統計的統制と実験的統制|【多変量解析・統計学・統計解析】
統計的統制と実験的統制
社会科学や行動科学における研究テーマは複雑なので,興味のある現象を十分に予測・説明するための決定要因は複数にならざるを得ない。
MRCは。複数の潜在的な決定要因それぞれの影響や全体的な影響を分析するときに強力なツールとなる。
実験的な統制が不可能な場合はとくにそうである。
しかし. MRCは限界や複雑さがないわけではなく、そうした問題は予測よりも説明のときに大きくなる。
統計的統制は,実験的統制とけっして同一視されるべきではない。
MRCにおける統制の手続きは,因果の逆向きの可能性を排除できないし,実際上は合理的・理論的な意味や表現をもたない変数を作成してしまうことがある。
しかも、分析に含められていなかったり実験的に統制されたりした第三の変数が,結果の他の解釈として残っている可能性がある。
さらに. MRCの指標は変数特定的で、ものによっては被験者依存的であるものが、分析の中に含まれている。
だからこそ。全体的な関係あるいは無関係でないものを評価することが重要であり、そういう変数が含まれるべきなのである。
多くの研究において、目的変数の測定の信頼性と妥当性,さらにはサンプルの代表性を細心の注意をもって評価しなければならない。
これらの注意点と複雑さは手ごわいように感じられ. MRCの一般的な有用性に疑問を抱かせるかもしれない。
しかし,社会科学や行動科学における主題もまた複雑であり,われわれが行うことのできる実験的統制には限界がある。
MRCの限界についての正しい理論と知識が結果の解釈に用いられれば, MRCは実験的・準実験的あるいは相関的な研究における強力な科学的ツールになり得る。
MRCやその解釈についてのさらなる説明やより細かい知識を提供してくれるいくつかの本がある。
そうした本の中でもとくに読み応えのあるテキストは, Cohen & Cohen (1983)やPehazur (1982)である。
いくつかの数学的導出や説明がされているが,そこで強調されているのは計算手続きの概念的な理解とMRCの解釈である。
この2冊はとくに推奨される。
Cohen & Cohen (1983)およびPedhazur (1982)は理論的説明を目的としたMRCの使用に焦点を当てている。
パーソナリティ,臨床,産業心理学で用いられるような,理論的脱明よりも予測を目的としたMRCの使用に関するすばらしい概念的説明は, Wiggins (1973)で提供されている。
また,縮小式に対する経験的な相互検証手続きの使用についてのより包括的な議論はFowler (1986), Mitchell & Klimoski (1986), Wiggins (1973, pp.46-49)などを参照してほしい。
階層的あるいはステップワイズな重回帰分析の一連のステップの中の2つのモデルにおける値の差、基準変数とその段階で新たに追加された予測変数(あるいはその組み合わせ)との問の部分相関係数の二乗に等しい。
階層的重回帰/相関分析〈Hierarchical Multiple Regression/Correlation〉重回帰分析の形式の1つで,1つ以上の新しい予測変数を,その前の分析で使われていたものに追加していく。
どの変数がそれぞれの段階で付け加えられるのかを決定するのは。研究者によって決められる。
基準変数(従属変数)〈Criterion or Dependent Variable〉回帰/相関分析において予測または説明される変数。観測された基準。あるいは基準得点とは、実際に被験者(ふつう素点はyで表され、標準化された得点である。
予測された基準,あるいは基準得点とは,回帰方程式によって被験者をもとに計算されたスコアである。
交差妥当性研究〈Cross・Validation Study〉
@導出研究で用いられたものとは異なるサンプルの参加者-この賢なるサンプルは「交差妥当性サンプルJF調整サンプル」「ホールドアウトサンプル」などとよばれるーから基準変数と予測変数の経験的スコアを得るような研究
Aこれらのデータが導出研究の評価のために用いられるような研究
をさす。この評価はふつう,元になった研究で得られた重回帰方程式を使って,交差妥当性サンプルの基準変数の得点を、実際に得られた予測変数の得点から予測することによって行われる。
これらの相互検証的なサンプルにおける予測得点は,圧縮された/?の形式である相互検証的重相関と比較される。
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