疫学における観察研究の重要性とその多様な手法【ChatGPT統計解析】
観察研究は疫学で重要な手法であり、特定集団における特性や疾患の関連を分析するために広く用いられます。疫学では健康や疾病はランダムではないと考え、遺伝や環境などの特性が影響を与えると仮定します。観察研究は実験的でなく、被験者や環境に影響を与えずにデータを収集します。観察研究は縦断的・横断的、前向き・後ろ向きに分類でき、症例報告やコホート研究などが代表例です。観察研究は因果関係を証明できないため、交絡が起こりやすく、複数の要因が結果に影響する可能性があります。
▼▼▼▼▼▼▼▼
チャンネル登録はこちら
生物統計学と疫学
観察研究のデザイン
観察研究(observational study)は,疫学において欠かせないものであり,専門的な学術雑誌に掲載された研究論文の多くをしめる.
植物,動物,ヒトに限らず,どんな特定の集団を研究するのにも,疫学を用いることができる.
疫学の大前提は,健康,疾病,疾患はランダムに起きるものではないということである.
そのため,我々を守るような特性,または,我々に害や様々な疾病などを起こしやすくするような特性が存在すると仮定する.
それらの特性は,遺伝的なものであるかもしれないし,環境の影響や数多くの他の要因かもしれない.
我々は,これらの特性をすべて変えることができるかもしれないし,部分的に,または,全く変えることができないかもしれない.
観察研究では特性やイベントの分布の評価や,ある特性と健康上のアウトカムとの間の潜在的な関連性の探索を目的とすることが多い.
医学や疫学で用いられる一般的な試験デザインは,3つの主要な基準によって分類することができる.
第一に,研究は,実験的にも観察的にもなり得る.実験的研究(experimental study)では.研究者は意図的にイベントの進行に影響を与え,慎重に選択された被験者集団における介入や治療の効果を調べる.
ヒトで実施される実験的研究は,臨床試験(clinical trial)または臨床研究(clinical study)と呼ばれている.
観察研究(observational study)では,研究者は被験者やそれを取り巻く環境に影響を与えようとはしない.
観察研究の目的は,被験者.環境,疾患の経過に影響を与えずに,興味のある特性のデータを観察,収集することである.
第二に,研究は,縦断的にも横断的にもなり得る.
縦断的研究(longitudinal study)において,研究者は,イベント,介入,治療に関連している可能性のある変化を経時的に調べる.
横断的研究(cross-sectional study)では.研究者は.ある一時点における被験者を観察する.
縦断的研究は映画のようなものであり,横断的研究は写真のようなものである.
第三に,研究は前向き(prospective)にも後ろ向き(retrospective)にもなり得る.
前向き研究では,研究者は,研究開始時点から前向きにデータを集めるが.後ろ向き研究では,カルテのように現存する情報源やインタビューから,過去のイベントに関するデータの収集を試みる.
実験と臨床試験は,まさにその性質上,前向きであるが,観察研究は前向きではない場合もある,ということは留意すべきである.
観察研究は,主に個人や集団の特性を明らかにするような研究と.特性と疾患アウトカムとの関連性についての疑問に答えるための研究に分けることができる.
生態学的研究(ecological study)は.個人ではなく集団の特性を評価し,各集団の特性の関連性を比較する.
生態学的研究の例としては,様々な国における.タバコの総消費量と肺がんによる死亡率との関係を観察している研究がある.
症例報告(case report)や症例集積研究(case series study)は,特定の臨床的事象について記述するものであり,個人レベルの研究デザインとしては,最も単純なものである.これより少し複雑なものが,有病率調査(prevalence survey)または横断的調査(cross-sectional survey)であり,定義した被験者集団における有病率の推定値が得られる.
横断研究は,研究のある時点での集団を記述するのに優れた方法であり,これらの研究で収集されることが多い多様で広範囲にわたる変数間や,情報間の関係について調べる場合に重要な役割を果たす.
特性と病理学的なアウトカムを関連付けることへの疑問に答えるために.2つの一般的な観察的アプローチが用いられる.
ケースコントロール研究(case-control study)では,潜在的な病的因子を特定するために,ある特定の疾患や健康状態を有する群とそれらを有しない対照群とを比較する.
ケースコントロール研究は,疾患の有無を明らかにすることから始め,そして,疾患を有する群と有しない群において潜在的な危険因子を調べる.
これは.コホート研究と対比することができる.
前向きで縦断的なコホート研究(longitudinal cohort study)は,本質的に横断研究であるベースライン評価から始める.
ベースラインは,縦断的なデータが得られる前に.横断的な関連を調べるのによく用いられる.
場合によっては前向きコホート研究は,危険因子の状況を明らかにすることから始め,そして,危険因子を有するものと有しないものにおける疾患アウトカムを時間をかけて確認する.
科学的観点からすると,観察研究は,単に危険因子と反応の関連性(association)を示すことができるだけであるが,実験的研究と臨床試験は,治療と反応との因果関係(causation)を証明することができる.
実験的研究では,変化を加えようとしている実験条件を除き,本質的に同一である2つのグループを作ることができるからである.
観察研究では,そのような注意深くコントロールされた条件のない,一般的に自由な生活を送っている人が被験者である.
観察研究では弱い関連性しか示すことができないということは.交絡(confounding)が起こりやすいということを反映している.
2つ以上の変数が.研究者にとって既知であるか未知であるかにかかわらず,共通の応答変数やアウトカムに与える影響が,混ざり合っている場合に交絡が起きる.
例えば,よく運動をする人は健康に良い食事をとる傾向もあるため.心疾患に関して,脂肪の摂取をより減らすことによる便益(benefit)と,運動をより多くすることによる便益を分離することは,観察研究においては困難であろう.
STROBE (Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology)は,よく知られているCONSORTガイドラインに類似したガイドラインであり,観察研究の報告の質の改善が提言されている(http://www.strobe-statement.org/).
そのようなガイドラインは,試験デザインを決めることを意図したものではないが,研究開始前に原稿の概要をまとめることは,計画した試験デザインが,答えるべき問題,データ,結果に関して,疑う余地のない説明をもたらすことを保証するのに役立つであろう.
観察研究には,歴史的に重要な現在進行中の研究.仮想上の研究がある.
公表された研究を評価する際に,どんな研究デザインが用いられているのかを正確に理解することが難しい場合があるので,様々な研究デザインの具体例を手元に置いておくことは,新たに直面した研究を理解し,批判的に評価する手助けになるであろう.
観察研究は疫学において非常に重要な役割を果たしており、病気や健康に関する特定の集団の特徴やそれに関連する要因を分析するための基本的な手法です。疫学の考え方は、健康や疾病がランダムに発生するものではなく、特定の遺伝的要因や環境要因、さらには行動的要因によって影響を受けると仮定しています。この考えに基づき、疫学者たちは観察研究を通じて、集団におけるさまざまなリスクファクターと健康アウトカムとの関連を調べることができます。観察研究のデザインは、実験的研究とは異なり、研究者が被験者に介入したり、環境に変化を加えたりすることなく、自然のままの状態でデータを収集する点が特徴です。観察研究では、データの収集や分析を通じて、ある特性が健康や疾病に与える影響を間接的に把握しようとするものであり、その結果は臨床試験や実験研究と比較して因果関係を確立するのには限界があります。しかし、観察研究の重要性はその限界を超えており、特に疫学分野においては病因の解明や疾病予防のための基礎データを提供するために欠かせないものです。
観察研究の主な種類には、横断研究、縦断研究、ケースコントロール研究、コホート研究などがあります。横断研究は、ある一時点での集団の状態を観察し、疾病の有病率や特性の分布などを明らかにする方法です。このデザインは、瞬間的な「写真」を撮るように、ある時点での状態を把握することに優れており、病気のリスク要因や予防策を迅速に評価するために用いられます。一方、縦断研究は時間の経過とともに変化を追跡するデザインであり、特定の集団における疾病や特性の変動を長期的に観察することで、健康や疾病の進行を理解するために役立ちます。これは映画のように、経時的な変化を捉える点で有益であり、疾病の自然経過や治療の効果を長期的に評価する際に特に重要です。
また、観察研究には前向き研究と後ろ向き研究があります。前向き研究では、研究開始時点から将来に向けてデータを収集し、特性や行動が健康アウトカムにどのような影響を及ぼすかを評価します。この方法は、将来のイベントを予測するために役立ちますが、長期間にわたりデータ収集が必要なため、多くのリソースが必要です。一方、後ろ向き研究では、既存のデータや記録、例えばカルテやインタビュー記録などを利用して、過去のイベントや状況について調査します。これは過去のデータに依存するため、リソースが比較的少なくても実施可能であり、短期間で結果が得られるという利点がありますが、データの信頼性や質に依存することが課題となります。前向き研究と後ろ向き研究の使い分けは、研究の目的や対象集団の特性に応じて適切に選択されます。
ケースコントロール研究は、特定の疾病を持つ群と持たない対照群を比較することで、疾病の原因やリスクファクターを明らかにしようとするデザインです。この方法では、まず疾患の有無を基準に群を分け、リスクファクターの有無やその頻度を比較することにより、特定の要因が疾病に関連している可能性を検証します。ケースコントロール研究は、疾患のリスク要因の特定に有効であり、特に発症が稀な疾患の調査において、迅速かつ効率的にデータを得るために利用されます。この手法では、リスク因子と疾病との関連性を示すことが可能ですが、交絡やバイアスが生じやすいという点に注意が必要です。例えば、リコールバイアス(記憶の偏り)や選択バイアス(対象者の選択に偏りがある)などが発生する可能性があり、結果の解釈には慎重さが求められます。
これに対し、コホート研究は特定の集団(コホート)を追跡し、時間の経過とともに健康アウトカムを観察することで、リスク要因と疾病の関連性を評価する方法です。コホート研究は、特性を持つ集団と持たない集団の間での疾病発生率を比較し、その後の健康状態を追跡することで因果関係を推定します。コホート研究は前向きで縦断的なデザインで行われることが多く、長期間にわたり観察が続けられるため、信頼性の高いデータが得られます。この方法は、特定の要因が将来の疾病発生にどのように影響するかを直接評価できるため、予防医学や公衆衛生の分野での研究において非常に有用です。しかし、コホート研究もまたリソースが多く必要であり、長期的なフォローアップが難しい場合や、対象者の脱落が生じやすいという問題も抱えています。
観察研究と実験研究の最大の違いは、因果関係の確立にあります。観察研究では、リスク因子と疾病や健康状態との「関連性(アソシエーション)」を示すことができますが、因果関係を確定することはできません。一方、実験研究や臨床試験では、意図的に条件を操作することで因果関係を明らかにすることが可能です。例えば、治療の効果を測定する際には、ランダムに選ばれた対象者を治療群と対照群に分け、他の要因を可能な限り統制することで、治療とアウトカムとの因果関係を示すことができます。観察研究における交絡とは、複数の変数が共通のアウトカムに影響を与える状況のことを指します。例えば、心疾患の研究において、運動習慣と脂肪摂取量がどのように関与するかを評価する場合、これらの要因が相互に関連していることがあり、それによって交絡が生じる可能性があります。このため、観察研究では厳密な統計的手法を用いて交絡をコントロールすることが重要です。
観察研究の報告や質の改善には、STROBEガイドラインが推奨されています。STROBE(Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology)は、観察研究の結果をより一貫性のある、明確な形で報告するためのガイドラインです。このガイドラインは、報告の質を向上させるだけでなく、研究計画段階での設計の妥当性を検討する助けとなります。観察研究の設計や実施に際しては、STROBEガイドラインに沿って進めることで、結果の再現性や信頼性を確保しやすくなります。これは特に、後に他の研究者が研究結果を利用したり、さらなる研究に発展させたりする際に重要です。
観察研究には、生態学的研究や症例報告、症例集積研究なども含まれます。
関連記事