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世帯の収入と支出の統計学【統計解析講義基礎】 | 統計解析 - Python・R・エクセルを使った講義で最速マスター

世帯の収入と支出の統計学【統計解析講義基礎】

世帯の収入と支出の統計学【統計解析講義基礎】


世帯の収入と支出の統計学【統計解析講義基礎】

 

総務省統計局によって毎月実施され、家計収支の実態を把握している「家計調査」は、最近になってさまざまな改正が行われ、2002年以降の調査では従来は対象とされなかった農家や単身世帯を含めて全国の全世帯を調査対象としています。

 

ただし調査の困難性から学生の単身世帯などは除外されるという例外があります。

 

2003年時点では約8100の2人以上世帯と、約700の単身世帯が調査され、6ヶ月間(単身世帯は3ヶ月間)継続的に記入する家計簿によって収支を把握しています。

 

近年、単身者世帯数が増加し、1970年には寮などを除いた一般世帯の数は3030万世帯であったものが、2000年では4678万世帯と急激に変化しています。

 

世帯の経済的側面に関しても、従来は2人以上の世帯を中心に調査していたものが、最近では単身世帯も重視されるのは、このような事情によります。

 

図は2人以上の勤労者世帯について、実収入および支出項目のうちから食料と保健医療について名目金額の対前年比を示したものです。

 

実収入とはいわゆる税込み収入で、預金の引き出しなども含む家計簿の収入と区別するものです。

 

このような変化が月次で公表され、世帯の消費行動が把握されることから、景気動向の判断に広く使われます。

 

実際には、月次の対前年同月比や季節変動を調整した前月比が公表され、消費者物価指数によって実質化した数値も広く用いられています。

 

家計調査は世帯の収入と支出のようすを明らかにするためにも利用することができます。

 

図は世帯の年間収入5分位階級を利用した分析の例です。

 

5分位階級とは年間収入の大きさにしたがって、平均所得が最も低い第1階級(約21万円)から、最も高い第5階級(約48万円)まで世帯を5つに分類したものです。

 

この図は、縦軸に各5分位階級の消費支出合計を、縦軸にいくつかの費目について各階級の支出額を示したものです(単位はいずれも円)。

 

たとえば、食料費は第1階級で約5.3万円、第5階級で約9.4万円です。

 

図のように各費目の支出額を支出合計に対応させる関係をエンゲル関数とよぶことがあります。

 

この名称は、食料費の構成比(エンゲル係数)に関する歴史的な分析を行ったエンゲルの名前からきています。

 

縦軸に支出額に代えて構成比を取ったグラフも有用です。

 

生活必需品とぜいたく品を区別する簡単な基準は支出の所得弾力性、すなわち所得が1%上昇したときの支出額の変化率を用いるものです。

 

これは、図からもある程度読み取ることができます。

 

豊かな世帯ほど支出に占める食料費の割合が低下するというエンゲルの法則と同様に、所得に占める消費支出の割合は所得が高い世帯ほど低くなる傾向があります。

 

資産と負債については家計調査では従来は調査せず、別途実施される貯蓄動向調査によっていましたが、2002年から単身世帯の結果を合わせて収録するように変更すると同時に、資産・負債に関する情報も調査するように改正されました。

 

世帯ごとの収入の分布も、資産額の分布も右のスソが長い正の歪みを持っています。

 

収入よりも資産の分布の歪みが大きいことも特徴であり、平均値と中央値とでは大きな違いがあります。

 

家計調査に偏り?他の調査と比較する

 

家計調査では6ヶ月間家計簿を記入することが求められ、調査に対する協力を得ることが難しいために、調査結果に偏りがあるといわれることがあります。

 

この点に関しては、他の調査と比較することによって、調査世帯に偏りがあるかどうか判断することができます。

 

具体的な例として、無回答が少ない労働力調査と比較すると世帯主の職業構成比がそれほど違わないのに対して、同様に無回答の少ない厚生労働省の「国民生活基礎調査」と比較すると単身者の比率に若干の相違があります。

 

しかし後者は学生単身者を含むなど対象とする世帯に違いがあり、それを調整すると差が小さくなります。結論として、調査対象世帯には大きな偏りはありません。

 

もう一つの問題は、家計調査で集計された支出額を費目ごとに生産額と比較すると、耐久財の支出額が低めになるという点です。

 

総務省の実験では、自動車など高額商品の購入は家計簿に記入されない例があることも知られています。

 

これに対応するために、2001年から「家計消費状況調査」が導入されています。

 

この調査は毎月約3万世帯を対象として、自動車や高額商品の支出額などを調査しており、家計調査を補完する役割を持っています。

 

以上の例のように可能な限り複数の調査を比較することが望ましいといえます。

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