糖尿病の統計学【統計解析講義基礎】

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糖尿病の統計学|【統計学・統計解析講義基礎】

糖尿病の統計学【統計解析講義基礎】


目次  糖尿病の統計学【統計解析講義基礎】

 

 

糖尿病の統計学

 

現在もっとも深刻な問題は、高血糖をもたらす糖尿病の急増である。

 

「血糖」の説明はこの後に続けるとして、2002年の国民栄養調査によると、糖尿病が強く疑われている人が740万人、可能性が否定できない人が880万人に達し、今後もその増加は続くだろうといわれている。

 

しかし治療を受けている人は400万人にも満たず、糖尿病合併症の有病者数も増加の一途をたどっている。

 

合併症は血液透析の導入や失明、壊疽による下肢切断、心筋梗塞や脳梗塞など、身体や生命に多大なダメージを与えるだけではなく、「生活の質(QOL)」を低下させる要因ともなる。

 

また医療費から見ると、ある調査では合併症のない人では年平均23万円であるのに、4種類の合併症をもつと3倍の約68万円になる。

 

また、合併症の治療のための入院賞は1回約68〜90万円で、外来治療費の1〜3年分に相当する。

 

さらに腎不全で透析すると年間500万円程度になるといわれている。

 

血糖が上がれば上がるほど医療費は高くなり、QOLは低くなるのである。

 

 

血中のグルコースはエネルギーのもと

 

血糖」は血液中に存在するグルコース(ブドウ糖)のことである。

 

グルコースは末梢細胞、とりわけ中枢神経の活動にとって生命を維持するために必要不可欠なエネルギー源である。

 

その指標が血糖値で、血液1dL(100ml)中に含まれているグルコースの量を示しており、正常値は空腹時血糖値(前夜から10時間以上絶食し朝食前の空腹時に測定したもの) 110mg/dL未満である。

 

グルコースは生命維持に不可欠なため、消費された量を絶えず補う必要がある。

 

しかし、血液が運べるグルコースの量には限界があるため(グルコースの最大輸送量180mg/dLを超えると腎臓で再吸収できなくなり尿中に排泄されてしまう)、身体は血糖の体内恒常性(80〜100mg/dL)を保つために、自律神経系、内分泌系により綿密な調節を受けている。

 

自律神経系による調節の反応は迅速で、交感神経系は血糖上昇に副交感神経は血柚下降に対して、それぞれに対応したホルモン分泌を介して作用する。

 

低血糖(50mg/dL以下)になった状態は生命の危機を招くため、血糖低下作用を持つホルモンがインスリンだけなのに対して、血糖を上昇させるホルモンにはグルカゴン、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、糖質コルチコイド、アドレナリンがあり、低血糖を防ぐ機構をいくつも発達させることで生命を守っている。

 

したがって特殊な疾患やインスリンや血糖降下剤に起因するものを除いては低血糖に陥ることはほとんどない。

 

血糖の供給と消費(取り込み)のバランス

 

食物中の糖質は小腸から血液中に吸収される。

 

吸収されるときの形は単糖類(糖類の化学構造のうち、最も単純な構造をもつもの)で、その大部分はグルコースである。

 

血中に移動したグルコースは門脈(胃、小腸、大腸などの消化管から肝臓へつながる静脈)を通って肝臓に運ばれ、その5%は肝細胞の中に入ってグリコーゲンに変わり、30〜40%は脂肪に変わって蓄積される。

 

糖尿病の統計学【統計解析講義基礎】

 

肝臓を通ってそのまま血液に入ったグルコースは全身を回り筋細胞に取り込まれてグリコーゲンとして蓄えられ、他の組織にも取り込まれて使われる。

 

食後の血糖が約2時間で元の値に戻るのはこのためである。

 

また運動によって血糖が下がるのは、筋細胞のグリコーゲンが運動によってすぐに消費され血中のグルコースが使われるためである。

 

グルコースが筋細胞などの末梢組織に取り込まれるときにはインスリンが必要で、インスリンの作用が不足すると慢性の高血糖状態となる。

 

これが「糖尿病」で、空腹時血糖値126mg/dl以上、随時血糖値200mg/dlが糖尿病型と診断される。

 

ただし脳や赤血球はグルコースの取り込みにインスリンを必要としない(インスリン非依存性組織)。

 

食物としてグルコースを取り入れていないときに使われるのが肝臓に蓄えられたグリコーゲンで、これがグルコースに分解されて血液に出て行く。

 

この分解だけで足りないときには、肝細胞はアミノ酸やグリセロールからグルコースを作り出し(糖新生)、一定範囲の血糖を維持している。

 

遺伝や疾患などによってもたらされる予防困難な状態は別として、できるだけ毎日の生活の中で意識的にグルコースの供給を減らし、あるいは消費を増やして、適切な値に保たれるよう調整することが必要である。

 

人間にとって「有り余るもの」ほど危険なものはない。              

 

 

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