看護文献レビューで学ぶ質的・量的研究の効果的アプローチ【ChatGPT統計解析】
研究文献レビューの最良の学び方は、看護文献のレビューを読むことです。量的・質的研究の例を示し、脳卒中患者やホームレスの体験に関するレビューが紹介されています。文献レビューでは既存知識を明確にし、選択し、批判的に分析することが重要です。レビューは研究アイデアの発展、背景提示、研究の必要性の正当化を行い、エビデンスに基づく情報を統合します。一次資料を優先し、電子データベースを活用してリファレンスを探します。レビューは論理的かつ一貫した整理が必要で、引用や抄録の羅列に終わるべきではありません。
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研究文献レビューの研究例
研究文献レビューのスタイル,内容,整理について学ぶ最良の方法は,看護文献に出てくるいくつかのレビューを読むことである.
ここに,レビューの抜粋を2つ示すが,関心あるトピックについて,ほかにもレビューを読むことをすすめる.
量的研究報告の例
ティール,ダンカン,ライは,脳卒中患者のケアをしている83人の介護者の体験について研究を行った.緒言に含まれる文献レビューは,以下のとおりである.
50万人以上の米国人が,毎年,脳卒中に苦しんでいる.
うち約75%が生存するが,その大部分に,介護を要する神経障害の後遺症が残る。
多くの脳卒中患者は,長期にわたって在宅で介護される.家族が介護をするが,彼らは脳卒中がもたらしたアウトカム(結果)に継続的に対処するために,多くの新しい技術を習得しなくてはならない…
脳卒中後の家族による家庭でのケアマネジメントは必要不可欠であるが,ストレスに満ちたきつい仕事である,
身体的ケアの必要性,不眠症,役割の変化など,脳卒中の結果としてよくみられるこれらのことが,介護提供者のストレスとなる.
介護の必要性は,家族介護者にネガティブな情緒的,身体的結果をもたらす.
いいかえると,介護を提供する役割を続けていくことに対して,ネガティブな影響をもたらす.
影響が予測されるため,多くの介護者のアウトカムが研究されてきた.
抑うつ症,重圧感や緊張感.心配,不安定な気分といったメンタルヘルス上のアウトカムが,介護提供との関連で検証された.
脳卒中の介護者は.非介護者に比べて高い抑うつ得点を示し,高い数値レベルは脳卒中の1年後にも続いていた.
介護している妻では,社会的支援が多くなることと,抑うつが低いことは相関していた.
介護者の身体的健康のアウトカムは,一般健康状態および慢性疾患の評価,医師の訪問頻度や入院日数,免疫機能の評価,そして疲労度などであった,
脳卒中の介護者は,身体的健康の障害を訴えたが,リースらが,少なくとも6か月間ケアをしている介護者について,介護者と比較して,免疫機能の横断解析(cross-sectional analysis)を行ったところ,免疫学的変化は認められなかった.
エヴァンスらは,家族も,脳卒中のアウトカムに影響を与えると示唆した.
たとえば,家族は,脳卒中後の患者の対処能力を高めるような,情緒的支援.情報的支援,そして実際的支援を行い,患者の対処に緩衝効果をもたらす.
脳卒中後1年の時点で,最適の家庭環境に分類された集団の介護者よりも家庭環境にあると分類された患者の場合,その介護者は抑うつになりやすく,配偶者が介護者である傾向は低く,脳卒中のケアについての知識が平均以下で,家族機能不全となることが多い.
これらの個々の変数が脳卒中のアウトカムに関連しているので,脳卒中後の評価と治療には,脳卒中のケアについての知識を広めるとともに,介護者の抑うつと家族機能不全を最小限にするための配慮を含まなくてはならない.
全体的に,脳卒中患者の介護者のアウトカムを報告した研究文献は,きわめて限られている.
とくに,患者の状態や介護の日課が大きく変化する可能性の高い,脳卒中後の初期数か月間の介護についての研究は,事実,文献がない.
質的研究報告の例
ボイデル,ゲーリング,モレルーブライは,29人のホームレスの体験について研究した.研究報告における文献レビューの一部は,以下のとおりである.
研究は,ホームレスであることとは,単に住む場所がないこと以上を意味していることを示す.
ホームレスの人は,アイデンティティの感覚,自尊心,自己効力感を失うことが多い。
ホールホーンは,38人のホームレスの男性を民族誌的に研究し,心理社会的なアイデンティティが崩壊する傾向にあることを発見した….
テイラーは,10人のホームレスの女性に質的面接を行い,参加者が共通して,非人格化や非難された体験をもち,結果として,彼女らの人間性に影響をもたらしていることを示した.
不潔であること,不潔にみえること,アイデンティティを証明するもの(証明書)がないことが,女性の自尊心や人間性に大きく影響していた.
スノウとアンダーソンは,失業したばかりの人々が,他のホームレスの人々に強い敵意を示すことを報告している.
対照的に,長期にわたってホームレスである人々は,最近失業した人々よりも,浮浪者とかバム(怠け者など,軽蔑的な言葉)という自己概念を受け入れている.
この独特な自己概念は,他のホームレスの人々との社会的な比較や同一視によって(少なくとも部分的には)獲得され強化されている可能性がある….
モンゴメリーは,ホームレスの女性は,辛い体験によって新しいより積極的な自分をつくれたと感じていることがわかった….
文献は,ホームレスであるという体験に,スピリチュアルな次元があること(無視されることが多いが)も示している,
マトゥセクは,ホームレスであることに関連する深い自己喪失感が,いかに自分の存在そのものを定義するというスピリチュアルな挑戦をみせるかについて描写している.
・研究文献レビューは,研究問題についての既存知識の状態についての要約である.研究文献をレビューする作業には,トピックに関する既存の情報を明確化し,選択し,批判的に分析し,記述することが含まれる.
・研究者は,以下の目的のために研究文献をレビューする.研究のアイデアを発展させる,関心あるトピックについての知識をみきわめる,研究の背景を提示する,研究の必要性を正当化する.研究の利用者は,知識を獲得し,看護実践を改善するために,エビデンスに基づく情報をレビューして統合する.
・研究文献レビューにとってもっとも重要な情報のタイプは,経験的な研究からの研究結果である.さまざまな研究に該当しないリファレンス,つまり,意見記事,ケース報告,挿話,臨床的記述なども,研究問題の理解を広げ,研究の必要性を示している.しかし,一般に,研究レビューを書く際に利用するには限界がある.
・研究文献に関する1次資料は,研究を行った研究者自身が書いた,研究のオリジナルな記述である.2次資料は,直接に研究したのではない人が書いた,研究についての記述である.文献レビューを行う際は,可能なかぎりいつでも,1次資料を参照しなくてはならない.
・研究文献レビューのためにリファレンスの場所を探すのにもちいる図書目録が,大きく発達したことによって,さまざまな電子データベースが広く利用できるようになった.その多くは,オンライン検索を通じて,またはCD-ROMによって利用できる.ナースにとって, CINAHLデータベースおよびMEDLINEデータベースは,とくに有用である.
・図書目録データベースを検索する際に,通常,ユーザーは関心あるトピックについて主題検索を実施するが,他のタイプの検索(例:テキストワード検索,著者検索)も利用できる.
・電子情報の検索は普及しているが,プリントインテックスや抄録雑誌のような印刷された情報源も利用できる.
・特定したリファレンスは,自分の研究との関連性という観点から選別し,次に批判的に読まなくてはならない.
・研究レビューのためのほとんどのリファレンスは,専門誌のなかで見つかることが多い.
・研究雑誌論文は,研究を簡潔に記述したものであり,研究が知識に寄与したことを伝えるためにデザインされている.
・雑誌論文は,抄録(研究の簡潔な概要)と,以下の4つの重要なセクションからなる.@緒言(研究問題とその背景の説明),A方法(研究問題に取り組むために使う方略),B結果(実際の研究結果),C考察(研究結果の解釈)
・研究報告は,難解かつ簡潔で,多くの専門用語を使うため,読みにくいことが多い.質的報告は,量的研究報告よりも,魅力的で会話的なスタイルで書かれており,量的研究報告は人間味が少なく,統計学的検定についての情報を含んでいる.
・統計学的検定は,研究の仮説を検証したり,研究結果の信用性を評価するための手順である.統計学的に有意である研究結果は,きわめて信頼できる可能性をもつ.
・レビューを書くにあたって,論理的で一貫したやり方で資料を整理することが重要である.概要(アウトライン)を書くことをすすめる.要約表を占くことは,さまざまな研究をまとめるのに役立つことが多い.
・レビューを書くことは,引用や抄録の単なる羅列であってはならない.レビューをする者の役割は,今日までにどのような研究がなされているか,それらの研究はどれだけ適切で信用できるか,既存の研究にはどのような隙間があるか,(新しい研究の文脈において)その研究はどのような貢献ができるか,を指摘することである.
研究文献レビューのスタイル、内容、整理について学ぶ最も効果的な方法の一つは、実際の看護文献に掲載されているレビューを読むことです。これは、特に看護分野において研究文献をどのようにまとめ、評価し、分析するかを理解するための最良のアプローチとされています。看護研究におけるレビューは、研究者が既存の知識や文献をまとめ、そこから新たな研究の必要性を見出し、実際の研究に役立つ情報を提供するという役割を果たしています。ここでは、量的研究と質的研究の2つのレビュー例を紹介し、それぞれの文献レビューの特徴を説明します。また、関心のあるトピックについて他の文献レビューを読むことも推奨されます。まず、量的研究の例として、ティール、ダンカン、ライが行った脳卒中患者の介護者に関する研究を紹介します。この研究では、脳卒中患者のケアをしている83人の介護者の体験を調査し、介護者が直面する課題やストレスについて明らかにしています。この研究の緒言には、脳卒中が多くのアメリカ人に影響を与え、毎年約50万人が脳卒中を発症し、そのうち約75%が生存するものの、多くの患者に神経障害が残ることが指摘されています。こうした患者の大部分は、家庭内で長期間にわたり介護を受けることになります。介護は主に家族が担いますが、家族介護者は脳卒中後の患者ケアに必要な新しい技術を学び続ける必要があります。しかし、この介護は非常にストレスの多い作業であり、身体的なケアの要求、不眠症、役割の変化など、脳卒中によって生じる問題が介護者に大きな負担をもたらします。脳卒中患者の介護は家族介護者にネガティブな感情的、身体的影響を与えることが多く、抑うつ症や緊張感、心配、不安定な気分などが報告されています。実際に、脳卒中患者の介護者は非介護者に比べて高い抑うつ得点を示しており、これらの高い抑うつレベルは脳卒中の発症から1年後にも続いていることが研究で確認されています。特に、介護している妻に関しては、社会的支援が多いほど抑うつが低いという相関関係が見られました。介護者の身体的健康についても、全般的な健康状態や慢性疾患の評価、医師の訪問頻度や入院日数、免疫機能の評価、そして疲労度などが調査されており、脳卒中の介護者は身体的健康の障害を訴えることが多いと報告されています。ただし、リースらによる研究では、少なくとも6か月間ケアを続けている介護者の免疫機能を他の介護者と比較した結果、免疫学的な変化は認められなかったとされています。また、エヴァンスらの研究では、家族も脳卒中のアウトカムに影響を与えることが示唆されています。具体的には、家族は脳卒中後の患者に対して情緒的支援、情報提供、実際的なサポートを行うことで、患者の対処能力を高め、緩衝効果をもたらす可能性があるとされています。しかし、脳卒中後1年の時点で、家庭環境が最適でないと分類された場合、その介護者は抑うつになりやすく、配偶者が介護者である可能性が低く、脳卒中のケアに関する知識も平均以下で、家族機能が不全になる傾向があると報告されています。このような個々の変数が脳卒中のアウトカムに関連しているため、脳卒中後の評価や治療には、脳卒中のケアに関する知識を広め、介護者の抑うつや家族機能不全を最小限にするための対策が含まれるべきです。全体的に、脳卒中患者の介護者のアウトカムを報告した研究は限られており、特に脳卒中後の初期数か月間における介護についての文献はほとんど存在しません。次に、質的研究の例として、ボイデル、ゲーリング、モレルーブライが行ったホームレスの体験に関する研究が紹介されます。この研究では、29人のホームレスの体験を調査し、ホームレスであることが単に住む場所がないという問題だけでなく、アイデンティティの喪失や自尊心、自己効力感の低下をもたらすことが示されています。例えば、ホールホーンは38人のホームレスの男性を対象に民族誌的な研究を行い、ホームレスの人々が心理社会的なアイデンティティを失う傾向があることを明らかにしました。また、テイラーは10人のホームレスの女性に質的面接を行い、非人格化や非難された経験が共通しており、その結果として人間性に悪影響を与えていることを示しました。特に、不潔であることやアイデンティティを証明する書類がないことが女性の自尊心や人間性に大きな影響を与えています。また、スノウとアンダーソンは、失業したばかりの人々が他のホームレスの人々に対して敵意を示す一方で、長期間ホームレスである人々はそのような敵意を示さず、むしろ浮浪者としての自己概念を受け入れていることを報告しています。このような自己概念は、他のホームレスの人々との社会的比較や同一視によって強化されている可能性があります。さらに、モンゴメリーは、ホームレスの女性が辛い経験を通じて新しい積極的な自己を見出すことがあると報告しており、スピリチュアルな次元もホームレスの経験において重要であることが示されています。マトゥセクは、ホームレスの自己喪失感がスピリチュアルな挑戦を引き起こし、それが存在の意味を問いかけるものであることを描写しています。このように、文献レビューは、研究問題に関連する既存知識を整理し、批判的に評価するために不可欠なプロセスです。研究者は、研究のアイデアを発展させ、トピックに関する知識を明確にし、研究の背景を提供し、研究の必要性を正当化するために文献レビューを行います。また、研究利用者は、看護実践を改善するためにエビデンスに基づく情報を統合することが求められます。文献レビューで最も重要な情報源は、経験的な研究から得られる研究結果です。意見記事やケース報告、臨床的な記述なども研究問題の理解を深めるために役立つことがありますが、文献レビューを書く際には限界があるため、これらの情報源を使用する際には注意が必要です。研究文献のレビューにおいては、可能な限り一次資料を参照することが推奨されます。一次資料とは、研究を実施した研究者自身が書いたオリジナルな記述のことであり、二次資料とは直接研究を行っていない人が書いたものです。文献レビューを行う際には、一次資料に基づいて情報を整理し、評価することが重要です。また、文献レビューのための参考文献を探すために利用できる電子データベースも多く存在し、看護分野においては、CINAHLデータベースやMEDLINEデータベースが特に有用です。電子データベースを検索する際には、主題検索やテキストワード検索、著者検索などさまざまな方法を活用することができます。
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