誤り,勘違い,誤った解釈【統計解析講義応用】

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誤り,勘違い,誤った解釈|【統計学・統計解析講義応用】

誤り,勘違い,誤った解釈【統計解析講義応用】


目次  誤り,勘違い,誤った解釈【統計解析講義応用】

 

 

誤り,勘違い,誤った解釈

 

我々はみな完璧ではないので,たびたび誤りを犯す.

 

観察研究においてよくある間違い,勘違い.誤った解釈について以下にいくつか述べる.

 

観察研究のデータに基づく2変数の関連性を常に信用すること

 

観察結果が豊富にあることを無視して,2つの変数を単純に比較する解析を行うことがある.

 

これは2変数(bivariate)の関連性である.

 

例えば,統計解析として.カイニ乗検定や相関を調べることのみを行う場合がある.

 

これらの解析はデータの探索には有用であるが,観察研究においては重大な限界がある.

 

2つの連続変数の相関は,2つの変数に直線的な関連があるかどうかを評価している.

 

2つの変数には,U字型や逆U字型などの形状での強い関連性があるかもしれない.

 

その場合,強い相関はないが,非常に強い関連性は存在する.

 

さらに,もし他の変数をそのモデルに加えたら.カイニ乗検定や無相関検定でみられた関連性が消失するかもしれないし,何もないようにみえたところに強い関連性が現れるかもしれない.

 

回帰のような多変量の手法を用いた場合に,多くの単変量と2変量の関連性が消失することにより,相関や2変量のカイニ乗検定は誤解を招くものとなる恐れがある.

 

そのため,相関やカイニ乗検定は,観察的なデータの決定的な解析としては勧められない.

 

探索的な解析としては有用であり,データを示す簡単な方法となる.

 

オッズ比と相対リスクは同じ大きさを持つと想定すること

 

相対リスクを算出するには2つの方法があり得る.

 

我々は「何のリスクなのか」ということを定義しなければならない.

 

このことを説明する簡単な方法は,ある特徴が成功の確率を上げるかどうかを検討できるたびに,その特徴が失敗する確率を下げるかどうかを検討することもできた,ということである.

 

あるイベントが発生する確率の相対的に小さな変化は,イベントが起こらないことの相対的に大きな変化と大抵関連している.

 

Schulmanらは,ある比較実験を実施し,胸痛を有する患者に心カテーテル法を勧める際の,医師による潜在的なバイアスについて報告した論文を発表した。

 

多変量ロジスティック回帰分析を用いて女性患者よりも男性患者に対して医師はより心カテーテル法を勧めると結論づけた.

 

Schwartzらは,批評の中で,オッズ比はその影響を誇張して述べており.相対リスクを用いることが適切である,と述べた。

 

オッズ比は,共変量の調整が比較的容易にできるが,相対リスクは,ここで考えるように臨床上より重要な関連性であるかもしれない.

 

90.6%と84.7%を比較してみることは適切だろうか.それは適切である.

 

より消極的な介入を提案する割合(9.4%と15.3%)を比較することも適切であり,その場合の相対リスクは1.63 (逆数は0.61)とかなり大きな値である.

 

相対リスクはより直感的なものに見えるが,それは,解釈がより容易であることや,そもそも計算が可能であることでさえも意味するものではない.

 

結果の解釈の際は,常に慎重になる必要がある.

 

この事例では,皆が正しく,より多くの情報が得られるならば,解釈は不十分である.

 

 

相対的な指標の誤った解釈

 

Schwartzの論説には,情報を伝達する際のいくつかの有益な指針がリストアップされている.

 

オッズ比を正確に解釈するのは困難である.

 

効率のよさから,我々はオッズ比を相対リスクやリスク比として誤って解釈することが多い.

 

オッズ比はリスク比に変換できることもあるが.これには注意が必要であり,統計家や疫学者によって慎重になされるべきである.

 

よくある別の問題として,適切な比較が行われていることの保証がある.

 

どちらの群が分母になるのか?ある特定の群の結果が,偶然にもより広い群に起因するものである場合がある.

 

最後に,絶対的な割合を簡単に報告したい場合に,我々は相対的な割合を報告することがある.

 

ある群は治療を受けることが50%少なくなる,という報告は有益に聞こえるが.それぞれの群で治療を受けた人の実際のパーセントを報告することはより有益であり,読者はより結論を出しやすくなる.

 

因果関係を暗示すること(そういうつもりではない場合でも) 「その影響はとても大きいよ.とにかく大きなオッズ比/リスク比/絶対リスクをみて関連性の大きさや程度に注目して,因果関係を想定することは,よくある間違った主張である.

 

多くの変数が測定される研究では,興味のあるアウトカムや曝露に,いくつかの変数が関連しているように見えることは,よくあることである.

 

ある時系列が,生物学的にみて合理的であるように見えることがあるかもしれない.

 

アウトカムに対する曝露の影響はゼロではないという有意なエビデンスが,複数の研究から示されるかもしれないが,観察研究,特にある1つの観察研究からは,因果関係を想定することはできない.

 

我々ができることは関連性の評価に留まる.このことはすべての人が同意しているわけではない.

 

観察研究におけるエビデンスが,因果関係を支持することを「証明する」ために必要だと研究者たちが考える.

 

要するに,すべてのエビデンスは同じ方向を示す必要があり,観察に基づいたエビデンスは,強固であり,臨床的または生物学的に意味のある妥当なものであり,統計学的に有意であり,ある種の量一反応関係を示す必要があり.そして最終的には実験に基づくエビデンスが必要となる.この実験に基づくエビデンスは,動物から得られるものかもしれないし,ヒトから集められた観察データを補うための研究所の実験から得られるものかもしれない.

 

つまり,1つの研究のエビデンスの価値ではなく,様々なグループが実施した多数の研究から得られたエビデンスを.総合したものが必要とされるのである.

 

 

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