パス解析におけるモデルの適合|【多変量解析・統計学・統計解析】
パス解析におけるモデルの適合
再婚と精神的健康のインプライド相関が実際の相関とはほど遠いことから,拡張選択モデルは否定された。
モデルにとって,ある特定の相関が理論的理由により決定的に重要なのだ。
しかし,もっと一般的に考えて,モデルはモデルの中のすべての変数間の相関を想定しているはずだ。
場合によっては,観測された相関とインプライド相関が正方行列で表現されることがある。
そのときは対角項の下の三角行列の中に実際の相関係数が,上三角行列にインプライド相関係数が配置される。
各変数のペアにおける観測された相関係数とインプライド相関係数の間のズレが,三角行列で示されることもある。
総合的な適合度指標は,1つや2 つではなく,インプライド相関係数と実際の相関係数のすべてを比較したものからなる。
すべてのズレの絶対値を平均したものは,モデル適合の指標の1つである。
実際には,重回帰分析でパラメータを推定したとき,研究者はある理論的関心に基づく関係のところだけ,インプライド相関係数を計算することがある。
あるいは重回帰分析が使われたとき,モデルがどのようにして完全行列を再生できるかという問いに答えるための適合度であるQ を計算することもある。
Q は0から1 までの値をとるものである。
これが1 に近い値をとるときはモデルがデータによくフィットしていることを意味する。
しかし,Q を使うのは時代遅れ気味である。
共分散構造分析のソフトウェアを使うことの1つの利点は,モデルの推定されたパス係数を出力するとき,全体的なモデル適合度も同時に提供してくれることだ。
もしモデルの全体的なフィットに関心があるなら? 完全に逐次なモデルでない限りふっうはそうだろうが? そうしたソフトウエアを使うことは明らかにメリットがある。
適合度は係数の大きさや内生変数における説明された分散の量とは何の関係もないということにも注意したい。
関連記事