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統計の語源について【統計解析講義基礎】 | 統計解析 - Python・R・エクセルを使った講義で最速マスター

統計の語源について【統計解析講義基礎】

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統計の語源について【統計解析講義基礎】

 

統計ないしは統計学という用語が、いつごろ、どこで使われ出したかご存知でしょうか。

 

実はこの謎については、今から100年以上も前に、ドイツのヨーンという統計学者が、非常に緻密な考証を行っています。

 

また筆者も、ヨーンの学説を再検討して訂正を加えたことがありますが、その結論として、国家の状態を表すラテン語statusに起源し、その後17世紀後半のドイツで、ラテン語のstatisticaから転じてドイツ語のStatistikが用いられ、ヨーロッパ各国に広まっていったと考えられています。

 

ところで、統計という言葉を、著作のタイトルとしてはじめて用いたのは、現在までにわかっているところでは、1672年に出版されたヘレーヌス・ポリターヌス(Helenus Politanus)の「統計的顕微鏡」という奇妙な書名の単行本であると考えられています。

 

この本のフルタイトルは、「統計の顕微鏡的観察、すなわち神聖ローマ帝国の状態が、特に選ばれた重要なもので、かつそれによって描写され、代表されるところのもの、神聖ローマ帝国の英明なる支配者についての議論」となっています。

 

この著作は、形容詞ではありますが統計(Statisticus)の名を冠した、おそらくは最初のものであると推定されており、従来からいくつかの文献でも取り上げられています。

 

しかし、それらの文献の多くは、この著作を単に「統計」の名を冠した最初の書物として紹介しているだけで、その内容や概略についてはまったく触れられていません。

 

唯一の例外は、著名な数理統計学者カール・ピアソンで、彼はこの本が大英図書館に所蔵されていることを突き止め、実際に読み、具体的に検討を加えています。

 

ピアソンは、作者のポリターヌスというのが偽名であり、実際の著者名は確定できないが、おそらくはドイツにあった大学の教授であろうと述べています。

 

またその内容は、法令や勅令を引用しつつ、神聖ローマ帝国における法律および国家制度について記述しているということ、しかも本文中にはstatisticaという用語は見出すことができず、形容詞としてタイトルに付せられたstatisticusは、ragione status(国家理性、国家の記録)を表す言葉としいて用いられたのではないかとも述べています。

 

筆者が考証したところでは、ピアソンも指摘しているように、著書の議論は神聖ローマ帝国の支配者、つまり皇帝の統治の状態を記述したもので、歴代の(特にハプスブルグ家)皇帝による治世の状態、勅令、法令などが、ドイツ語交じりで紹介されています。

 

また本文中statisticaという用語が使われていないと、ピアソンは指摘していましたが、タイトル以外にstatisticumという形容詞の格変化形が一箇所使用されています。

 

しかし、かなり控えめにこの用語を用いているという感は拭えず、当時としてはそれほど一般化された用語ではなかったものと考えられます。

 

しかし統計という言葉の意味が、今日とはまったく異なっていること、また今日、私たちが本屋や図書館で見かける統計の本とは似ても似つかない代物であったということは断言できます。

 

ピアソンはragione statusをconstitution stateという意味であると述べていますが、これはラテン語のratio status(国家理性)のことを指しています。

 

当時の文脈でratio statusとは政治学のことであり、つまり統計学とは政治学の1つであると考えられていたわけです。

 

なお、このポリターヌスの本当の名前は、ドイツの大学派統計学(国状学派)の創始者として有名なヘルマン・コンリングの弟子であり、後にスイスのジュネーブ大学で法学教授となった、P.A.オルデンブルガーではないかと考えられています。

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