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反復研究

反復研究(replication study)は，もとの研究で得られた結果が，別の独立した研究でも繰り返せるかどうかを判断する直接的な試みである．

反復は，実験/準実験研究と非実験研究の双方に適している．

強いエビデンスに基づいた実践は，反復を必要とする．

実践は，単一の独立した研究を基盤に変更してはならず，エビデンスの蓄積に基づかなければならない．

「比較するのに十分に近い(close-enough-to-compare)」一連の研究をとおしてエビデンスは積み重ねられるが，慎重な反復は，研究結果の信頼性を確立し，一般化可能性を拡大するのに，とくに有利である．

しかし，看護文献に掲載された反復研究は，比較的少ない．

おそらく研究者と編集者（そしておそらく研究資金提供者も）の双方の，オリジナルの研究への偏りを反映しているのであろう。

ペック〔Beck, 1994〕が検討したように，反復の方略を分類するいくつかの試みがある．

方略の１つは，同一反復(identical replication) (または文字通りの反復）であり，もとの方法（例：標本抽出，測定，分析）を正確に反復する．

もとの研究者による継続研究以外には，このような正確な反復はまれである．

さらに多くみられるものは，模擬的反復(virtual replication)〔または操作的〔operational)反復〕で，関連研究でもちいた方法にできるだけ近づけようとする試みであるが，正確な反復は求めない．

第３の方略は，系統的拡張反復(systematic extension replication)〔または構成的(constructive)反復〕であり，これは，方法は反復しないが，もとの研究の内容を検証しようとする入念な試みである．

既存の研究の上に成り立つ多くの看護研究は，拡張反復として説明できる．

しかし，通常はこのように分類されず，系統的拡張として概念化しなくてもよい．

ベック〔Beck, 1994〕は, 1983年から1992年までの看護文献を分析したが，反復の例はわずかであった．

その例のなかでも，その研究がどのようにもとの研究を反復したかについては，かなりあいまいであった．

ベックは，より多くの反復研究の必要性を指摘するに加えて，いくつか重要な勧告をしている．

・反復研究に関する報告では，何がどのように反復されたかについて，とくに詳しく述べたほうがよい．

また，反復がもとの研究とどのように類似していたか，または異なっていたかを明らかにしたほうがよい.

・とくになんらかの欠陥ゆえに変更されている場合，反復されたもとの研究を十全に批評する必要がある.

・比較基準，つまり，もとの研究の結果と反復した研究の結果の比較が重要である．

比較は，研究結果の内的妥当性および外的妥当性の双方について，結論を備えるのがよい．

多くの看護研究者は，さらに入念な反復研究を求めている．

エビデンスに基づいた実践が求められるにつれて，重要な科学的な努力として，反復研究の正当性が強まるだろう．

反復研究の例

ガフニー，バーンーマグリオ．マイヤーズ，カラー〔Gaffney, Barndt-Maglio, Myers, & Kollar, 2002〕は，３段階の縦断的研究を行って，母親が子ども時代に受けたしつけ体験と，自分の子どもに施すしつけの意図との関係について研究した.

1996年に行われたもとの研究を反復し，意図と同じように，母親の行動も検証し，研究を拡張した．

反復研究（replication study）は、元の研究で得られた結果が、異なる独立した研究でも再現されるかを確認するための直接的な試みであり、実験研究や準実験研究のみならず、非実験研究にも適用できる。エビデンスに基づいた実践を行うためには、反復研究が非常に重要であるとされる。なぜなら、実践は一つの研究の結果だけを基にして変更されるべきではなく、多くの研究によって蓄積されたエビデンスに基づくべきだからである。複数の研究が示す「比較するのに十分に近い」（close-enough-to-compare）一連の証拠が積み重ねられることで、科学的知識が確かなものとなる。反復は慎重に行うことで研究結果の信頼性を確立するだけでなく、その結果を異なる状況にも適用できる可能性、つまり一般化可能性を広げることにも寄与する。しかし、看護学分野において反復研究は十分に行われていないのが現状である。これは、おそらく研究者や編集者、さらには資金提供者までもがオリジナルの研究に対して強い関心を抱いているため、反復研究が軽視されていることが背景にあると考えられる。ベック（Beck, 1994）は反復の重要性を指摘し、反復研究の方法に関するいくつかの分類を提案している。反復研究には主に三つの方略がある。まず「同一反復（identical replication）」または「文字通りの反復」と呼ばれる方法で、これは元の研究で用いられた標本抽出、測定方法、分析手法などを可能な限り忠実に再現するものである。一般にこのような正確な反復は、元の研究を行った研究者自身が引き続き研究する場合に限られることが多く、第三者が独自にこの方法を実施することは非常にまれである。第二の方略は「模擬的反復（virtual replication）」または「操作的反復（operational replication）」と呼ばれるもので、元の研究で使用された方法や条件にできるだけ近づけるよう努力するが、必ずしもすべての要素を同一にすることは求めない。このような反復は、元の研究の一般性を検証する際や、新たなサンプルを用いた場合の結果の一致を確認する際に役立つ。一方、第三の方略である「系統的拡張反復（systematic extension replication）」または「構成的反復（constructive replication）」では、元の方法を再現するのではなく、元の研究の内容や結論を別の方法で検証しようとするものである。この方法は、元の研究に関連する理論や仮説を異なる手法や文脈で検証するための入念な試みとして行われることが多い。実際、看護分野で行われる多くの反復研究は、この「系統的拡張反復」として説明できるが、必ずしも明確に分類されているわけではない。ベック（Beck, 1994）が行った1983年から1992年の看護文献分析によれば、反復研究の例は非常に少なく、さらにその内容についても曖昧であることが指摘された。この分析に基づき、ベックは反復研究において何がどのように反復されたのかを明確に記述する必要があること、元の研究と反復した研究の間にどのような類似点や相違点が存在するのかを詳述するべきであることを提案している。特に元の研究に何らかの欠陥がある場合には、それを修正した理由や方法についても十分な説明が求められる。さらに、反復研究においては、元の研究の結果と反復研究の結果を比較する基準を明確にすることも重要である。こうした基準が設定されることで、結果の内的妥当性および外的妥当性の両方について十分な結論を得ることが可能となる。近年、エビデンスに基づいた実践が重視されるようになるにつれて、反復研究の正当性が科学的な努力として強調されつつあるが、多くの看護研究者は、さらに多くの反復研究が行われることを望んでいる。反復研究が適切に行われることで、実践における確実性や信頼性が向上し、患者に対するケアの質が高まると考えられる。実際の反復研究の例としては、ガフニー、バーンドマグリオ、マイヤーズ、カラー（Gaffney, Barndt-Maglio, Myers, & Kollar, 2002）による3段階の縦断的研究がある。この研究では、母親が子供時代に経験したしつけと、自分の子供に対して行うしつけの意図との関係について調査が行われた。1996年の元の研究を反復しつつ、母親のしつけの意図とその実際の行動についても検証することで、研究の範囲を拡張している。このように反復研究は、元の研究に基づく知見をさらに深めるだけでなく、新しい視点や方法を加えることで、エビデンスの充実と知識の拡張に寄与するものといえる。