大規模臨床試験と登録-臨床研究機関|【統計学・統計解析講義応用】
大規模臨床試験と登録-臨床研究機関
EBMの時代
医療行為(medical practice)は, EBM (Evidence-Based Medicine, 科学的根拠に基づく医療)の時代に突入している.
EBMとは,臨床業務は直感.機械論的推論および意見に加え,科学的情報に基づかなければならないという社会的概念である.
科学技術を自由に利用することにより,コストが無限に増加していることを我々の社会はますます認識するにつれ,資源を合理的に分配する唯一の方法は,競合している臨床的アプローチにより臨床的便益(clinical benefit)が得られるかどうか,そしてもし得られるのであれば.それを達成するために必要なコストがどの程度かということを理解することである.
医療財源の拡大が無制限ではないという現実と同時に,バイオテクノロジー(biotechnology)への莫大な社会的投資が,疾患を治療する多くの潜在的な新しいアプローチに費やされはじめている.
したがって,現法では,試験を実施することを可能にする資源よりも早いスピードで,エビデンスの必要性が増加している.
歴史
最初のランダム化は,農業試験(agricultural study)において. 1926年にFisherにより行われた.
彼は,分散分析(analysis of variance)を開発するにあたり,実験的な観測値は独立であるべきであり,統計的手法を適用可能とするために.交絡は避けるべきであると認識した.
したがって,彼は,肥料を適用する異なる方法に対して,異なる土地区画をランダム化した.
Ambersonは.24人の患者を対象とした結核治療の1931年の試験の際に,治療割付(treatment assignment)を決めるためにコイン投げ(coin toss)を用いた.
これが患者をランダム化した最初の試験だと言われている.
1948年に実施した結核治療のためのストレプトマイシンを用いた英国MRC (British Medical Research Council)試験は,臨床試験の近代化を切り開くこととなった.
この試験は,多数の患者にランダム化を適用する原理を確立し,試験治療を施して,成果の客観的な評価をするためのガイドラインを設定した.
さらに最近では,コンピュータが.世界中で実施される試験における何千もの患者からのデータの急速な蓄積を可能にした.
PetoおよびCollinsは. ISIS-1研究(Fh・St International Study of Infarct Survival) において,大規模簡易試験(large simple trial)の概念を開発した.
その概念は,1万人の患者をランダム化することによってのみ,β遮断薬(beta blocker)の有益な効果が理解できるというものである.
Client server architecture (クライアントサーバーアーキテクチャー)の開発により,大容量のデータを統合し.複数の利用者に迅速に提供する仕組みができたWorld Wide Web (ワールドワイドウェブ)の開発における最近の進歩により,世界中の複数の地域で,即座に情報を共有することができる.
ようやく,診断と治療のアプローチが患者の予後を改善することを示すためのアドヒアランス(adherence)の測定の重要性を認識することにより, EBMを実践するための系統立ったアプローチに加え,広範に渡る電子カルテ(electronic health record)の活用および電子化されたプロバイダー入力システムの導入に至った.
臨床研究を目的としたこの情報を統合する主要な新しいアプローチは,複数のデータソースを含むアプローチであり.健康関連のシステムのデータウェアハウス(data warehouse)を構築することである。
関連記事