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研究問題の概要

研究は，研究者が解決したい問題，または研究昔が答えたい疑問のかたちではじまる研究問題の明確化と展開である．

基本的な用語

もっとも一般的には，研究名はトピックまたは焦点となる現象を選ぶ．

研究トピックの例には，思春間の喫煙，患行のコンプライアンス，障壁への対処，疼痛管理がある．

これらの幅広いトピックの領域には，多くの潜在的な研究の問題状況がある．

「化学療法の副作用」というトピックを使ってさまざまな用語を例示しよう．

質的研究的研究者も，関心ある幅広いトピックの領域から研究問題が何かを明らかにする．

研究の目的は，関連する情報を蓄積することにより，問題を「解決する」，またはその解決に寄与することである．

問題の陳述、取り組むべき問題を明瞭にし，研究の必要性を示唆する．

研究設問すなわちリサーチ・クエスチョンは，研究問題に取り組む際に，研究者が答えを出したい特定の疑問である．

研究設問によって，研究で収集すべきデータのタイプが導かれる研究者が，研究設問の答えに関して特定の予測をもつ場合には，経験的に検証するための仮説を立てる．

多くの報告には，研究者が研究の包括的な目標を要約した，目的の陳述（statement）が記載されている。

研究者は，研究を行うことで達成したい特定の成果として．いくつかの研究のねらいまたは目的を明らかにする場合もある．

目的は，研究設問に対する回答を得ること，または研究仮説を検証すること，さらに，いくつかの幅広いねらいにいたること（例：研究結果に基づいて看護実践の変化を提示するなど）もある．

これらの用語は，研究方法の教科書には常に統一した定義がなく，用語間の相違が微妙でとらえにくいことが多い．

研究問題とパラダイム

研究問題には，質的方法と最的方法のいずれかをもちいるほうが，より適切な場合がある。

研究は,通常，かなりよく構成された概念をもちいる．

つまり．その概念については多数の文献が存在し，これまでに信輜できる測定方法が開発されてきている．

たとえば，産後うつ病が．赤ちゃんと一緒に家庭にいる女性よりも，産後６か月で就業した女性に，より高率であるかどうかを明らかにするために，量的研究を採用するとしよう．

産後女性の標本で，就業群と非就業群の抑うつレベルについて量的な情報が得られる，比較的正確な産後うつ病の測定方法がある．

現象のある側面がほとんど理解されておらず，研究者がその現象を，豊かに包括的に，そして文脈に沿って理解したい場合は，質的研究を採用することが多い．

質的研究は，通常，現象についての意識を高め，それについての対話から始まる．

産後うつ病の例では，質的方法は，２群の女性の抑うつレベルの比較には適していないが，たとえば，母親になったばかりの女性における産後うつ病の意味を探求するには理想的であろう．

このように，研究設問の性質は，パラダイムやパラダイムに基づく研究の伝統と密接に関連している．

研究問題の源泉

学生は，研究問題の出所に頭を悩ませることがある．

研究問題のアイデアはどこから手にはいるのだろうか．研究者は，どのようにトピックの領域を選び，研究設問をつくるのだろうか．もっとも基本的なレベルからいうと，研究トピックは研究者の関心から生まれる．

研究は時間がかかる作業なので，トピックへの好奇心や関心がプロジェクトの成功には不可欠である．

研究者の好奇心を刺激する明らかな源泉は，経験，看護文献，社会問題，理論，他者からのアイデアなどである．

経験と臨床のフィールドワーク

ナースの毎日の臨床経験は，研究問題のアイデアの豊かな源泉である．

あなたが看護の仕事をしているとき，ものごとがなぜそうであるのか，または何を変更すればどのようにものごとが改善できるか，ということに興味をもつなら，きっと豊かな研究のアイデアを発見できるだろう．

「なぜこの方法でこのことが行われるのかしら？」とか，「この問題を解決する助けとなる情報は何かしら？」とか，にの状況が起きるとどういう経過になるかしら？」とか，「もし…したら，何が起こるのかしら？」，というような疑問を自分に投げかけたことがあるならば，その人はすでに研究のアイデアを生みだしつつあるといってよい．

とくに研究初心者にとっては，臨床経験（または臨床実習）はトピックを得るためのもっとも注目すべき源泉である．

解決の必要があったり，好奇心を刺激するような身近な問題は，意味があり興味深い．

ゆえに，理論から導かれた抽象的で身近ではない問題よりも，熱心に研究したくなるだろう．

研究前に臨床のフィールドワークを行うこともまた，臨床上の問題をみきわめる助けとなる．

臨床の場での個人的な経験は，研究のアイデアの刺激的な源泉である．以下にどのように進めていくかヒントを示す．

・繰り返し起きる問題を観察し，問題の原因となる状況のパターンが見つかるか考えてみよう．例：CCU（冠疾患集中治療室）からPCU (progressive care unit : 段階別集中治療室）に移された患者の多くは，なぜ疲労を訴えるのだろうか.

・あなたの仕事のなかで，厄介でいらだたしい部分や思ったような結果を生まない部分について考え．その問題を変えられる要因を明らかにしてみよう，例:養護施設での夕食時間は，なぜいらだたしいのだろうか.

・自分の役割を果たすときに下す決定を，批評的に検証してみよう．それらの決定は伝統に基づいているのか，またはそれらの効果を支持する系統的な証拠に基づいているのか．習慣となっている看護実践は変更できることが多い．例：１時間ごとに10分間と決まっている，集中治療室での面会時間を，他の病室と同様の規則的なスケジュールに変えるとどうなるのだろうか，

看護文献

看護文献を読んで，研究プロジェクトのためのアイデアを得ることも多い．

看護研究初心者は，臨床専門誌だけでなく，『Nursing Research』誌，「Western Journal of Nursing Research」誌といった研究誌などの看護専門誌も定期的に読んで，得ることができよう．

研究論文以外の記事も，臨床の場における最新の状況や重要な問題を研究者に教えてくれるだろう．

刊行された研究報告を読むと，想像力が刺激されたり，さらに調査研究が必要な領域が特定されて，問題領域がよくわかるだろう．

さらなる研究を直接に示唆する例

シュトラナーハン〔Stranahan, 2001〕は，ナース・プラクティショナーがスピリチュアルケア(spiritual care)についてもっている態度と，彼らのスピリチュアルケアの実践との関係を研究した．彼女はその報告で．さらなる研究の必要性を以下のように述べている.

「ナース・プラクティショナーがプライマリーケアの場で，スピリチュアルケアを行わない理由を知るためには，いくつかの研究が必要である」.

看護文献に報告された諸々の研究結果に矛盾を見つけることで，研究のアイデアが生まれることがある．

たとえば，早産児に生理学上および行動上，もっとも優れた効果を及ぼす触覚刺激のタイプや触り方（例：やさしいタッチ，なでる，さする）については，研究結果が一致しない．

このような矛盾が，問題を解決するような研究デザインを引き出す．

研究者は，雑誌記事に掲載された報告と同様の研究を,違う環境や違う母集団で行った場合に,同等の結果を生むだろうかと疑問に思うだろう．

反復は，先行研究の結果の妥当性と一般化可能性を確立するために必要である．

まとめると，これまでの研究や，現在はまだ系統的に理解されず調査研究されてもいない，未解決で論議の余地の大きい看護の論点に目を向けることは，研究トピックを開発するうえで重要な道筋である．

積極的に研究する問題を探している学生にとっては，関心ある領域の論文を幅広く読むことがもっとも有用であろう．

研究問題の概要として、研究は研究者が解決したい問題や答えたい疑問から始まり、それを明確化し展開することが基本である。研究は単なる情報収集のプロセスではなく、問題を「解決する」またはその解決に寄与するためのものであり、そのためには研究問題の正確な定義が必要である。研究問題は研究者の関心や好奇心に基づき、トピックは喫煙や疼痛管理、コンプライアンスの遵守といった広範なテーマから選ばれることが多い。研究トピックが選ばれると、次に研究設問が構築される。研究設問とは、研究者が研究を通して答えを出したい特定の疑問のことであり、これが研究において収集すべきデータのタイプを決定する役割を果たす。研究設問が定まると、次に仮説が立てられることがあり、これは研究者が研究設問に対して持っている特定の予測を示すものである。仮説は経験的に検証可能な形式で設定され、データを通じて証明されるか反証されるかの結果を待つ。このようにして研究の包括的な目標が定められ、目的の陳述として研究報告に記載されることが多い。研究者は、この目的陳述をもとに、研究を通じて達成したい特定の成果や研究の狙いを明らかにする。例えば、研究設問に対する回答を得ることや、研究仮説を検証すること、またはそれによってさらに広範な目的を達成することが目的として設定される。これには、研究結果に基づいて実際の看護実践を変化させる提案を行うといったものも含まれる。このように、研究は単なるデータ収集や問題解決にとどまらず、学問分野全体に貢献するための重要な手段であり、そのためには研究の方法やアプローチが適切に選ばれる必要がある。

研究においては、質的研究と量的研究という二つの主要なアプローチがあり、それぞれのアプローチは研究設問の性質や目的に応じて選ばれる。例えば、量的研究は数値データを用いて測定可能な現象を調査するのに適しており、質的研究は数値では表現できないような現象の深い理解を目指すものである。量的研究では、例えば「産後うつ病が産後6か月で仕事に復帰した女性に多いかどうか」といった問題に対して、正確なデータ収集が可能である。既に確立された測定方法を使って、就業群と非就業群の間で抑うつレベルを比較することで、科学的な根拠に基づいた結論を導くことができる。一方、質的研究は現象のある側面がほとんど理解されていない場合や、研究者がその現象をより豊かに、そして包括的に理解したい場合に適している。産後うつ病を例に挙げると、質的研究では「母親になったばかりの女性における産後うつ病の意味」を探求することが理想的なアプローチとなる。これは単に数値的なデータを集めるのではなく、女性たちがどのように産後うつ病を経験しているか、彼女たちの心の動きや生活の文脈の中でどのように理解されるかを深く掘り下げていく方法である。つまり、研究設問の性質に応じて、適切なパラダイムや研究方法が選択される必要がある。

研究問題の出発点として、研究者はその問題の出所に頭を悩ませることがよくある。研究問題のアイデアはどこから来るのか、どのようにして研究トピックが選ばれ、研究設問が形成されるのか、これは研究者にとって重要な課題である。最も基本的なレベルでは、研究トピックは研究者自身の関心や好奇心から生まれることが多い。研究は時間がかかる作業であり、研究トピックに対する強い興味や熱意がプロジェクトの成功に不可欠である。研究者の好奇心を刺激するものとしては、日々の経験や看護文献、社会問題、理論、他者からのアイデアなどが挙げられる。特に看護分野では、ナースの臨床経験が豊富な研究アイデアの源泉となり得る。看護の仕事をしている際に、「なぜこの方法が採用されているのか？」や「この問題を解決するにはどのような情報が必要か？」といった疑問が自然と湧き上がることがあり、これが研究の出発点となることが多い。また、繰り返し起きる問題を観察し、その問題の背後にある原因を探ることも重要である。例えば、CCU（冠疾患集中治療室）からPCU（段階別集中治療室）に移された患者が疲労を訴える理由を探る研究が考えられる。また、看護の実践の中で厄介でイライラする部分や、期待通りの結果が得られない部分を改善するための要因を明らかにすることも、研究の出発点となる。例として、養護施設における夕食時間がなぜ不満の原因となるのか、その理由を探る研究が挙げられる。

さらに、看護文献を読むことで研究トピックのアイデアを得ることもよくある。看護研究の初心者は、臨床専門誌だけでなく、研究誌も定期的に読むことが推奨される。文献を読むことで、現在の研究の進展や新たな問題点が見えてくることがある。特に、看護研究の報告を読むと、その結果からさらなる調査が必要な分野が特定され、次の研究につながるヒントを得ることができる。例えば、シュトラナーハン（Stranahan, 2001）の研究では、ナース・プラクティショナーがスピリチュアルケアを行わない理由を探るさらなる研究が必要であると指摘されており、このような報告が次の研究課題を示唆することがある。また、文献の中で矛盾する研究結果を発見することも、研究のアイデアを生み出す重要な手がかりとなる。例えば、早産児に対してどのようなタッチが最も良い効果をもたらすのか、研究結果が一致しない場合、その矛盾を解消するための新たな研究が必要となる。このように、既存の研究結果をもとにしたさらなる調査や、新しい方法での反復研究は、研究の進展にとって非常に重要である。

研究を進める上で、特に初心者の研究者にとって重要なのは、臨床経験やフィールドワークを行うことである。臨床の場での経験は、研究のアイデアを刺激する豊かな源泉となり得る。例えば、繰り返し起こる問題を観察し、その問題がどのように発生しているのかを深く考察することで、研究のアイデアを得ることができる。さらに、自分の役割を果たす際に下す決定を批評的に検証し、その決定が伝統に基づいているのか、あるいは科学的な根拠に基づいているのかを確認することも重要である。看護の実践においては、長年の習慣となっている行動が、必ずしも最良の方法とは限らず、改善の余地がある場合も多い。そのため、既存の実践を批判的に見直し、変更することで得られる成果を予測することも研究の一環となる。