすくなる.
量的研究の個々の作業にどれくらいの割合で時間がかかるか,そのだいたいの値さえも示すことはできない.
たとえば,研究プロジェクトには,測定用具を開発し,そのパイロットテストを行うだけで数か月を要するものもあれば,既存の測定用具を使用できるものもある.
研究報告を書くには,数か月かかるものから,たった数日で済むものもある.
すべてのステップが同じくらい時間がかかるわけではないし,研究に許される時間を単に作業の数で割るのはほとんど無意味である.
研究者が次のような問題を研究するとしよう.
「女性が毎年,乳房X線撮影(マンモグラム)の検診を受けると決めることと,自分が乳がんになりやすいと思っていることは関連しているのか」.
先に概観したステップ構成を使って,可能性のある作業をあげよう.
@研究者は自分の母親を乳がんで失っており,多くの高齢女性が定期的に乳房X線撮影検診を受けていないことが気になっている.彼女の特定の研究設問は,乳がんになりやすいと思っている女性とそうでない女性とでは,乳房X線撮影実施についての考えに違いがあるか,ということである.
A研究者は,乳房X線撮影およびその検診の決定に影響する因子,乳房X線撮影をすすめるためにデザインされた介入などについて,研究文献をレビューする.
B研究者は,さまざまな臨床の場(診療所,産婦人科医院)で,ナースや他のヘルスケア専門家とこの問題を議論したり,乳がん患者支援グループの女性たちと話しあって,臨床のフィールドワークを行う.
C研究者は,問題を概念化するための枠組みを検証する.研究者は,健康信念モデルが適切であることがわかる.これが,乳がんになりやすいということを概念的に定義する助けとなる.
D研究者は学んだことに基づいて,以下のような仮説を立てる.「乳がんになりやすいと思っていない女性は,なりやすいと思っている女性に比べて,毎年の乳房X線撮影を受ける可能性が低い」.
E研究者は,ある一時点で対象からデータを収集する,非実験研究デザインを適用する.研究者は,年齢,婚姻状況,一般健康状態などの外生変数をコントロールする研究をデザインする.
Fこの研究(デザインは非実験的である)では介入を行わないので,このステップ(介入のためのプロトコルの展開)は必要ない.
G研究者は,関心のある母集団を,「これまでいかなる種類のがんの診断も受けたことない,カナダに住む50歳から65歳までの女性」であると特定する.
H研究者は,トロント在住の200人の女性を研究標本として募集する.無作為抽出による電話調査法(random-digit dialing ; RDD 法)で対象を無作為に選ぶ.
I自己報告法によって,研究変数を測定する.つまり,独立変数(乳がんになりやすいという認識),従属変数(乳房X線撮影の経験),および外生変数を,対象に一連の質問を行って測定する.研究者は,主要な変数の測定に新しい測定法を開発せず,既存の測定法をもちいることを決める.
J研究者の所属組織の研究対象者委員会(研究倫理委員会)に,研究計画が倫理的基準に従っているかについての検討を求める.
K研究計画を最終決定する:臨床や方法論に精通している同僚が,方法を検討し,修正改良する.データ収集用具をプレテストし,データ収集を行う面接者に訓練を受けてもらう.
L研究標本に電話面接して,データを収集する.
Mデータをコーディングし,コンピュータファイルに入力して,分析の準備をする.
N統計学パッケージ・ソフトウェアを使ってデータを分析する.
O研究結果は,仮説が支持されたことを示す.しかし,研究者が解釈する際には,研究参加を依頼された多くの女性が,仮説のように行動する傾向にあることを考慮しなくてはならない.さらに,分析から,標本による乳房X線撮影の利用率は,先行研究が報告した利用率より実質的に高いことがわかった.
P研究者は,研究結果と解釈についての初期報告をSigma Theta Tail International (STTI; シグマ・シータ・タウ・インターナショナル)の学会で発表し,続いて『Western Journal of Nursing Research』誌に報告を掲載する.
Q研究者は,研究結果をどう実践に利用するか,臨床家との話しあいを求める.
この研究の研究者は2年以上にわたる研究を行おうとしている,とする.
多くのステップが重なりあうこともあれば,同時に起こることにも注意しよう。
あるステップにはほとんど時間が割り当てられていないが,他のステップには何か月もの作業が必要である.
この種のスケジュールを作成するにあたって,研究の知識と方法論上の能力のレベルなど,いくつかの事柄を心にとめておくべきである。
研究助成金およびスタッフというかたちで研究者が使用できる資源は,時間の見積もりに大きな影響を与える.
この例では,研究者が同僚や学生に頼らないのであれば,面接者を雇う費用を援助する出資者から助成金を得る必要があろう.
研究を行う際の実際的な側面を考慮することも重要である.
さまざまな資材の入手,さまざまな許可の取得,研究の書式や測定用具を使う許可の取得,スタッフの雇用,打ち合わせの実施などはすべて,時間がかかるが必要な作業である.
どの段階の作業を好むかは個々人によって異なる.
知的要素の強い予備段階の作業を楽しむ人もいれば,データ収集のように人にかかわる作業に熱心な人もいる.
しかし,研究者はそれぞれの活動を公平に行えるよう合理的に時問を配分するように努めなければならない.
研究者は、プロジェクトの第1段階で提示した研究の問いに対して答えを導き出し、最終的な結論に至ることを目指します。しかし、それだけでは研究の責任が果たされたとはいえません。研究成果を広く一般に伝えることが必要であり、それがなければ、せっかく得られた知見や発見も、実際の現場に生かされることなく、ただの理論に終わってしまう恐れがあります。特に看護や医療の分野においては、研究結果が他の人々に共有されなければ、それが実際の看護実践における有用なエビデンスとして役立つことはありません。もっとも心をひくような仮説や、非常に厳密な研究、あるいは非常にドラマチックな結果が得られたとしても、それが広く知られなければ看護の分野では何の意味も持たないのです。したがって、研究者の重要な任務の一つは、研究結果を効果的に伝えるために研究報告を作成し、それを共有することです。この報告には、レポート、博士論文、雑誌論文、さらには学会発表のための論文など、様々な形式があります。特に雑誌論文(Journal article)は、専門誌に掲載されることが多く、例えば『Nursing Research』誌のような国際的な専門誌に掲載されることで、幅広い国際的な読者に研究結果を届けることが可能になります。インターネットの普及により、さらに広い範囲に迅速に研究成果を伝えることができるようになっています。また、研究結果をただ伝えるだけではなく、その結果が看護実践にどのように利用されるかを考えることも研究者の重要な役割の一つです。多くの興味深い研究が看護師たちによって行われているにもかかわらず、それが看護実践や看護教育に実際の影響を与えないことがあります。この問題を解決するためには、質の高い研究の最終段階として、その研究結果を実践の場で利用するための計画を立てることが重要です。看護研究者自身がその計画を実行する立場にはないかもしれませんが、少なくとも研究報告にその提案を盛り込むこと、または実際の現場で働く看護師たちに研究結果を積極的に広めるための機会をつくることによって、プロセスの一部を担うことができます。次に、量的研究プロジェクトをどのように組織化するかについて考えてみます。これまでに紹介した研究のステップは、一つの理想的な考え方を示したものであり、実際にはこの通りに計画が進むことは稀です。例えば、一つのステップを進めていく中で、前のステップに戻って修正を加える必要が生じることもよくあります。それでも、特に量的研究においては、事前に注意深く計画を立てることが極めて重要です。ほとんどの研究プロジェクトは、何らかの時間的な制約の中で行われるものです。例えば、研究過程にある学生であれば、学期末までに研究を完成させるという制約があるでしょう。また、政府からの研究助成金も期限付きで与えられるため、その期間内に結果を出す必要があります。もしこうした正式な時間的制約がない場合でも、例えば学位論文や博士論文を書いている大学院生であれば、自分自身でプロジェクトの完成目標を設定し、それに向けて研究を進めることが一般的です。このような目標を達成するためには、あらかじめ予定表を設定することが非常に有効です。たとえその予定表が仮のものであったとしても、期限を定めることで、問題状況の選択や文献レビューのように際限なく続けられる作業に区切りをつけることができます。しかし、量的研究のそれぞれの作業にどれくらいの時間がかかるかは一概に言うことができません。例えば、研究プロジェクトによっては、測定用具を開発し、そのパイロットテストを行うだけで数か月を要するものもありますし、既存の測定用具を使用できるプロジェクトもあります。研究報告を書く際も、数か月かかるものもあれば、数日で終わるものもあります。このように、すべてのステップが同じくらいの時間を要するわけではなく、研究に費やせる時間を単純に作業の数で割り当てるのは、ほとんど意味を持ちません。では、具体的な研究例を通して、どのように研究が進められるかを見てみましょう。仮に、ある研究者が次のような問題を研究しようとしているとします。「女性が毎年乳房X線撮影(マンモグラム)の検診を受けることを決める要因として、乳がんになりやすいという認識が関連しているかどうか」という問いを立てました。この問題に対して、まず研究者は自分の経験を振り返ります。彼女は、自身の母親を乳がんで失っており、多くの高齢女性が定期的に乳房X線撮影を受けていないことに気づきました。彼女の特定の研究質問は、「乳がんになりやすいと思っている女性と、そうではない女性とで、乳房X線撮影に対する態度や行動に違いがあるのか」というものでした。次に、研究者は文献レビューを行い、乳房X線撮影およびその検診の決定に影響を与える因子についての先行研究を調査します。また、乳房X線撮影を推奨するための介入のデザインなどについても調べます。その後、彼女は臨床の現場でナースや他のヘルスケア専門家とこの問題について議論し、乳がん患者支援グループの女性たちと話し合うなどして、臨床フィールドでの研究を行います。さらに、研究者はこの問題を概念化するための理論的枠組みを検討し、健康信念モデルが適切であると判断します。このモデルは、乳がんになりやすいという認識を概念的に定義する助けとなります。彼女は、これらの情報に基づいて、「乳がんになりやすいと思っていない女性は、毎年の乳房X線撮影を受ける可能性が低い」という仮説を立てます。次に、彼女は非実験研究デザインを適用し、年齢や婚姻状況、一般健康状態などの外生変数をコントロールした研究をデザインします。この研究では介入を行わないため、介入のプロトコルを展開する必要はありません。研究者は、カナダに住む50歳から65歳までの女性で、これまでにがんの診断を受けたことのない人々を対象とすることに決めます。そして、トロント在住の200人の女性を対象に、無作為抽出による電話調査を実施します。彼女は自己報告法を用いて、研究変数(乳がんになりやすいという認識、乳房X線撮影の経験、外生変数)を測定します。新しい測定法を開発するのではなく、既存の測定法を使用することに決めました。次に、彼女は研究倫理委員会に研究計画を提出し、倫理的に問題がないかを確認します。研究計画が承認された後、臨床や方法論に精通している同僚と方法を検討し、修正を加えます。データ収集用具のプレテストを行い、面接者に訓練を施します。
関連記事