3シグマのルール|検査のプロセス管理・ばらつきの限界を定めた管理図【統計学・統計解析講義基礎】
3シグマのルールは、品質管理において検査で不良品をはねるプロセス管理の考え方が基本。ばらつきの管理限界の幅(3シグマ限界)を定めた管理図を用いる
検査を不良にするプロセス管理
品質管理は当初検査から出発しましたが、結果は完璧ではないし、また付加価値も生みません。
そこで、「プロセス管理」という、工程で品質を作り込むという考え方が誕生しました。
規格下限と規格上限の間に入るものが良品、そこからはみ出るものはは不良品です。
検査ではこの不良品をはねる必要があります。
ばらつきが少なくになれば、検査は不要となります。
これがプロセス管理です。
ばらつきの限界を定めた管理図
ばらつきには、許容される「偶然原因」によるものと、「見逃せない原因」による2つのものがあります。
これら2つの原因を区別することが重要であり、見逃せない原因であれば、これを探し出し除去する必要があります。
このばらつきの限界を示すために、「上部管理限界」と「下部管理限界」とを示す2本の管理限界線を設定します。
これに工程の状態や品質特性を表す点を時系列にプロットし、点が2本の管理限界線の間に落ちれば、ばらつきは偶然原因によるものであり、点が外に出れば見逃せない原因によるものであると判断し、工程にタイムリーに必要なアクションをとることができます。
このための道具を管理図といいます。
管理限界の幅:3シグマ限界
管理図の管理限界の幅は、普通は「3シグマ限界」(シグマはギリシア文字のσから由来します)により与えられます。
統計的品質管理において、不良には3つのパターンがあります。
理想的な作業標準が確立され、作業標準通りに作業がなされ、図の下段のようになったとします。
すなわち、図は工程平均μ(ギリシア文字のミューで、平均を表します)と偶然誤差によるばらつきを示します。
この工程平均μを中心としてばらつきを示す標準誤差σの3倍を幅に管理限界値を設定する方法が一般に行われ、これを「3シグマ限界」とよびます。
図に示すように管理状態ではμ±1σに68.3%、μ±2σに95.4%、μ±3σに99.7%が位置し、3シグマ限界を超える確率は1000個にたった3個しかないゆえ、この限界を超えたとき、工程に何らかの異常が生じたものと考え、アクションをとる必要があります。
これを3シグマのルールといいます。
関連リンク