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積極的な患者：科学研究の同盟者

いくつかの理由で，私は，積極的な自己主張のある患者は，臨床試験にとっての１つの強み(advantage)であると思っている．

・積極的な患者は，治療の詳細，症状，副作用，その他を監視（モニタリング）する可能性が高く，適時報告してくれることに加えて，プロトコールを遵守し，自己管理ができる．もちろんこれは，患者が意図的に，治療が成功するために自身を最適化していることを意味している.

・積極的な患者は，そうでない患者に比べて受ける治療に満足する傾向にある.そして最近の研究は,「患者の活性化」が治療を受ける患者満足度(patient satisfaction)のを主要な決定要因であることを示した．活性化は，患者の疑問として，彼らの心の中にあるものについてディスカッションし，重要な議題について話し合う強さ，と定義される．

臨床試験を始める前に，患者の積極性を高めることは可能である．以下の方法が役に立つ．

・患者と介護者は臨床試験スタッフに対していつでも心を閧いて，正直に，直接的であってくれることを勧める．彼らの意見や情報は歓迎され，単に容認されるのではないことを理解してくれたか確認する.

・慌ただしく，または急いで話すよりも，患者との有意義な会話に時間を割り当てる．

・患者を見下したような話し方ではなく，敬意をもって話しをする．伝えた情報が理にかなっていると理解されていることを，もし少しでも危ぶまれる場合には確認する．患者の中には，きちんと理解していないにもかかわらず,話の腰を折りたくないために，「はい」とか「ええ」と言う人がいる．話の途中でも，わからないことがあったら聞いても良いことを患者に伝える.

・患者の介護者に対して歓迎の意を表する.介護者は，患者の満足のいく状態や治療にとって，多くの場合不可欠である．医療のパートナーとして敬意を払うことは，患者が臨床試験スタッフに対して取る態度にも影響を及ぼす.

・患者にメモや録音で記録するように勧める．患者が新しい情報をたくさん覚えなければならないときに特に必要になる．また，臨床試験が終わり，必要とする情報を補強する際に．これらは患者にとって極めて役に立つ.

・病院の有効な医療サービスを十分活用できるように支援する．範囲は，病院によって異なるが，大多数の治験施設が，精神的なカウンセリング，ソーシャルワーク・サービス，栄養的なアドバイスと支援，その他を提供することができる．このような支援を活用するように勧めることによって，臨床試験スタップは単に疾患についてだけでなく．患者の全人格に対して関心を持っていると理解してもらうことができる.

・患者が疾患またはその状態に特化した信頼できる擁護団体を知っているか確認する．治療期間中ではないにしても，治療後に関心を示す患者は多くいる.

・定期的に，患者が受けている医療の質についてどう感じているか，試験経験が彼らにどのようなことをもたらしているかについて尋ねる．臨床試験スタッフが（患者の）経験をできるだけ効果的に，かつ支援できるようにするために，患者の率直な意見を歓迎していることを理解しているか確認する.

・患者の個々の人間としての側面に対応する.例えば，誕生日その他の特別な日を祝うために，化学療法治療を数日遅らせるようなことも考えてみる．厳格な治療管理は重要であるが，人としての思いやりや状況を理解することの大切さは説明不要であろう.

・患者諮問委員会を設立することを検討する．研究施設や病院が多くの臨床試験を実施している場合には. NIHクリニカルセンターが実施しているような患者諮問委員会を設世することが有益である．この委員会では，臨床試験で機能している点や改善点について定期的にスタッフに提案・助言を行う．

患者の立場

「どのように正しい仕事を実行するのが良いかを知りたければ，（それを）実行される側の人に尋ねよ」と古くから言われている．

臨床試験プロセスについて患者の立場から説明してきたことには，そのような意味があると思っている．

患者の立場から見た，大きな科学的研究機関が提供する臨床試験のプロセスが，より多くの人に心がこもったもので，試験に参加する患者に対する医療の質を高める考え方や手法であるかを伝えることが大切である．

積極的な患者は臨床試験において非常に重要な役割を果たしており、その参加は単に治療を受ける側にとどまらず、研究者や医療チームと協力することで、臨床試験の質と効率を高めることができます。治療詳細の監視やプロトコール遵守、自己管理が可能であるため、積極的な患者は試験の成功に大きく寄与するだけでなく、試験結果の信頼性や再現性を向上させる要因にもなります。積極的に治療に関わる患者は、症状や副作用の変化を迅速に医療スタッフに伝えることが多く、その情報をもとに試験のデータの精度や有用性が高まります。また、試験中に患者自身が持つ懸念や疑問を解消しようとする姿勢も、研究者にとっては有益です。患者が積極的に自己管理することで、治療の効果や副作用が記録されやすくなり、長期にわたる臨床試験ではこうした情報が極めて貴重なものとなります。また、積極性のある患者は治療に対する満足度が高い傾向にあり、試験に対しても前向きな姿勢を示すことが多いため、試験のプロトコールに従い、治療を中断することなく継続する可能性も高くなります。さらに、最近の研究によれば、「患者の活性化」は、治療を受ける患者の満足度の主要な決定要因であることが明らかになっています。活性化とは、患者が自身の健康や治療について積極的に関心を持ち、疑問を共有し議論することで、自己の健康状態や治療方針に対する理解を深めようとする姿勢を指します。この姿勢により、患者と医療チームの間に良好な関係が築かれ、患者は安心感を持ちながら治療に臨むことができます。試験スタッフが患者と率直な対話を心掛け、患者の意見や情報を歓迎し、単に容認するだけでなく積極的にフィードバックを受け入れることで、患者は自分の意見が尊重されていると感じ、より積極的に試験に協力しようとするでしょう。こうした態度は試験におけるデータ収集や治療効果の検証にとって非常に重要であり、患者が試験に対して強いコミットメントを持つことで、研究結果がより信頼性のあるものとなります。医療スタッフにとっても、患者からのフィードバックは試験の改善点を見つけるための貴重な情報源であり、患者のリアルな声を受け止めることは今後の臨床試験設計にも役立つと言えるでしょう。また、試験中は慌ただしい説明や急いでの会話を避け、患者との有意義なコミュニケーションに時間を割くことが大切です。治療に関わる情報が明確に理解されていない場合、患者は疑問や不安を抱えながら治療を受けることになり、治療効果に悪影響が出る可能性もあるため、患者が試験や治療内容を理解しやすいよう、丁寧な説明が求められます。また、患者にメモや録音を利用して記録するよう勧めることで、必要な情報を把握しやすくなり、後から確認する際にも役立ちます。特に、治療が進む中で新しい情報が追加された場合や、試験が長期にわたる場合には、こうした記録が患者にとって重要なサポートとなります。さらに、患者の家族や介護者も臨床試験における重要なパートナーであるため、彼らに対しても敬意を持って接し、患者と同様に情報を提供することが求められます。家族や介護者が患者を支えることで、患者の試験への参加が安定し、治療へのモチベーションも高まります。また、患者にとって治療期間中や治療後に役立つ支援サービスがある場合、それを十分に活用できるよう支援することも重要です。試験施設によって提供されるサービスは異なるものの、多くの治験施設は精神的なカウンセリングや栄養指導など、患者が治療に専念できる環境を提供することができます。こうした支援を活用することで、患者は身体だけでなく精神面でもサポートを受けられ、安心して試験に参加することが可能となります。さらに、試験中は患者の意見を定期的に聞き入れ、彼らの体験や治療に対する感想を把握することが望まれます。患者が治療や試験に対してどのように感じているかを定期的に確認することで、試験スタッフは患者の満足度や不安の程度を把握でき、必要に応じて適切な対応をとることができます。患者のフィードバックを受け入れることで、試験はより患者中心のものとなり、彼らが安心して参加できる環境が整備されるでしょう。例えば、患者の誕生日や特別な日を祝うなど、患者の人間的な側面に配慮することで、試験が単なる医学的なプロセスではなく、患者に対する思いやりを持ったものとして進行していることが伝わります。こうした配慮は患者の士気を高め、試験に対する意欲も向上します。さらに、患者諮問委員会の設立を検討することも推奨されます。研究施設や病院が多くの臨床試験を実施している場合には、患者諮問委員会を設立することで、臨床試験の機能や改善点について患者視点からの提案を受けることができ、試験運営に役立つ情報を得られます。米国NIHクリニカルセンターなどでは既に患者諮問委員会を導入しており、定期的にスタッフに助言を行うことで、試験の質の向上に寄与しています。さらに、「どのように正しい仕事を実行するのが良いかを知りたければ、それを実行される側の人に尋ねよ」という言葉が示す通り、患者からのフィードバックは非常に貴重なものです。患者の立場から見た意見を受け入れることで、試験はより実効性のあるものとなり、参加する患者に対する医療の質も向上します。臨床試験プロセスについて患者の立場から説明し、彼らが感じる改善点を取り入れることは、試験に参加する患者にとっても有益であり、試験がより多くの人に心のこもったものであることが理解されるようになります。