臨床試験実施の事前準備【統計解析講義応用】

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臨床試験実施の事前準備|【統計学・統計解析講義応用】

臨床試験実施の事前準備【統計解析講義応用】


目次  臨床試験実施の事前準備【統計解析講義応用】

 

 

臨床試験実施の事前準備

 

責任と文書化

 

試験依頼者

 

試験依頼者(sponsor)や研究者,IRB,およびFDAなどの団体は,臨床研究における責任を担っており,責任の内容については規則やガイダンスに記述されている.

 

試験依頼者の責任は21 CFR 312 SubpartDに挙げられている.

 

試験依頼者とは,通常,製品を開発する者で, INDを申請する個人もしくは機関を指す.

 

試験依頼者は適切な研究者を選び.研究が適正に行われるよう必要な情報を提供する責任がある.

 

試験依頼者はまた,試験デザインや試験の管理,データの扱いや記録の保管,責任体制,被験者や研究者への対価,資金調達,規制当局への通知・申請(プロトコール提出など)にも責任がある.

 

加えて,試験依頼者は,試験が適切に監視されており,試験計画の概要に従っていることを確認する必要がある.

 

試験依頼者は,有効なINDを維持する義務があり,重大な有害事象または製品に関連するリスクが生じた際には,速やかにすべての研究参加施設とFDAに情報提供することを保証しなければならない.

 

試験依頼者はまた,試験の質の保証と.質の管理に対しても責任がある.

 

最後に,試験依頼者は,治験薬の製造,供給や扱い,記録へのアクセス,および安全性情報など,治験薬に関する情報を,必要に応じて,維持し利用できるようにすることの責任がある.

 

試験依頼者は,開発業務受託機関を利用して活動の一部を実施することができるが.試験の品質や完全性についての最終的な責任は試験依頼者にある.

 

研究者

 

研究者は,臨床試験を実施するために,研修を受け,経験を積んだ適切な者であるべきである.

 

研究者は,試験のプロトコールに従うことや,すべての適応規則を遵守することなど,多くの責任をもつ.

 

研究者が診ている被験者の権利や安全性,福祉を守るのは研究者の責任である.

 

被験者保護のための責任の一環として,研究者は,被験者に対して法的に有効なインフォームド・コンセントを得ていない場合には,ヒトを研究の対象としてはならない.

 

そうすることにより,研究者は,被験者が研究に参加するかどうかを考える十分な機会があることを保証する必要がある.

 

試験の説明は,被験者が理解できる言葉で行い,強制や不当な影響を受ける可能性を最低限にする方法で提示されるべきである.

 

同意書には,被験者の法的な権利を放棄させることを意図するような言葉や文章が含まれていてはならない.

 

研究者は,治験薬の管理を保ち,治験薬の処理や記録,報告(中間報告や最終報告,安全性報告など),被験者の病歴,試験の中止または中断についての記録を保管しなければならない.

 

研究者はまた,観察された有害事象について,試験依頼者とIRBに報告する必要がある.

 

研究者は, IRBによるINDプロトコールの審査やIRBとの連絡の準備をしなくてはならない.

 

バイアスが生じる可能性を懸念して,試験依頼者がFDAに金銭的な利益相反について報告できるように,研究者は試験依頼者に対して十分に正確な金銭的情報を提供することが要求される.

 

繰り返し,もしくは故意に規則を遵守しない場合は,その研究者は不適任であると認識することが重要である.

 

その場合,この研究者はもはや治験薬を受け取ることはできない.

 

FDAは,不適任な研究者によって行われた研究のデータに基づくいかなる製造販売承認申請であろうとも審査を行う.

 

FDAが,その研究者によって提出されたデータが信頼できないものであり,承認には不可欠なものであると判断した場合,製品の承認は,問題点が解決されるか,なくなるまで遅らせられる.

 

試験依頼者と研究者が同一人物または同一機関である場合には,その個人もしくは機関が,試験の完全性やヒト被験者の安全性を確保するための適切な安全策や協定に関するすべての責任を果たさなくてはならない.

 

臨床試験プロトコール

 

臨床試験のプロトコールとその改訂は,臨床研究を行う上で重要な要素である.

 

プロトコールは.表題,番号,試験依頼者の名称,医学専門家,研究者,背景情報などの一般的な情報が含まれていなければならない.

 

背景情報には,治験薬の名称や説明,その臨床試験に影響を及ぼす非臨床研究,研究対象集団,既知もしくは可能性のあるヒト被験者へのリスクと便益,管理上情報が記載されなければならない.

 

プロトコールは,試験の目的.試験デザイン,被験者の選択基準や除外基準,試験治療,有効性・(適切な場合は)活性や安全性の評価をどのように行うか,(適切な場合は)統計学的評価計画を記載する必要がある.

 

また,プロトコールには試験の質の管理,モニタリングと保証,データ処理.記録の保管,倫理的配慮のための計画を取り上げるべきである。

 

 

IRB

 

IRBの構成や責任については,連邦規則集21 CFR56に規定されている.

 

IRBは,組織内で行われる予定の試験プロトコールを審査し,承認することを任されている.

 

それぞれのプロトコールにおいて,ヒト被験者へのリスクが最小限であり,合理的なものであることを確認することがIRBの機能である.

 

IRBは,被験者の選択が公平に行われること,インフォームド・コンセントが求められ適切に文沓化されていることを確認しなければならない.

 

規則によって. IRBは,施設における研究活動を徹底的に審査できるように,背景の異なる5人以上の委員から構成されることが規定されている.

 

IRBは少なくとも,科学的な領域に主に関心のある人物を1人,科学以外の領域に主に関心のある人物を1人. IRBの他には研究施設と関連がない人物を1人含む必要がある.

 

FDA

 

FDAは. INDおよびINDの改訂が適切な法律や規則に遵守しているかどうかを判断するため,すべてのINDおよびその改訂を審査する.

 

規則によって,審査を行うための時問の枠組みが設定され. FDAに試験依頼者との連絡に関する責任が割り当てられている.

 

もともとのIND申請や開発早期における改訂を審査する主な目的は,ヒト被験者が非合理的なリスクにさらされないことを保証する手助けをすることである.

 

有効性の検証試験を含むINDプロセスの後期相においては. FDAの審査は,試験が製造販売承認のために利用することのできる有効なデータが得られる方法で構築され,実施されているかどうかにも焦点を当てている.

 

FDAはまた.重要な製品の開発,臨床試験デザインや解析,販売前申請の問題に対処するため,事前段階(pre-IND)からINDプロセスの全体を通じて,試験依頼者と会議や電話会議で情報をやりとりする.

 

治験薬概要書

 

試験依頼者が研究者と同一でない場合,治験薬概要書(Investigators Brochure, IB)が必要となる.

 

IBを維持し最新の内容にアップデートすること,試験を実施する研究者に提供することは,試験依頼者に責任がある.

 

治験薬概要書には一般に,ヒト被験者における治験薬の使用に関連した,治験薬の臨床的もしくは非臨床的データに関する情報が含まれている.

 

IND安全性報告

 

試験依頼者は,21 CFR 312.32と312.33に記載されているように, IND安全性報告(IND Safety Report)を提出しなければならない.

 

有害事象についての報告として,報告書や電話,ファックスによる急送報告や年次報告,情報改訂などが要求されている.

 

報告書に関する規則はCFR 312.32 (c)にある.

 

これらの報告には,治験薬もしくは生物学的製剤の使用に関連した有害事象で,重篤かつ予期しないものや,動物実験から得られた知見で,変異原性,隹奇形性,発がん性の報告など,ヒト被験者にとって重大なリスクを示唆するものなどすべてが含まれる.

 

重篤な薬剤有害事象とは,次のような結果をもたらすものを指す.

 

死に至るもの.生命を脅かすもの,治療のための入院または入院期間の延長が必要であるもの,永続的または顕著な障害・機能不全に陥るもの,先天異常・先天性欠損を来すものである.

 

生命を脅かす有害事象とは,研究者からみて,それが起きることで被験者をただちに死の危険にさらすものを指す.

 

試験依頼者は,重篤な有害事象の情報を受けた後,できる限り速やかに,遅くとも15暦日以内に, FDAとすべての参加施設に通知しなければならない.

 

試験依頼者はまた,治験薬の使用に関連して予期しない致死的もしくは生命を脅かす有害事象が起きた場合,できる限り速やかに,遅くとも試験依頼者が情報を知り得てから7暦日以内に,電話かファックスでFDAに報告しなければならない.

 

製造販売承認

 

公衆衛生事業法の351条により,あらゆる生物学的製剤は州際通商に導入されるためには,生物学的製剤承認(biologies license)を得なければならないとされている.
医薬品では. FFDCAによって新薬に関する製造販売申請の承認(新薬承認申請New Drug Application, NDA)が必要とされている.

 

IND規則の条項は,臨床試験を目的として,生物学的製剤を含む医薬品を各州間で輸送することを認めている.

 

これらの臨床試験は,生物製剤承認申請(Biologies License Application, BLA)またはNDAを支持するためのデータを生み出す目的で行われる.

 

この2種類の製造販売承認申請の運用手順には,若干の違いはあるものの十分類似しているため,ここではBLAを例に,医薬品や生物学的製剤の製造販売承認の進行,申請,審査について説明する.

 

いずれの場合においても,製造販売承認のプロセスは実際にはINDの段階から始まる.製造販売承認の申請と回答の段階には,2ヵ月から3年かかる.

 

申請前

 

INDの段階は臨床データを集めることが主な目的とされているが,この期間にまた,製造販売承認に必要なCMC情報の多くが開発される.

 

販売されようとする製剤は,ピボタル試験のために識別され,使用されなくてはならない.製品は十分に特性解析が行われ,安定性が示されている必要がある.

 

一貫した製造が可能であることも証明されている必要がある.

 

これらのデータ開発に対する個々のアプローチは製品の分野によって異なるが,どの情報が重要で,どのようにして情報を作り出していくかの手掛かりとなる,

 

多くのガイダンス文書が利用可能である.

 

INDの事前段階(pre-IND)とINDの時点では,申請の可能性のあるものは, FDAと連絡を取り続けるということが重要である.

 

臨床プロトコールが実行される前に,臨床試験とCMCの問題の両者に対処することは簡単なことではない.

 

製造販売承認が申請されるときに,予期せぬ問題が存在しないようにこれらの問題の詳細を解決することは, FDAと試験依頼者の両者にとって得策である.

 

試験依頼者は十分に情報を集めた後に. BLAの申請を計画し始める.

 

FDAは試験依頼者に,計画中のBLAの提出に先立ってpreBLA会議を持つように働きかける.

 

この会議では,提案されている申請の内容.書式,および申請のタイミングが議論される.

 

この議論は,電子申請のためには特に重要である.

 

適切な情報交換によって, BLA出願に関連するほとんどの問題点を避けることができる.

 

試験依頼者がBLAやNDAの申請を準備している間に, FDAはその申請を審査する準備を行っている.

 

審査委員会が形成され,申請の取り扱いについての予備的な決定が行われる.

 

最初の決定事項の1つは,製品の審査を標準的なスケジュールで行うべきか,優先的に行うべきかどうかである.

 

標準および優先審査スケジュールは,処方せん薬ユーザーフィー法(Prescription Drug User Fee Act, PDUFA)に連動する合意目標に基づいている.

 

最近では,標準スケジュールの場合, BLAもしくはNDAが受理されてから審査が完了するまでに10ヵ月かかり,優先審査の場合には6ヵ月かかる.

 

審査スケジュールは,その製品の用法(重篤または生命にかかわる疾患に対する製品)や,アンメット・メディカルニーズ(未充足の医療ニーズ)を満たすかどうかに基づいて決定される.

 

同時期に,委員会はどの臨床試験施設を査察すべきかを決定し,生物研究モニタリング査察を要求する.

 

この査察は. FDAに提出されたデータの検証に焦点を当てている.

 

現場の研究者は,臨床試験が規則に基づいて実施されたかどうか,適切なインフォームド・コンセントが得られたかどうかを判断する手助けを行う.

 

また,記録の保管が適切であるかが評価され.プロトコールに従って行われたかどうか判断される.

 

生物研究モニタリング査察報告は, BLAもしくはNDAの審査において重要となる.

 

 

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