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最悪の事態

まず，臨床治療試験を選択する患者は，時には極めて症状が重く．末期と診断されている場合もある．

重篤な疾患に罹患したことがない個人にとって，患者の立場に立つことは容易ではないが，理解しようと努力することは大切である．

進行性疾患(advanced illness)と診断された後，しばらくの間はものごとの考え方．活動，情報の吸収力だけでなく，家族関係，職場，社会生活といった生活全般における対処能力に対して大きなネガティブな影響を与える．

日常の自身を支えていた健康，家族，仕事，友人関係を崩壊するようなことを敢えてするようになる．

深い，全面的な喪失感を経験し．悲嘆にくれる．臨床試験に参加しようとする患者の中には，治療によって楽になれると期待する一方で,診断について「悲嘆」を感じ続けている場合がある．

悪い診断がもたらす恐ろしい喪失感は，かつての生活は永遠に終わってしまい,健康が失われてしまったという感覚が伴っており，将来への希望はほとんど残されていないと感じることになる．

悲嘆がもたらすこの負担を過小評価したり，見過ごしたりしてはならない．

試験期間中も患者がこうした思いを引きずっている場合があるからである．

あなたの前にいる患者は，進行性疾患が判明する前の彼らと，全く違う個人なのである．

このような問題にどのように対処し，時間の経過の中でどのように乗り越えてゆけるのかということは，各人の個性，その他の要因に関わることであるが，被験者の治療に当たる医療者は，このような事態やそのような事態を引き起こしている原因について，よく理解しておくべきである．

臨床治療試験に参加する患者の多くは、重篤な症状を抱えており、場合によってはすでに末期と診断されていることもあります。こうした重篤な疾患に罹患した経験がない人々にとって、患者が置かれている状況やその心情に共感することは容易ではありませんが、患者の視点に立って理解しようとする姿勢が医療者には不可欠です。進行性疾患の診断を受けた患者は、それまでの生活様式や日常的な活動、さらには職場や社会生活における役割を保つことが難しくなり、こうした変化が患者の生活全般に大きなネガティブな影響を与えます。健康であることが当然であった日常が崩れ、家族や友人、仕事を含む人間関係が急激に変化することで、患者は深い孤立感や喪失感を抱くようになります。このような診断を受けると、多くの患者が悲嘆に暮れ、かつて築き上げてきた人生が終わりを告げたかのような感覚を味わいます。特に、日々の支えであった健康が失われることによる恐怖や絶望感は計り知れないものであり、患者にとってはかつての自分がもう二度と戻ってこないと感じることが少なくありません。医療者や周囲の人々は、患者がこうした思いを抱えながら試験に参加していることを忘れず、その悲しみを軽んじることなく向き合うことが重要です。臨床試験に参加する患者の中には、新しい治療が少しでも症状の軽減に寄与することを期待している人もいますが、それと同時に、進行性疾患と診断されたことへの悲嘆や絶望も心の中に根深く存在しており、矛盾した感情の中で試験に臨んでいるのです。このような状態では、未来に対する希望がほとんど見いだせず、生活の先行きが不透明であると感じることも少なくありません。医療者としては、こうした患者の喪失感や悲嘆がもたらす負担を過小評価せず、常に患者の心情に寄り添う姿勢が必要です。進行性疾患の診断は患者にとって人生の転機であり、彼らの全生活に及ぶ影響をもたらします。診断を受けた患者は、日々の活動に対する意欲を失い、物事への興味や集中力が減退することが多く見られます。仕事や家庭内での役割を果たすことが困難になり、それが家族や職場での関係性にも悪影響を及ぼすことがあるため、患者はさらなる孤独感を味わうことになります。医療者は、患者がこうした苦しい状況に置かれていることを理解し、感情面での支援も考慮した治療計画を立てることが求められます。また、患者が日常生活においてどのように病気と向き合い、前向きに生きていけるかという点についても適切な支援が必要です。重篤な疾患の進行は不可逆的であり、患者が将来に対して抱く希望は次第に薄れていきます。これにより、患者は人生そのものへの意欲を失い、自分がかつてどのような人物であったか、どのような人生を送ってきたかという記憶が色あせていくような感覚に陥ることがあるのです。かつて築き上げてきた人間関係や社会的地位、仕事への誇りといったものも、次第に失われていくことから、患者はさらなる孤独感や絶望感を感じるようになります。これらの心理的変化は、患者の精神的健康にも大きな影響を与え、時には鬱病や不安障害といった症状を引き起こすこともあります。医療者としては、患者がこうした心の負担を抱えていることを見過ごさず、必要に応じて心理的なケアを提供する体制を整えることが重要です。また、患者の家族や親しい人々にも、患者が抱える悲嘆とどう向き合っていくかについて支援を提供することが求められます。患者が進行性疾患と共に生きていくことは、単に治療を受けるだけではなく、患者自身が人生の新たな段階を受け入れ、自己の再構築を図る過程でもあります。この過程では、患者が自分自身の価値観を見直し、新たな目標や生きがいを見つけ出すことが必要です。しかし、進行性疾患の影響により、患者はこれまで自分が成し遂げてきたことや未来に対する希望が薄れ、自己の存在意義を見失うことが少なくありません。医療者は、患者が自分自身を新たに定義し直す過程を支援する役割も担っています。