名目値と固定価格表示(実質値)|【社会経済統計学・統計解析】
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名目値と固定価格表示(実質値)
名目値と固定価格表示(実質値)
金額表示の場合、大きく二つの表示方法がある。
一つは、その時点ごとの価格(貨幣単位)で表示する方法であり、これを名目値(経常価格表示)という。
他方、ある特定時点の価格で表示する場合がある。
これを実質値(固定価格表示または不変価格表示)という。
実質値の場合には、いつの時点の価格が基準となっているかを明示しなければならない。
最近の建設投資の動向データでは、2001年度の名目投資額は約60兆円、1995年度基準の実質投資額は約62兆円で、両者の間に開きがある。
この差は価格評価の相違に基づくものである。
すなわち、同じ投資額でも2001年度の価格で評価するか、1995年度の価格で評価するかによって、投資額に差が生じるのである。
これは、この期間中に物価下落があったことを示している。
対前年度比の変化率に関しては、特に名目か実質かに注意を要する。
時系列データの比較の場合(横断面データでも同様)、名目と実質のどちらを用いた方がよいか
名目値での年どうしの比較は、各時点の物価、技術(品質)変化などを反映した金額の比較であり、最も基本的でわかりやすいという側面をもつ。
他方、物価の変動や品質変化などを含むもの同士の比較であるから、比較のベースとなる「同質性」が充たされていない。
この点、実質値は不十分ではあるものの、物価の変動が考慮されているという意味で、名目値の比較より同質性に配慮している。
そのため、一般的に時系列比較(特に成長率の比較)では実質値が使用される場合が多い。
第二は、金額表示の項目であっても、すべてが固定価格表示にできるわけではないということである。
そうした場合には名目で分析することになる。
また理論的要請から名目値が使用されるときもある。
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