質的研究のデザイン【統計解析講義応用】

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質的研究のデザイン|【統計学・統計解析講義応用】

質的研究のデザイン【統計解析講義応用】


目次  質的研究のデザイン【統計解析講義応用】

 

 

質的研究のデザイン

 

量的研究者は,データであっても,収集する前に研究デザインを周到に特定し,研究したのちにデザインからそれることはまれである.

 

これに対して,質的研究では,一般に,プロジェクトのあいたに研究デザインを発展させる.

 

いかなるデータ収集方法が最良か,データの情恨源は何か,データ収集をどのように進めていくか,各データ収集の時間はどのくらいか,などについては,フィールドにおいて研究に応じて最終的に決定する.

 

質的研究は,創発的デザインつまり,研究者がすでに知りえたことを反映させながら決定を絶えず行うなかで営まれるデザインをもちいる.

 

リンカーンとグーバが述べているように.質的研究における創発的デザインは,研究名がだらしないとか怠惰であるということによるのではなく研究を進めていくうえでの現実や視点に某づいて探究したいという,研究者の望みを反映している.

 

それらの現実や視点は,研究に着手したときには知りえなかった,または理解しえなかったものである.

 

質的研究デザインの特性

 

質的な探究は,さまざまな専門領域よって導かれ,とくに関心ある疑問を取り上げるための方法をそれぞれ発展させてきた.

 

しかし,あらゆる専門領域に適用できそうな、質的研究デザインの一般特性がある。一般に,質的デザインは,

 

・さまざまなデータ収集力をあわせたものが多い.

 

・柔軟で順応性があり.データ収集の過程で知りえたことに順応できる.

 

・包括的な理解をめざそうとする.

 

・研究者の深い関与が求められるため,特定のフィールドにきわめて長い期間とどまることが多い.

 

・研究名・白身が研究の道具となることが求められる.

 

・継続的にデータを分析しながら,あとに続く方略を立て,いつフィールドワークを終えるかを判断することが求められる.

 

1番口の特徴に関連して,質的研究者は,さまざまな情報源から多様な方法によって収集された一連の複雑なデータを統合する傾向かある.

 

この作業の傾向がときに日曜大工として表現され,質的研究者が器用人といわれるのは,彼らが「面接から観察にいたるまで,個人的および史的文書の解釈にいたるまで,徹底した自己省察や内省にいたるまで,広範囲に及ぶきわめて多くの課題を遂行することに長けている」ことによる.

 

質的デザインと計画

 

質的研究者は,デザインをあらかじめ特定することはないが,創発的デザインを開発する際に柔軟性を支持するような事前計画を綿密に練るのが常である.

 

まったく計画しなければ,デザインの選択は,実際に制約を受けることになるだろう.

 

たとえば,研究者が最初,データ収集に6か月を見込んでいたとしても,予期しえなかったデータ収集の機会が生じて,フィールドにさらに長期間とどまることになった場合,経済的にも情緒的にも準備が必要になるだろう.

 

いいかえれば,質的研究者は,1度研究に着手してから生じうる,判断を迫られるさまざまな偶発的事態を想定して計画を行う.

 

 

とくに有用な事前計画の例を,以下にあげる.

 

・特定のデザイン決定につながるおおまかな枠組みまたは伝統の選択

 

・共同研究者となりうる人および研究計画を検討する人の特定

 

・おおまかなデータ収集方略(例:面接をするか)の開発と,信頼性を高める機会(例:トライアンギュレーションによる)の特定

 

・研究を行う場所の選択と環境のタイプの確認

 

・重要な情報源へのアクセスを許可できる(または拒否できる)ゲートキーパーの特定

 

・選択した場所についての文書資料,写真など(例:地図,組織図,資源となる名簿)の収集

 

・一定のコストとその他の制約内で,研究にあてられる最大限の時間の決定

 

・フィールドでのデータ収集や分析に役立つ道具(例:録音,録画機器,ラップトップ型コンピュータ)のタイプの特定

 

・プロジェクトを遂行するために必要な(もし必要であれば)補助者の数とタイプの決定

 

・採用した補助者の訓練と自己訓練

 

・データ収集の過程で生じうる倫理的問題にかかわる偶発的事態を含めた,適切なインフォームド・コンセントの手続きの特定

 

・データと探究全体の信用性を査定する計画の開発

 

このように,質的研究者は,さまざまな起こりうる状況に備えて計画する必要があるが,それらにどのように対処するかということは,時間や場所などの社会的文脈やそこにかかわる人間の相互関係を十分に理解したうえで決定しなければならない.

 

質的研究者は,方略の展開を考慮したり予期することによって,研究しようとしている状況や現象にふさわしい研究デザインをつくろうとする.

 

質的研究者がデータ収集の前に通常行うもう1つの作業は,自己の偏りとイデオロギー(思考様式)の分析である.

 

質的研究者は,自分の研究が主観的で自己の思考様式に支配されやすいことを認める傾向にある.

 

研究デザインや研究方法についての決定は,研究者の価値観の影響を受けざるをえない.

 

そのため,質的研究者は,研究の早期に自己の偏りと前提を明らかにするという挑戦に取り組むことを強く意識する.

 

質的な探究では,データ収集とデータ分析の体験に個人の特性が強く関与するため,そのような偏りの明確化はとくに重要である.

 

 

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