産業構造の変化|【社会経済統計学・統計解析】
▼▼▼▼▼▼▼▼
チャンネル登録はこちら
産業構造の変化
産業構造の変化
事業所・企業統計調査の目的の一つは,産業構造の変化を事業所ベースで明らかにすることである。
そこで,非農林漁業(公務を除く)における産業人分類別従業者数の構成比の推移を1963年から2001年までの38年間について見ると,サービス業が16.3%から30.4%,卸売・小売業,飲食店が26.6%から30.3%に増大している一方で,製造業は34.8%から19.2%に激減しているなど,全体として第三次産業に属する業種が増加する傾向にあり,特に大分類「サービス業」の増大が著しい。
そこで,「サービス業」の内部の変化がどうなっているかを見てみよう。
サービス業の中分類の中から1996−2001年の増加率(年率)の高い業種を選び出し,増加率の高い順に並べ,その増加数,増加数の構成比,増加率を見ると,増加率の高い業種は,「情報サービス・調査業」(5.8%),「社会保険,祉会福祉」(5.7%),労働者派遣業などの「その他の事業サービス業」(4.2%)となっている。
また,増加数の構成比(寄与率)が高い業種は,「その他の事業サービス業」(34.2%),「医療業」「32」%),「社会保険,社会福祉」(26.3%)「情報サービス・調査業」(18.7%)であり,これらの業種がサービス化の進展に寄与していることがわかる。
このような日本の産業構造の変化を国民経済計算のデータから,産業別の名目GDPシェアを見ると,この場合も農林水産業,製造業のシェア低下と小売業やサービス業等の第三次産業のシェア拡大が顕著である。
そこで製造業が産出する付加価値額を名目GDPシェアで見ると,全産業(公的部門・非営利部門を除く)に占める製造業のシェアは1980年の29.8%から2002年の22.1%へ7.7ポイント低下している。
製造業のシェア低下は,円高が急速に進んだ1985年以降の10年間で5.5ポイント低下していることが大きく影響しており,外生的ショックによる構造変化が進んだことがわかる。
一方,実質GDPで見ると,製造業は80年の70.5兆円から2002年の120.0兆円へ1.70倍に増加し,全産業とほば同じ増加幅(1.74倍)となっている。
産業別の労働生産性
労働生産性は,産業の活動を見るうえで,極めて重要な指標である。
製造業,非製造業の労働生産性は労働の生産力ともいい,単位労働量当たりの生産物量で測られる。
労働生産性は,労働の熟練度が高まれば上昇する。
また利用する生産手段の質によっても左右される。
労働生産性の向上は,われわれが消費しうる生産物を豊かにし,労働時間以外の余暇時間を大きくする。
同時に,それは資本にとっては,生産物単価を引き下げることにより他資本との競争に勝ち,利潤をうるための手段であり,また結果として失業者を増大させる原因ともなりうる。
そこで,製造業と非製造業の労働生産性を就業者1人当たりの実質GDPで比べてみると,製造業では就業者数が減少する一方で,実質的付加価値額が増加したことから,労働生産性も全産業の伸びを上回って推移している。
製造業の労働生産性は景気に人きく影響を受ける。
94年までは非製造業と大きな差はなかったにもかかわらず,95年以降は景気回復期において極めて大きな伸びを示している。
関連記事