電子記録類および電子署名に関する規則|【医療統計学・統計解析】
電子記録類および電子署名に関する規則
電子記録類および電子署名に関する規則としては連邦規則集パート11 CFR Part 1 1;Part l l of Title 21Code of Federal Regulations; Electronic Records; Electronic Signatures)が有名です。
この2 1 CFR Part 1 1 は文書記録を電子記録として保存し,電子署名を使用する場合の規則についてFDAが規定したものであり, 1997年8月20日から施行されています。
電子署名と関連する電子記録が要件を満たしているならば,一般的な手書きの署名などと同等であるとされ,電子記録は文書に代わるものとして使用することができるとされています。
もちろん,臨床試験データを電子データとして取り扱うシステムにも適用されるものです。
そして,電子記録については以下の基準を満たすことを保証しなければなりません。
@システムのバリデーション:臨床試験データ管理のためのシステム設計
A当局による査察,レビュー,複写に対して適切で,人が読めるものおよび電子書式による記録の正確で,かつ完全な複写を作成する能力
B記録の保存期間を通じて,正確で即時の検索を可能にする記録の保護
C許可された個人に対するシステムアクセスの制限
D保証され,コンピュータで生成されたタイムスタンプのついた監査証跡
E許された手順やイベントに対する順序立てを実行するための操作システム確認の適切な使用
F許可された個人だけがシステムを使用することの権限確認
Gデータ入力や操作に用いるデバイスに対する適切性の確認
Hシステムを開発,保守,使用する者が教育,訓練の経験を有していること
I記録と署名の偽造を抑止するため個人に説明と責任を持たせる明文化された方針の設定と遵守
Jシステムの操作と保守に関する文書の配布と参照に関する適切な管理,シシテム文書を時系列に開発し変更を文書化する監査証跡を保持するための改訂と変更管理手続きを含んだシステム文書に対する適切な管理
Kシステム上にある電子記録の内容に対し責任を有する者によってシステムアクセスが管理されていないオープンシステムでは,暗号化や適切なデジタル署名
などが追加で要求されます。また,電子署名そのものは,次のような条件を満たす必要があります。
@個人ごとにユニーク
A組織での割り当てなどに先立っての身元確認
B電子署名が伝統的な手書きの署名と同様な法的拘束力を持つことの当局への証明
CFR Part 1 1 では,日本で2001年4月1日に施行された「電子署名及び認証業務に関する法律」とは異なり,認証業務に関する内容は含まれておらず,オープンシステムでない限り,指紋や虹彩などによる生物測定学に基づく電子署名以外でも,識別コードとパスワードという少なくとも二つの識別要素が使用されていればよいとされています。
日本でも電磁的記録・電子署名利用のための指針は検討されており21 CFR Part 11 に準拠しているといってよい内容の案が示されています。
つまり,電磁的記録が完全で,正確で,信頼できるとともに,作成,変更,削除の責任の所在が明確であるという「真正性」,電磁的記録の内容を人が読める形式で出力できる「見読性」,保存期間内において,真正性および真正性が確保された状態で電磁的記録が保存できるという「保存性」が要求の3つの柱となっています。
関連記事