観察研究における因果推論【統計解析講義応用】

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観察研究における因果推論|【統計学・統計解析講義応用】

観察研究における因果推論【統計解析講義応用】


目次  観察研究における因果推論【統計解析講義応用】

 

 

観察研究における因果推論

 

一般に観察研究は.関心のある項目の関連性を我々が見出すことを可能にするが.分担研究者が因果関係について結論を下すことを許すものではない.

 

因果関係を結論することの危険性について,ふさわしい教訓を閉経後の女性を対象にしたホルモン補充療法(HRT)の例に見ることができる.

 

Womens Health Initiative(WHI.女性の健康イニシアチブ)におけるランダム化比較試験(WHI CT)が実施される前までは, HRTは心疾患のリスク低減を含めて女性の健康に有益な効果を持つものとして広く認められていた.

 

この見解は,それまでの観察研究データに大きく基づくものだった.

 

WHI CT の結果は. HRTは心臓血管系疾患リスクの低減とは関連がなく,そして実際には一部の女性で脳卒中やがんが増加していることを示すものであった.

 

因果推論(causal inference)は時に観察研究データに見い出された関連性から導き出されるが,大抵の場合そのデータが動物やその他のランダム化デザインを含む試験のデータで補完された結果によるものである.

 

因果関係を示すために人の観察研究を用いた例は,喫煙と健康状態について行った研究に見られる.

 

公衆衛生局長官Luther Terryの手によるこの1964年の研究は,読むに興味深いものがある。

 

多くの観察研究は多くの予防的介入のための裏付けであり,そして因果関係を証明する鍵である,変更されたリスク因子がリスクを変えることを観察研究において示すことは不可能ではなくとも一般に難しい.

 

それでも,観察研究は,仮説の構築やさらなる臨床研究が必要な領域の識別にあたり重要な役割を果たす.

 

またそれは,ランダム化試験が実際上の理由か倫理的な理由により,実施できない場合の唯一の選択肢である場合もある.

 

疫学的なエビデンスからどのようにして因果推論を引き出すか.それは単にモデルと有意なp値であろうか.

 

第一に関連性はそれ白身が確実に偶然や誤った結果と区別できるように,統計的に有意でなければならないことを示している.

 

もしモデルがその関連性を示すには脆弱なものであったり,研究中に選択バイアスやその他のバイアスが混入したものであったりするならば,これは問題のあるものになり得る.

 

モデルに加えることのできない,未観測で交絡した共変量について我々は警戒をしなくてはならないが,傾向スコアがおそらく研究中の選択バイアスの影響を低減するために用いられるだろう.

 

感度分析や多様な研究またはデータセットが,観察される潜在的な交絡因子を評価するためには重要である.

 

多くの人たちは,例えば相対リスクで1.2から1.3の範囲よりも3から4の範囲のリスクのように,観察された関連性の程度がより大ければそれが因果関係の可能性を大きくすると考えるが,長い目で見れば,このことは多くの研究において支持されていない,

 

もう1つよくあることは,最初の研究でエビデンスの強さが増加していることが示されたとしても,その関連性の強さは研究の積み重ねにより時間とともに急速に減少するということである.

 

因果関係を示すためには他に何が必要だろうか.用量一反応関係を示すことは有用である.

 

より高いレベルの曝露はより高いレベルのリスクに関連しているか.

 

大量喫煙者はより軽量な喫煙者に比べて高い肺がんのリスクに曝されており,軽量喫煙者は非喫煙者よりも高いリスクに曝されている.

 

ここで重要な点は非喫煙者も肺がんになる可能性があり,喫煙履歴の記録収集はよくてもチャレンジしたにすぎないものに成り得るということである.

 

 

履歴は重要な言葉である.

 

我々は,ある曝露は疾患の進行につながった,あるいはAはBを引き起こしたなどと推測する.

 

これはその関連する疾患の進行には曝露が先行している必要があることを意味する.

 

わかりきった表現のように見えるかもしれないが,一般に実施される後ろ向き研究では,生じるイベントの時間的な順序はそう明確なものではない.

 

イベントの時間的な並びや誰かがある時点で疾患を持たないが別の時点では持っていることを正確に理解していることは極めて重要である.

 

後ろ向き研究や症例一対照研究または横断的調査は,イベントの時間的順序に関して必要な情報を前向き研究ほどには明確には提供しない.

 

2つの事柄が同時に起きることだけでは,それらが相関していることを憲味しない.

 

関連性は,1つのデータセット中では内的に矛盾のないものでなければならない.

 

通常我々はそういった関連性は男性と女性,高齢者と若年者,就業者と非就業者などで均等に当てはまるものと期待している.

 

また,関連性は,他のサンプル集団に対して外的に再現され,そのメカニズムについては(おそらく証明されていないとしても)妥当な理論とともに生物学的にもっともらしく思われるものでなくてはならない.

 

しかし.多くの人々が,ほとんどのどんな発見についても生物学的な解釈の事例を作ることができることを十分理解すること.比較対照のあるランダム化試験が因果関係にその裏付けを追加するためには必要であり,それらには曝露により試験の結果と同様な,あるいは結果に関連した現象を示す実験動物や組織標本からの実験的エビデンスを含めることができる.

 

因果推論は単一の試験に基づいて導き出されるべきではない.

 

因果関係の推論は,実験室,臨床領域,集団ベースの研究から得られるエビデンスの総計に依拠する.

 

重要な点は,介入的な研究が因果関係を決定的に確立するために必ずしも必要とされるものではないということである.

 

喫煙の開始が健康に及ぼす効果の試験のように,主要な仮説が特に介入によって害の及ぶものである場合.観察に基づくエビデンスは時に介入研究が非倫理的であるかのように圧倒的であることがある.

 

過去において.我々は,観察に基づくエビデンスによって誤って導かれてきたが.またすべてのエビデンスに耳を傾けなかったことによっても過ちを犯してきた.因果推論解析の手法がいくつか存在する(傾向スコアと操作変数法はちょうどその2つだが)。

 

一方で.観察研究のデザインとその解析において慎重にあたることは,正しいデザインの決定と有用で適切な結論を研究データから導き出すためには不可欠である。

 

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