抗ウイルス薬FIACの挑戦と挫折:副作用と市場の壁【ChatGPT統計解析】

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抗ウイルス薬FIACの挑戦と挫折:副作用と市場の壁【ChatGPT統計解析】

抗ウイルス薬FIACの挑戦と挫折:副作用と市場の壁【ChatGPT統計解析】
1970年代後半、ニューヨークのJack Foxは抗ウイルス薬FIACを開発し、ビダラビンを超える効果を示したが、副作用が課題だった。1980年代には、より優れた薬であるアシクロビルが登場し、FIACの開発は停滞したが、FIACがCMVに有効であることが分かり、さらなる開発が進められた。Bristol-Myers社は市場規模の小ささからFIAC開発を中止し、後にOclassen Pharmaceuticalsが開発権を取得。FIACは肝炎治療にも応用され、特にHBVへの有効性が期待されたが、副作用が問題となり、開発は最終的に中止された。

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目次  抗ウイルス薬FIACの挑戦と挫折:副作用と市場の壁【ChatGPT統計解析】

 

 

薬剤開発の競争

 

1970年代後半,ニューヨークのMemorial-Solan Kettering病院のJack Foxは,一連の天然ヌクレオシド由来フルオロピリミシン誘導体を合成し,これらが強力かつ特異的な抗ウイルス化合物であることを示した.

 

これは,抗ウイルス療法が学問的に目立たない場所から脚光を浴びる場に初めて登場した時期であったことが思い出される.

 

アマンタジンは,インフルエンザに有効であることが示され,単純ヘルペス脳炎の致死率およびがん患者における重度の帯状疱疹感染を軽減するという事実を,静注用ビダラビンの大規模共同臨床試験が見出しつつあった.

 

ビダラビンは神経筋系および血液学的毒性を引き起こしたが,致命的となり得るウイルス感染の転帰を好転させるという楽観的な見方により.より優れた抗ウイルス薬が出てくるのではないかと期待されていた.

 

ニューヨークのFoxおよびその共同研究者は,それらの化合物のうちの1つであfluororoiodoarabino-sylcytosineあるいはfiacitabine (FIAC) (図10-1)は,特に単純ヘルペスおよび水痘ウイルス複製阻害剤として有望な候補物質とし.これは重度のヘルペス,水痘,帯状疱疹に有用であると考えた.

 

In vitro (生体外)および動物試験により,これはビダラビンよりかなり強力であることが示唆された.

 

1980年代初期,彼らは,一連の探索的第1相および第n相臨床試験を行い,その考えを確認した.

 

1つの比較試験では,彼らは.FIACが,進行がん患者における帯状疱疹に対して,ビダラビンよりも優れていることを示した.

 

ビダラビンと同様,これも骨髄毒性を示したが,同様に心臓,神経,肝毒性も起こる可能性が示された.

 

しかし.薬剤開発の競争において. FIACは当初の輝きを失った.それが有用であるのと同様に,Burroughs-Wellcome社のGertrude Elion の研究室からより良い薬物が現れた.

 

Elionおよび彼女の長期にわたる共同研究者George Hitchings は,アロプリノール,6−メルカプトプリンなどのヌクレオシド化学に基づいた新規薬物の合成において名声を得ていた(後にノーベル賞を受賞).

 

彼らの最も素晴らしい発見は,グアノシンの新規誘導体の1つであるアシクロビルであり,抗ウイルス薬治療に変革を起こし,ジドブジン(AZT)および現在のHIV管理の主要な柱となる薬剤の開発戦略の確立につながったのである.

 

アシクロビルは,ビダラビンに比べ劇的に有効であることが示された.この薬物は,経口投与でき,毒性は無視できる程度であった.

 

重度の単純ヘルペスまたは帯状疱疹ウイルス感染を治療する方法として, FIACの役割がないと考えられたことは明らかであったが. 1981年,ニューヨーク市は,同性愛主義の男性において,失明および致命的となり得るサイトメガロウイルス(CMV)日和見感染を発症する手の尽くしようのない新しい症候群の発生地となっていた.

 

FIACは. CMVに対し非常に高い活性を有することが証明されていたが,ビダラビンおよびアシクロビルは不活性であった.

 

ではFIACは,ヒトにおいてCMVに効くのか.非常に状態の悪い後天的免疫不全症候群(AIDS)患者において静注用FIACをlg/ 日以上,10日間まで投与した経験がFIACの開発初期の臨床試験であったことから,その可能性があることが示唆された.

 

さらなる開発について. FIACはBristol-Myers社にライセンス供与された.

 

化合物の社内での検討では明らかに様々な結果がわかっていたが,会社は,他の会社の化合物ガンシクロビルが既に効果的であると証明されていたため,最終的にはCMVについて開発しないことを選択した.

 

CMV用薬剤の市場は,新薬を市場に送り出すために必要なおよそ2億ドルを拠出するには,あまりにも小さい市場であると考えられたのであった.

 

1980年代後半,サンフランシスコ湾岸地域の小さな会社であるOclassen Pharmaceuticals は, FIACおよびその同種の化合物を開発する権利を取得した.

 

この会社の顧問は,薬物に関するすべての前臨床および臨床データを調べ,経口で生物学的活性を有する薬剤として, FIACは重篤なCMV感染に対する有効な薬物であると考えた.

 

カリフォルニア大学サンディエゴ校のDouglas Richman, ワシントン大学のLawrence Corey.さらに筆者自身を含む研究者のチームは.NIHが助成するAIDS臨床試験グループ(AH)SClinical Trials Group, ACTG)とは独立して行う第1相臨床試験プロトコールを計画した(表10-1).

 

目的は,尿中CMV培養陽性のHW患者に対しFIACを経口投与することであった.経口FIACがガンシクロビルと同等の活性を示し,毒性がそれ以上でないと証明されれば. FIACは治療上,ガンシクロビルに優れると考えたのである.

 

一度開始すると. AIDS患者におけるCMV感染の治療は実質的には生涯続くことになる.

 

ガンシクロビルは静脈内投与のみであるため,この患者は,永久的に留置カテーテルを付けられ,注射を繰り返し受け続けることになる.

 

我々が計画した試験では.各レベル6例それぞれにFIAC液を投与し.用量範囲0.6〜5 mg/kg/ 日2週間投与の忍容性を漸増しながら検討するというものであった.

 

しかしながら. FIACの低用量群においてでさえ,尿中CMV排泄に何の効果も示すことはなく,嘔気および疲労感は許容できるものではないことが確認された.

 

1990年には. FIACは,ヘルペスウイルスの治療における臨床的位置付けがないことが明らかとなった.

 

一方. FIACの毒性はその誘導体のいくつかでは出現しないことも明らかとなった.

 

ヒトにおいて,投与された大部分のFIACは,フルオロヨードアラウラシル,フィアルリジンまたはFIAUと呼ばれる同様の分子に変換されることが知られていた.

 

FIAUは. FIACの持つすべての抗ウイルス活性を持っていた.探索的ACTG試験は,HWとCMVの重複感染患者において. FIAUの漸増的投与を試験するために改訂された.

 

最初の13例での検討により,1mg/kg/ 日を越える用量で嘔気をもたらすが,未だ抗CMV活性を示さないことがわかった.

 

これにより,FIACもFIAUもともに.有効な抗CMV薬とはいえないことが明らかとなった.

 

この種の薬物の開発を断念する前に,共同研究チームは.B型肝炎ウイルス(HBV)感染への使用の可能性を追求することにした.

 

FIACおよびFIAUは,HBVが複製において依存する酵素,つまりウイルスDNAポリメラーゼ13の非常に強力な阻害薬である.

 

FIACは, HBVと非常に類似するウイルスに慢性的に感染しているウッドチャックにおいて活性を示した.慢性肝炎は,重要なヒト疾患である.

 

HBVは,急性肝臓感染症を引き起こすことがよく知られている.

 

多くの患者は感染から完全回復するが,全患者の約5%(全米国人患者の1%)において,何年にもにわたり感染が続く.

 

慢性HBV感染は,肝臓を徐々に瘢痕化(線維症)をもたらし,その過程は肝硬変として知られている.

 

これは,肝不全を引き起こし,肝移植が必要となる.

 

慢性的感染が数十年にわたりコントロールされないと,肝がんが発現する.HBVは,アジアの一部におけるがん死亡の主要な原因である.

 

HBV感染を予防するためには,非常に有効なワクチンを用いることができるが,既に慢性的に感染している推定3億人には効果がない.

 

1970年代後半,インターフェロンαの1日1回または週3回4〜6ヵ月間の注射は.多くのヒトでHBV感染を抑制することが示されたが,持続的な有用性が示されたのは投与を受けた患者の25〜40%に過ぎなかった.

 

この治療は不便で,高価で,毒性があり,血球減少.抑うつ,さらに多くの問題を引き起こすため,インターフェロン療法には大きな限界があった.

 

肝炎は,未だ達し得ない治療目標である.これにより. HBV感染を対象にFIAUを試験することとなった.

 

 

1991年春,HWおよびHBV重複感染の患者に,新しい研究プロトコールの下,1mg/kg/ 日のFIAUを初めて投与された.

 

この患者は,投与の2週問,十分な忍容性を示し,血中のHBVレベルは明らかに,およそ1/10に低下した.

 

このようなHBV阻害の程度および速度は,抗ウイルス薬では決して認められたことがなく,研究チームは元気づけられた.

 

続けて,さらに患者に投与し,そのすべてが反応を示した.しかし,相変わらず時々嘔気がみられ,他の悩まされる副作用の可能性もあるため.より低用量のFIAUで試験できるようにプロトコールをさらに改訂した,

 

翌年にかけて,サンディエゴ,シアトル.ベセスダにおいて,計43例がFIAUの投与を受けた18.薬物は, 0.1 mg/kg/日の低用量で活性を示し,2週間にわたり十分な忍容性を示した.

 

HBV治療薬としてのFIAUへの期待が膨らんだが,真の価値は, HIVおよびHBVを重複感染した少数例においてではなく, HBV単独感染のより大きな患者母集団で得られると考えられた.

 

慢性HBV感染を有するが他は問題のない患者において,新たな一連の試験がデザインされた.

 

これらの更なる試験は,前にも増して,慢性HBV感染患者の診断および管理において経験を積んだ肝臓専門医の助言と支援を必要とした.

 

共同研究者であるNIHの米国国立糖尿病・消化器病・腎疾病研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Disease, NIDDK)に所属するJay Hoofhagle の協力を得ることができた.

 

彼は. HBVに有効な治療は長期間行う必要があることを助言してくれた(その後HBVのより新しい薬物で証明された事実).

 

FIAUが十分な忍容性を示し,ウイルスを持続的に除去できるかどうかが判明するまで,一連の長期試験を行う必要があった.

 

Hoofnagleのグループがリーダーシップをとり我々にとっても2つ目の試験が行われた.

 

慢性HBV感染(HIV陰性)患者24例において. FIAUが28日間投与された.

 

各群6例の. 0.05. 0.1. 0.25. 0.5 mg/kg/日4群に用量がランダムに割付けられた.

 

実際に,HIV患者における筆者らの過去の試験より高用量のFIAUが投与された例はなかった.

 

すべての患者は,1992年中頃までに登録され投与を受けた.

 

FIAUは,十分な忍容性と用量反応性を示し,0.05 mg/kg 用量レベルでは,より高用量のレベルに比べ,軽度に弱い血中ウイルスレベル抑制作用が示された.

 

0.1 mg/kg/日において,血中のHBV DNA レベルは平均して約90%に低下した.24例中9例では,検出可能なすべてのウイルスDNAが消失した.

 

FIAU試験から目覚ましい早期の成果が出るにつれ,研究の展望に暗雲が少しみられたが,その前兆は何年も続くものとは考えられなかった.

 

HBVとHWの重複感染患者におけるFIAU試験は,健常人における臨床試験が開始されると終了した.

 

HIVコホート試験の最終段階は. FIAUの最初の2週間投与で効果がみられたが,その後数週間から数カ月で再発した4例の患者に対する再投与の試験であった.

 

肝炎以外は問題のない患者の後期試験において,できるだけ多くの割合の患者におけるウイルス消失が得られるように,長期投与または再投与が必要であるかどうかについて議論された.

 

再投与を受けた4例には.もちろん,そのHIV疾患により,抗レトロウイルス療法および日和見感染の予防および治療のための薬剤が必要とされた.

 

FIAU再投与は,以前と同じlmg/kg / 日をさらに2週間,あるいは0.5 mg/kg/ 日を4週間とし, FIAUの第1コース終了の2〜10ヵ月後に開始された.

 

しかしながらFIAUの第2コースの3〜5ヵ月後,これらの患者4例すべてで重篤な有害事象が発現した.

 

2例は膵炎を起こし,そのうち1例は致命的であることがわかった.

 

これらの患者は,膵炎を引き起こすことが知られている抗レトロウイルス薬であるジダノシンなど.他の薬物の投与も受けていた.

 

他の2例は,進行性の肝不全を発症し,これらの症例は結局死亡した.

 

詳細な協議と肝生検により,これらのうち1例において,肝不全は進行性肝炎および肝硬変によるものであり,もう1例の患者では,服用した種々の薬物による既知の毒性の結果であると結論づけた.

 

投与終了後長期間おいて問題が発現していること,さらにそれぞれの患者が以前の投与コースにおいて総投与量で忍容性を示していたことから,これらの死亡がFIAUによるものとは考えなかった.その後,これらの症例の独立した調査20およびその剖検により明らかになった。

 

慢性肝炎以外は健常な患者24例のうち,2例で遅発性の有害事象が発症した.

 

1例は. FIAU投与終了の4ヵ月後,足底部の疼痛と感覚異常を報告した.

 

これらの神経障害性症状は,5年前からのアルコール依存症によるものに類似していた.

 

別の患者は, FIAU投与終了の1ヵ月後から始まった疲労および嘔気を示した.

 

翌月にわたり,肝酵素が上昇し,患者の足底部における感覚異常を認め.別の医師は,胆嚢を切除する選択をした.

 

胆石は発見されなかったが,1週間後,腹部に腹水が貯まり,その6週間後に肝不全が進行し死亡した.

 

その剖検結果は,米軍病理学研究所(Armed Forces of Pathology, AFIP)からの専門家1名を含む多くの専門家とともに検討された.

 

重度のウイルス肝炎に加え,我々は肝の微小脂肪沈着症を確認した.

 

これは顕微鏡的脂肪小滴の蓄積を示している.稀に,薬物毒性を含む種々の状況で微小脂肪沈着症が起こることが知られていた.

 

それがFIAU療法中止の数週間後になってどのようにして起こったのかよくわからなかったが,すべての患者対して,この問題に対する警告を行った.

 

これは,我々のその後の試験にふりかかる惨事の重大な手懸かりとなった.

 

 

1970年代後半、ニューヨークのMemorial-Sloan Kettering病院に所属していたJack Foxは、一連の天然ヌクレオシド由来のフルオロピリミシン誘導体を合成し、これらが強力かつ特異的な抗ウイルス化合物であることを示した。この時期は、抗ウイルス療法がそれまで学問的にほとんど注目されていなかった分野から急速に脚光を浴びるようになった時代であり、さまざまなウイルス感染症に対して新しい治療法が模索されていた。たとえば、アマンタジンという薬剤はインフルエンザに対して有効であることが示されており、またビダラビンという薬剤は単純ヘルペス脳炎の致死率を低下させ、がん患者における重度の帯状疱疹感染の症状を軽減する効果が確認されつつあった。しかしながら、ビダラビンには神経筋系および血液学的な毒性があり、完全に理想的な薬剤とは言えなかったものの、ウイルス感染に対する治療の進展に希望が見出された時期であった。Foxとその共同研究者は、一連のフルオロピリミシン誘導体の中でも特にfluoroiodoarabino-sylcytosine、通称FIACという化合物が単純ヘルペスおよび水痘ウイルスの複製を効果的に抑制することを発見し、これは特に重度のヘルペスや水痘、帯状疱疹に対して有望な治療法となると期待された。さらに、in vitro(生体外)および動物試験において、FIACはビダラビンよりもかなり強力であることが示唆され、1980年代初頭には、彼らの仮説を検証するために第1相および第2相の臨床試験が開始された。ある比較試験では、FIACが進行がん患者における帯状疱疹に対してビダラビンよりも効果的であることが示されたが、ビダラビンと同様に骨髄毒性があり、さらに心臓や神経、肝臓にも毒性がある可能性が示唆された。

 

その後、FIACは薬剤開発の競争において当初の輝きを失っていった。なぜなら、Burroughs-Wellcome社に所属するGertrude ElionとGeorge Hitchingsの研究グループから、より優れた薬剤が次々と開発されていたからである。ElionとHitchingsは、アロプリノールや6-メルカプトプリンなど、ヌクレオシド化学に基づいた新しい薬剤の合成で名声を得ており、その成果は後にノーベル賞を受賞するほど評価された。彼らが開発した最も重要な発見のひとつが、グアノシンの新規誘導体であるアシクロビルであった。アシクロビルは、抗ウイルス薬治療に革命をもたらし、その後のジドブジン(AZT)や現在のHIV管理の柱となる薬剤開発の戦略確立に大きく貢献した。この薬剤は、ビダラビンよりもはるかに効果的であり、経口投与が可能で、毒性も無視できる程度であったことから、特に重度の単純ヘルペスや帯状疱疹ウイルス感染の治療においてはFIACの役割がなくなることが明らかとなった。

 

1981年、ニューヨーク市では、同性愛者の男性が失明や致命的となり得るサイトメガロウイルス(CMV)の日和見感染を発症する新しい症候群、後にエイズとして知られる病気が発生していた。FIACは、CMVに対して非常に高い活性を持つことが示されており、ビダラビンやアシクロビルはこのウイルスに対して無効であったため、研究者たちはFIACがCMV感染の治療に有効である可能性に期待を寄せた。後にエイズと診断される非常に状態の悪い免疫不全患者に対して、静脈注射によるFIACの臨床試験が行われた結果、この化合物が有効であることが示唆された。

 

その後、FIACはBristol-Myers社にライセンス供与され、さらなる開発が進められたが、最終的に同社はCMVに対して開発を続けないことを決定した。その理由として、同社は他の会社が開発した薬剤、ガンシクロビルがすでに効果的であると証明されていたことや、CMV感染に対する市場規模が小さく、新薬を市場に送り出すために必要な開発費用を正当化できないと判断したからである。このような経緯でFIACの開発は中断されたが、1980年代後半には、サンフランシスコ湾岸地域の小さな会社であるOclassen PharmaceuticalsがFIACおよびその同系統の化合物の開発権を取得し、再び開発が再開された。

 

Oclassen Pharmaceuticalsの顧問チームは、FIACに関するすべての前臨床および臨床データを精査し、特に経口投与による生物学的活性を持つ可能性があることに注目した。そして、カリフォルニア大学サンディエゴ校のDouglas Richmanやワシントン大学のLawrence Corey、さらには筆者自身を含む研究チームが共同で、NIHが助成するAIDS臨床試験グループ(ACTG)とは独立して第1相臨床試験を実施するためのプロトコールを策定した。この試験の目的は、尿中CMVが陽性のHIV患者に対して経口FIACを投与し、その効果を確認することであった。もし経口FIACがガンシクロビルと同等の抗CMV活性を示し、毒性が少ないことが確認されれば、FIACはCMV感染の治療においてガンシクロビルに優れる薬剤となると期待された。

 

しかしながら、低用量のFIACを投与した患者群においても、尿中のCMV排泄に対する明確な効果が示されず、さらに嘔気や疲労感といった副作用が許容できないレベルで現れたことが確認された。そのため、1990年にはFIACがヘルペスウイルス治療において臨床的な役割を果たすことが難しいと結論付けられた。ただし、FIACの誘導体のいくつかは同様の毒性を示さないことが明らかになった。

 

また、FIACは体内で類似の分子であるフルオロヨードアラウラシル(FIAU)に変換され、このFIAUがFIACと同様の抗ウイルス活性を持っていることが確認された。これを受けて、探索的ACTG試験はHIVとCMVの重複感染患者を対象にFIAUの漸増投与を試験するプロトコールに改訂された。初期の13例の患者での試験結果により、1mg/kg/日以上の用量では嘔気を引き起こすものの、抗CMV活性は示されないことが分かり、これによりFIACもFIAUも有効な抗CMV薬とはいえないことが明確となった。

 

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