食欲の統計学【統計解析講義基礎】

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食欲の統計学|【統計学・統計解析講義基礎】

食欲の統計学【統計解析講義基礎】


目次  食欲の統計学【統計解析講義基礎】

 

 

食欲(appetite)の統計学

 

人として、看護者として

 

生命の維持において重要な「食欲」は、主体的に人として食べることに取り組む最も基本的な、最後に残されたこころと身体の総合表現と考える。

 

動物の多くは、空腹感を感じて食事をし、満腹感にて食事をやめる。

 

しかし人は、空腹感を感じても我慢をすることができ、満腹感を感じてももったいないからといって無理に食することもできる。

 

これを「意志食べ」という。

 

患者が人間として最後まで残された、生きるための食への主体的取り込み、自らの生命を守る意志の表現に看護者として手を添えることのできる喜びを感じさせてくれるのが、食欲への支援である。

 

食欲を左右する因子

 

食欲は、視床下部(脳幹中の間脳の一部で自律神経系の中枢)にある食欲中枢、摂食中枢と満腹中枢の協調と統合により成立する。

 

2つの中枢は、一方の活動が高まると他方が抑制されるという、互いに拮抗的な関係にある。

 

また、食欲中枢には、食物の味覚、嗅覚、視覚、温覚などの感覚情報と胃、腸などの内臓からの情報、血液・体液成分などの内部環境の情報、および脳の記憶に残るさまざまの情報を含めて、これらのすべてを統合して食欲を導く働きを持っている。

 

食欲がこの多くの因子に支えられていることは、看護する立場にあるものとして非常にありがたい。

 

患者と共にあらゆる角度からの試みをする機会が持てるということである。

 

看護者は、「食欲がないと話されることの意味」をよく汲み取る必要がある。

 

食欲を左右する因子の一つ一つを患者の日常性に照らしながら想起して比較し、観察することが重要である。

 

事実の極みの出発点は、「食欲がないと話されることの意味」と、「現実」との比較である。

 

 

患者自らが自身の身体に聴き発見する食欲

 

食欲への支援は、患者自身が自らの身体に聴くことへの支援であろう。

 

患者と共にゆっくりと患者の身体に聴き続けることが重要である。

 

例A[1日目の関わり]病院の大きな飯椀に盛られたご飯にチャレンジする患者と励ます看護師の会話から。看護師は「○さん、また残されましたね。食欲がなかなか出ませんね」と患者に話しかけている。患者は「看護師さん、これでも頑張ったんですよ。もうご飯を見るのもいやですよ」と訴えている。

 

[2日目の関わり] 前日の内に、家族に本人が家庭で使用している飯椀を持参してもらい、病院の飯椀に盛り直すと、家での椀の2杯分(約240g)である。次の食事後の患者、「看護師さん今日はご飯1杯食べられましたよ」、と笑顔。

 

実際のところ、食欲がない状態には変わりはないが、こころをほぐし、次へのてがかりを得ることができたといえる。

 

患者自身が身体に聴く「食欲さがし」への本当の共同作業が始まったといえる。

 

知的作業と感情の作業の狭間から

 

○さんの食欲のこころの視座を、こころの実測とは異なるが飯椀にて測定し、あたかも食欲があり食べることができたように数値では表現された。

 

それを承知で、患者は「食欲の成果」として報告する。

 

人間にはこれができると考える。

 

視点を変えて困難を乗り切る技、方向を変えることで錯覚と知りながらそこに浸り乗り切るなど、自身を鼓舞する方法がある。

 

例B[食卓の梅干し] 患者の話は、「朝の梅干し1つは、寿命を延ばすと母親にいわれて、わが家では食卓に欠かしたことがない。先生は減塩食だから梅干しは出ませんといわれるが。おみそ汁はなくても我慢できるが梅干しがなくてはお粥は食べられない。みそ汁の塩分を梅干しに変えられないかね。1個なんて食べないよ。箸につく程度につまむだけさね」とのことである。

 

この話からみそ汁の栄養価と、家庭からの梅干しのひとつまみを検討し、何も食べないよりは、食欲が出て食べるようになることが先との結論により両方とも食卓に出される。

 

数値に変えて表現した「食欲」のトリック

 

食欲は、人間の生命に関わるこころと身体の総合表現であるから、逆に知的作業と感情の作業が有効に働くように位置づいているといえる。

 

「食欲がない」患者に対して守り通す「制限食」とは何か。

 

人間は、自らの知恵のトリックにはまらないようにしたいものである。

 

食欲は、患者のこころと身体の総合表現であることを再確認し、しっかりと患者に添い遂げる必要がある。

 

「ご飯茶碗1杯食べられた」として表現した食欲、「梅干し1個とみそ汁1杯」の塩分交換に表現した食事の意味、数値に変えて表現した「食欲」のトリックを見すえ、「食欲」に示される患者のこころをしっかりと受け止めたい。

 

 

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