GOT/GPT比で見る肝細胞障害の進行と予測【ChatGPT統計解析】
GOT(AST)とGPT(ALT)は、肝機能を評価するための酵素で、肝細胞障害の進行状態や種類を把握する手がかりとなります。GOTは肝臓以外にも心筋や骨格筋に存在し、GPTは主に肝臓に集中しています。GOT/GPT比(基準値:約0.87)は、肝細胞障害の進行状態を示し、急性期や回復期を予測するのに役立ちます。例えば、GOT/GPT比が0.87未満の場合は急性肝炎の急性期を示し、逆に0.87を超える場合は回復期を示唆します。さらに、比率の違いにより、アルコール性肝炎や慢性肝炎などの種類も判別できます。このような相関を利用することで、肝細胞障害の早期発見や診断の精度を高めることが可能です。
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GOT/GPT比の統計学
肝細胞障害とGOT、GPT値 肝機能検査でおなじみのGOT、GPTは、生体内の細胞質においてアミノ酸代謝を触媒する重要な役割を果たす酵素で、Tはトランスアミナーゼを意味する。
GOTは肝臓のほか、心筋、骨格筋、腎臓、赤血球に存在し、GPTは主として肝臓に分布している。
これらは、細胞膜が破壊や変性によって通り抜けやすくなると、血中に洩れ出てくるため、GOT、GPTの上昇により、肝細胞の障害が進んでいることがわかるわけである。
さらにGOT、GPTの上昇は肝細胞の障害の種類によって違いが見られる。
GOTは肝小葉内にひとしく一様に分布するが、GPTは肝臓の門脈域(胃、小腸、大腸などから肝臓へ入る静脈)の周辺に分布している。
このことから、たとえば、小葉中心部で壊死が強く表れるアルコール性肝炎ではGOTが優位に上昇し、門脈周辺で壊死が強く表れる慢性肝炎ではGPTが優位になる。
さらにGOTの血中半減期がGPTより短いこともGPTが優位になる原因と考えられる
進行状態と種類の決め手
肝細胞障害の進行状態および肝細胞障害の種類を決める重要な手がかりとなるのはGOTとGPTの関係で、それがGOT÷GPTの比である。
この「GOT/GPT比」の基準は、国際単位(IU)では約0.87である。
GOTの血中半減期はGPTより短いことから、GOT/GPT比により肝細胞障害の進行状態を知ることができ、GOTとGPTの上昇状態は、肝細胞障害の種類がわかるのである。
これら各々の変動の相関をキャッチすることが、肝細胞障害を早期に見出す決め手となる。
上昇がGOT, GPT>500単位のケース
これらの逸脱酵素の正常閾値は、GOT:10-40単位、GPT:6-40単位である。
急性肝細胞障害では、GOTとGPTともに500単位以上の非常な上昇がみられ、黄疸を伴うことが多い。
この急性肝細胞障害の原因は、ウイルス肝炎、中毒性肝障害などによる肝細胞の変性、壊死である。
さらに、肝細胞障害の程度および範囲とGOT・GPTが上昇すれば細胞障害の程度と範囲も広がっており、この関係には相関が認められる。
したがって、500単位以上は、肝細胞のかなりの範囲の障害かつ重い障害をきたしていると判断できる。
さらに、GOT/GPT比から見ると、急性期と回復期を予測することができる。
GOT /GPT<0.87→急性肝炎の急性期
肝組織中のGOTの活性がGPTの活性の3〜4倍であることを反映している。
GOT/GPT>0.87→急性肝炎の回復期
GOTの半減期はGPTの半減期の1/3〜1/4と短いことを反映している。
上昇がGOT, GPT<500単位のケース
GOT/GPT>0.87→心筋、筋肉、溶血性疾患
GOTが心筋、筋肉に含まれていることを反映し、GOTが優位な結果になる。
GOT/GPT>0.87→アルコール性肝炎
アルコール性肝炎は、小葉部中心部に壊死が多い。
GOTは肝小葉内に均一に分布し、GPTは門脈域周辺に多く分布しておりGOTが優位となる。
GOT/GPT<0.87→慢性肝炎
慢性肝炎は、門脈域周辺に壊死が多く、また、GOTとGPTの半減期の差とをあわせてGPT優位の結果が考えられる。
測定値への影響
GOTとGPTは補酵素としてビタミンB6を必要とする。
ビタミンB6欠乏を生じる薬剤の使用により低値を示すことがある。
採血後の長期保存ではGPTの報告があり、−70度以下の保存が必要といわれる。
採血の姿勢は、立位時は安静臥床時に比較して10%程度高値となる。
GOTとGPTの相関の意義
GOT/GPT比の意味することについて考えてきた。
分布が限られ、比較的安定している酵素を基準の分母として、広範囲に広がる酵素を分子としてその比を読み取ることにより、これらの結果が得られることになる。
各検査値をこのように相関から見ることにより、判断の範囲が広がると考えられる。
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